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2008年12月12日 (金)

Bookcover 暗黒街の女 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) [a]
ミーガン アボット / 早川書房 / 2008-11-07
20代から延々と研究に足を突っ込んだあげく,結局なにもできずに民間企業に逃げだして,もうコリゴリだ,余生は社会の隅っこのほうで静かに暮らそうと思っていたのに,どういうわけか学会で発表などする羽目になり,しかもそれがまた悲しいくらいにつまんない内容で...俺はいったいなにをやっているのか,と自問自答する日々であった。
 まあ,それでも隅っこにはちがいないわけだし,そんなに大げさに考える必要はなくて,水がちょろちょろ流れるように,自然に暮らしていればいいや,と自分に言い聞かせるわけだが,それにしても,奇妙な気分ではある。なぜこんなに首尾一貫しない人生になっちゃったんだろう?
 そんなこんなで,11月後半は学会の準備と仕事とでばたばたしていた。そんなに大したことはしていないのに,こんなに慌ててしまうのは,やはり無能の故としか云いようがない。
 とにかく,ようやく一段落ついたことを記念し,宿の布団に寝転がって海外ミステリを読んだ。犯罪組織にとびこんだ若い女性の成長譚。しみじみとした小説であった。

 今回つくづく思ったのだが,営利企業に勤めながら研究に関わるのは,たとえ学会発表レベルとはいえ,結構たいへんな事なのだ(手厚い支援を受けている大企業の人はどうだか知らないが)。みんな,えらいなあ。。。大学のみなさん,民間の人が妙な研究をしていても,あまり馬鹿にしないでくださいまし。
 とはいえ,カイシャの外に出て行けるというのは,それなりに利点もあるようだ。今日社外のセミナーに出ていたら,休み時間に講師の方が,こないだの発表聞いてました,なんて声をかけてくださって,びっくりした。正直なところ顔から火が出る思いだったが,それは発表の内容がしょぼかったからで,もし自分なりに胸を張れるようなものであったなら,また違った気分であっただろう。

Bookcover ワーニャおじさん (岩波文庫) [a]
チェーホフ / 岩波書店 / 2001-09-14
先日読んで感銘を受けた「ワーニャ伯父さん」を,もっと新しい訳で読み直してみた。こちらのほうがはるかにわかりやすかった。やはり,翻訳には賞味期限のようなものがあるんだろうなあ。
 いろいろと新しい発見もあった。こうして読み直してようやく気がついたのだが,ソーニャは結構アホな娘というか,幼い娘なのである。だからこそ,最後に口にする苦い名台詞が胸を打つのだ。

フィクション - 読了:12/12まで (F)