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資料探索の手引き

2003.04.19更新

■ テーマを絞り込む

短い時間で有意義な内容を発表するためには,テーマをある程度絞り込んだ方がいいと 思います。自分の関心と資料の集めやすさを勘案して,より具体的なテーマを 設定するとよいと思います。

テーマの設定にあたっては,次の基準に従って下さい。
大テーマ基準
情報技術の進展 特定の新しい情報技術を紹介し,その技術が社会にもたらす 影響について論じて下さい。 「地理情報システム」... 地理情報システムについての解説は必要なだけにとどめ, それが社会にどのような影響をもたらすか,という問題を中心において ください。
人間の情報処理 人間がどのように情報を認識し処理しているかについて 紹介して下さい。 「顔の認識」... 現存する顔認識ソフトウェアについての紹介を中心にするのではなく, 人間が顔をどのように認識しているかという問題を中心に据えてください。
情報技術と社会 特定の社会的問題領域に,近年の情報技術の発展がどのような影響を与えているかを 紹介して下さい。技術の側にではなく,社会の側に視点をおいてください。 「インターネットとマスメディア」... たとえば「多くの新聞社がインターネット上で ニュースを無料配信しています」という事柄を報告するだけでは, あまり有意義ではないと 思います。しかし,「インターネット上での無料ニュース配信の普及によって, 現代のジャーナリズムがどのような影響を受けているか」という問題は, 非常に重要で興味深い事柄だと思います。

[Advice] 以上の作業は,資料探しと並行して進めていけばよいと思います。 非常に面白いテーマでも,資料がないと,発表は難しいからです。

■ 資料を探す

今回の発表は,単に「調べてきて発表する」という趣旨のものです。自分のオリジナルな 見解も,新しい実証的データも求められていません。ですから,よい資料を手に入れることが 発表の成否を決めます。

どのテーマも,日本語でよい参考書籍が手に入るものばかりです。できるかぎり網羅的な 探索を心がけて下さい。多くの場合,それぞれのテーマには,重要な文献が存在します。 たとえばオープンソース運動について知るには,エリック・レイモンド『伽藍とバザール』 は必読です。また,ニューラル・ネットワークについて少しでも調べたなら, ラメルハート他『PDPモデル』という本が重要であることがすぐにわかります。 この本を読むかどうかは別にして(『PDPモデル』は難しいので,もっと入門的な本を探した方が いいと思います),この本の存在自体を知らないというのは問題外です。

必要な資料を一度にかき集めるのは大変ですし,役に立たない情報ばかりが集まってしまい, かえって困るかもしれません。 手に入れた資料にごく簡単に目を通し,そのなかで紹介されている 資料を探す,というように,芋づる式に探していくとよいと思います。

[Advice] 資料の探索は,学問研究に限らず,社会人にとっても基本中の基本です。 はじめて経験する方のために,ごく簡単なアドバイスをお贈りします。
  • 本屋で探す...近所の中小規模の書店で探してもらちがあきません。 電車代がかかっても,品揃えのよい大きな書店を数軒回るのが,結局は早道です。
  • 図書館で探す...もっとも便利なのは大学図書館です。でなければ,都立中央図書館 のような大規模な図書館が助けになります(国立国会図書館は,書籍の探索にはあまり 向いていないので,おすすめできません)。多少専門的な事柄について調べる場合には, 近所の図書館はあまりあてにできません。
  • ネットで探す...いまやネット上の情報の検索は,資料探索に不可欠な武器となっています。 私がよく利用しているサイトには,次のようなものがあります。


この文書は,次のURLで公開されています: http://psywww.human.metro-u.ac.jp/personal/ono/lecture2003/musashi/