elsur.jpn.org >

« 読了: Warton & Hui (2011) 逆正弦変換はせーへんように (←いまいち) | メイン | 読了:今井・水山 (2014) コンジョイント分析の架空製品についての予測市場 »

2015年1月27日 (火)

水山元(2014) 予測市場とその周辺. 人工知能, 29(1), 34-40.
 どうやって手に入れようかしらんと考えていたら、人工知能学会誌「人工知能」の記事にはCiNiiで記事単位で買えるものがあることが判明。正確にいうと、CiNiiでは雑誌「人工知能」について、NDL(国会図書館)のOPACに由来するエントリとNII-ELS(先日クローズした国立情報学研究所の奴)に由来するエントリが二重登録されており、後者のエントリにのみPDF購入へのリンクがついているのだ。細かいことだけど、こういうことがあるので、CiNiiで調べものをするときは要注意である。

 恩ある先生だからいうわけじゃないけど、大変勉強になりました。 市場調査の分野で予測市場に関心をお持ちの方も、読まれるとよいと思います。

 いくつかメモ:

 HansonのLMSRについて全然理解できていなかったことが判明。ちょっとメモをとっておくと...
 ある人が出力した分布を表すベクトルを$r$, その$i$番目の要素を$r_i$とする。$r$の逐次的修正$r^{[0]}$→$r^{[1]}$→$r^{[2]}$→...に対してスコアリングルールを適用するのがMSR。特に対数スコアリングルール(実現値 $n$ の下で$r$へのスコアを $b \log (r_n) $とする) を適用するのがLMSR。たとえば $r^{[2]}$→$r^{[3]}$という修正があったとして、実現値が$n$だとわかってからスコア$b \log(r_n^{[3]}) - b \log(r_n^{[2]})$を渡す。これが直接的な実装。
 さて、これと等価なマーケット・メーカをつくりたい。出力分布$r$のかわりに、証券$1,\ldots, N$の価格のベクトル$\pi$を考える。市場の状態を発行枚数のベクトル$q$で捉える。たとえば発行枚数が$q^{[2]}$→$q^{[3]}$と変わったとき、価格分布を$\pi^{[2]}$→$\pi^{[3]}$と変えるとして、この変化によって生じる参加者全員の利得[←という理解でいいのだろうか?]が、あとで振り返ると$b \log(\pi_n^{[3]}) - b \log(\pi_n^{[2]})$になっていました、というようなしくみをつくりたいわけだ。
 [...生まれながらの文系なので、途中を端折って...] これを満たすのが以下の値付けなのだそうである:
 $\pi_n = \{\exp(q_n / b) \} / \{\sum_i^N (\exp(q_i / b)\}$
ええと、各証券の価格を、発行枚数をある単位で数えた値の指数に比例させるわけだ。
 ...いずれきちんと勉強しなきゃ。Chen & Pennock (2007, Conf)というのを読むとよいらしい。

論文:予測市場 - 読了:水山(2014) 予測市場とその周辺

rebuilt: 2020年11月16日 22:57
validate this page