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2010年4月 8日 (木)

Bookcover 日本政治「失敗」の研究 (講談社学術文庫) [a]
坂野 潤治 / 講談社 / 2010-03-11
戦前の日本政治史における社会民主主義の系脈を辿る,という本。初出は大学の講義録や総合雑誌への寄稿などで,素人にもわかりやすい内容なのだけれど,考え事をしながら読んでいて,後半は頭にはいらなかった。もったいないなあ。機会あらば読み直したい。
 著者曰く,1910年代の吉野作造の民主主義論はいまでもなお有効である。それは現代の政治学者・佐々木毅の議論とそっくりである。佐々木毅は吉野作造の業績を知らないのである。そして吉野作造は,彼に先行する徳富蘇峰の主張が自分の主張ときわめて近いものであることを知らなかった。徳富蘇峰は,自分の主張がその6年前の福沢諭吉の主張と同じであることに言及しなかった。昭和の日本には社会民主主義がなかったのではない。「彼らは『民主化』にはつとめたが『民主主義の伝統化』にはまったくつとめなかったのである。こうして今日でも,近代日本の『伝統』といえば,『天皇を中心とした神の国』が出てくるのである」 なるほど。「伝統」というと,ついつい所与なものだと考えがちだが,ほんとは作りだされていくものなんだよな。

日本近現代史 - 読了:「日本政治『失敗』の研究」