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2009年12月 7日 (月)

Faul, F., Erdfelder, E., Lang, A.G., Buchner, A. (2007) G*Power 3: A flexible statistical power analysis program for the social, behavioral, and biomedical sciences. Behavior Research Methods, 39(2), 175-191.
フリーの検定力算出ソフト G*Power 3のマニュアルに相当する論文。
SPSSの出力で,検定と同時にその検定において「観察された」検定力が表示されているのをたまに目にすることがある(調べてみたら,MANOVAコマンドがそうらしい)。あれってなんだか変だなあと,漠然と不思議に思っていた。このたび勤務先で,ややこしい検定の検定力を求めるという用事があって(たまにはそういうこともある),あれこれ考えているうちにこの疑問が再燃した。だって,差の検定の検定力を求めるためには,まず検出すべき差の定義が必要なはずではないですか。その差とはあくまで母集団における差であって,標本において観察された差ではないのだ。いったいどうすれば,検定力を「観察」できるのか?
この疑問についてどこを調べたらいいのかわからなかったので(Cohenの本を調べればいいんだろうけど,面倒だったので),ためしにいつも使っているソフトについての紹介論文を読んでみた。G*Powerにもpost hoc power analysisという機能があるので,その説明を読めばいいや,と思ったのである。
どんぴしゃでした。G*Powerでいうpost hoc power analysisは,有意水準と母集団効果量とサンプルサイズから検定力を算出することを指す。いっぽう,SPSSなどが行っているのはretrospective power analysisと呼ばれるもので,標本における効果量を母集団における効果量とみなし,それを検出するにあたっての検定力を求める。これはいろんな人に批判されている考え方なのだそうだ。なるほどー。

論文:データ解析(-2014) - 読了:12/06まで (A)

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