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2005年11月26日 (土)

Bookcover 学力を育てる (岩波新書 新赤版 (978)) [a]
志水 宏吉 / 岩波書店 / 2005-11-18
知識重視的な学力観と態度重視的な学力観の振り子を乗り越えることが必要だ。学力は家庭の文化的環境に強く規定されている(データは岩波の「学力の社会学」の再利用。説明の引き合いに出すのはバーンスタインとブルデュー)。しかし格差を乗り越えるeffective schoolもある(ここでフィールド調査の紹介)。家庭と学校と地域がcollaborateするコミュニティが大事だ。
 最初の一章が子ども時代の思い出話に割かれていて,ドウシヨウカと思ったが(個人的体験を引き合いに出すのはくだらない教育論の目印だと思う),さすがに一線の学者だけあって,内容はまともだった。「学力の社会学」はきちんと読みかえさないといかんなあ。
 データ面では,定量調査とフィールド調査の両方を握っているのが強いところだ。大学の先生が観察先の現場の悪口を書くことは考えにくいわけで,そのへんは割り引いて考えるべきだと思うが,それにしてもちょっと面白そうだ。フィールドの話は岩波ブックレットになっている由。
 ゆとり教育的な新学力観は否定しないが,基礎学力を重視する方向との止揚をはかるべきだという立場(なるほどそりゃそうですね)。初等教育の学力差が社会格差を再生産するという問題意識はあるが,親御さんの心配りでどうにかなると考えている節があって,その点オプティミスティックだ。
 面白かったのは,学校選択制(金子郁容とかのいうところのコミュニティースクール)にはきわめて否定的であるところ。そっちは東京発の提案で,いっぽう大阪では学区ベースの教育コミュニティへの努力がなされている由(著者は阪大の先生)。どの業界にもそれぞれ事情があるものですね。

本は読み終えたらすぐにメモをとっとかねばいかんな。反省。

心理・教育 - 読了:11/26まで (P)