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2009年1月12日 (月)

Bookcover 草の上星の下 (クイーンズコミックス) [a]
谷川 史子 / 集英社 / 2008-06-19
若い物理の教師に恋した女子高生が,ふとした偶然から,その先生が美しい彼女と同棲しているアパートをみつけ,さらに偶然が重なって,放課後ごとに二人の部屋を訪ね上がり込むことになる(同棲相手はアクセサリ作家で,主人公はビーズの容器をひっくり返してしまい,片づけに通う羽目になる,という設定)。自分しか知らない先生のプライベート,そして年上の素敵な女性への憧れ。3人の間に生じた奇妙な友情が,主人公にはうれしくてたまらないんだけど,大人の恋人たちの仲に立ち入ることができるわけではない。その葛藤が爆発する場面があって,はじめて主人公は教師の彼女に告白する:「桃香さんに優しくされるの,少しいやだった」「ほんのちょっとでいいからわたしのこと/何こいつって/油断ならないいやな女だって警戒してほしかった」「ごめんなさい桃香さん/大好きなのに...」 和解の場面があって,年上の彼女が笑ってふと漏らす:「あー助かった/あの状態が続いてたら奴もやばかったな」 主人公ははじめて状況に気がつく。卒業式の日,主人公は自分が恋した教師の前に立ち,かつてないほどに真剣な表情で,真正面から問いかける:「いまちょっとだけ,私のこと好きでしょう?」 1頁分のたっぷりとした間があって,教師は娘の前髪にそっと手をやり,「ちょっとな」 二人は明るく笑う。
 女子高生の恋愛なんて何の関心も持てないし,甘ったるいマンガは苦手なので,好きか嫌いかと云われたら,これはもう耐え難いくらい嫌いである。だ・け・ど,谷川史子という人は巧いわ。上のストーリーは2006年発表の「プリズム」,人が成長する瞬間を鮮やかに切り取って,もう完璧というしかない短編である。
 というわけで,最近はこういうマンガも読めるようになってきました。年を取ったせいだろうか。

Bookcover 文鳥様と私 9 (LGAコミックス) [a]
今 市子 / グリーンアロー出版社 / 2009-01-06
もとの版元は倒産したが,別の版元に無事移った模様。

コミックス(-2010) - 読了:01/12まで (C)