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2020年1月 1日 (水)

Bookcover 増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1)) [a]
クリストファー・R・ブラウニング / 筑摩書房 / 2019-05-10
ナチスドイツの警察予備大隊に属する平凡な市民たちが、ポーランドでユダヤ人を大量虐殺するに至るプロセスを描く。人間の暗い謎のみが心に残る...

Bookcover 百代の過客 〈続〉 日記にみる日本人 (講談社学術文庫) [a]
ドナルド・キーン / 講談社 / 2012-04-11

Bookcover 砂漠の修道院 (平凡社ライブラリー) [a]
山形 孝夫 / 平凡社 / 1998-01-14

Bookcover リバタリアニズム-アメリカを揺るがす自由至上主義 (中公新書) [a]
渡辺 靖 / 中央公論新社 / 2019-01-18

Bookcover 政治の世界 他十篇 (岩波文庫) [a]
丸山 眞男 / 岩波書店 / 2014-02-15
話の本筋からは離れるんだけど、この本所収の「政治学入門(第一版)」(1949)の冒頭で、丸山がこんな逸話を披露している。一昨年(ってことは1947年頃)、丸山の研究室に大審院の判事が「知人の紹介状」をもって訪ねてきた。いわく、今度の最高裁長官の詮衡にあたり、裁判所内では醜悪な権謀術策が横行している。我々は××派の策動を阻止すべく、政治学専攻のあなたになにか示唆を与えて頂きたい。「大学の政治学の講義ではそういう政治的な術策については教えないのですか」。いや冗談じゃないよ、政治学ってのは政治的駆け引きを教えてるんじゃなくて...と、政治学とはなにかをひとしきり説明したが、あまり素っ気ないような気がしたので、マキャベリの「ディスコルシ」と「君主論」を貸した。(なお解説によれば、この逸話は初代最高裁長官の選出をめぐる紛糾を指していて、丸山のいう「知人」とは少数派を支持していた南原繁ではないか、とのこと)
 面白いなあ。敗戦後すぐの段階では、大審院判事のような知識階層のあいだでも、政治学という領域について十分なコンセンサスがなかったということかしらん。こういうエピソードは他の学問分野についても耳にすることが多い。我々が自明視している××学というのも、案外歴史が浅かったりするわけだ。

ノンフィクション(2018-) - 読了:「政治の世界」「リバタリアニズム」「砂漠の修道院」「百代の過客・続」「普通の人々」

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