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2013年7月 1日 (月)

Bookcover 天使エスメラルダ: 9つの物語 [a]
ドン デリーロ / 新潮社 / 2013-05-31
しばらく前から、小説など文学作品を読むことになにかちょっと抵抗のようなものがあって... 読まなければならないものがいっぱいあるのに、小説なんて読んでていいのか、という負い目のような感覚のせいで、気軽に手に取りにくくなっていたのである。
 でも、先日ふと思ったのだけれど、たとえばなにかの事故でホームから線路に落ちてしまったとして、這いつくばった状態で頭を上げると、目の前に特急列車が迫ってくる、もう逃れようもない、数秒後に確実に死ぬ... という状況で、なにが頭をよぎるか。皆目見当がつかないが、少なくともマーケティングやデータ解析の未読の本について考えることは絶対にない。でも、もしかすると、前から読みたいと思いつつ果たしていないいくつかの小説については、ああ惜しいことをしたな、結局読めずじまいだった、と思いつつ全身を切り刻まれることが、全くないとはいいきれない。

 というわけで、未読の本の山から一冊手に取る際には小説を優先しようと思い、手始めに読み始めた短編集。著者の名前に惹かれて買っちゃったんだけど(一部に熱狂的なファンを抱えるアメリカの大作家として記憶していた)、なんだか面倒くさそうだなあと思っていた本である。
 案の定、現代文学好き向けのいささか読みにくい小説であったが、短編集なのでさほど敷居は高くない。スラム街の修道女を主人公にした表題作と、監視のごく緩い刑務所で暮らす男の内省を描く「槌と鎌」が面白かった。

フィクション - 読了:「天使エスメラルダ」

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