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2010年12月21日 (火)

Bookcover 殺人者たちの午後 [a]
トニー・パーカー / 飛鳥新社 / 2009-10-14
殺人犯たちのロング・インタビュー集(原著1990)。著者はオーラル・ヒストリーで知られるイギリスのジャーナリストとのこと。かの国におけるスタッズ・ターケルのような人なのだろうか。
訳者の沢木耕太郎さんが,殺人を犯し終身刑を受けた彼ら・彼女らのそれからの生活が,しかしそれぞれの豊饒さを湛えている... という意味のことを書いていた。全くその通りだ。どんな状況であれ,生きていることそれ自体が豊饒な営みでありうる。

読了:「殺人者達の午後」

2010年12月18日 (土)

Bookcover 孫正義が語らない ソフトバンクの深層 [a]
菊池 雅志 / 光文社 / 2010-12-16
著者は週刊誌出身のフリー記者。孫さんを除く幹部社員のインタビューに基づく,ソフトバンク解説本。買ったその日に一気読み。面白かった。
SBモバイルCTOの宮川さんは,SBがiPhoneを持つ前(ということは2007~8年頃か)のインタビューでこういっているそうだ:「携帯電話端末は飽和に近いと思ってます。ただ,少し角度のちがった形のネットワークの接続機器は,まだまだ増えると思うんです。[...] ただARPUという考え方はもうなくなってくかもしれない。EBITDAマージンとか [企業の収益性指標のこと],そういう議論になってくるかもしれない。いくら設備投資して,いくら収益チャンスをつくって,いくらの収益がありますかというだけでの議論で,台数もへったくれもなしでね。台数があるからARPUの議論になるんです」「[次世代通信規格によって]つながる形態がかわって,フルIP世界のインフラになると,結局はトラフィック処理のボリュームだけのフィックスと同じレベルにモバイルはなっていくと思う。そうなってきたときに,モバイル全体の形が変わりだすかなと思うんです」へええ。。。

 通信業界の最新動向といった格好いい話題にはあまり関心を持てないんだけど(詳しい人が山ほどいるから),たとえばSBで,「スパボ一括」といったかしらん,契約プランの上手い組み合わせによって基本料がほぼ無料になってしまうというようなことがあったと思う。最近では,auが最初に出したスマートフォンが,いまや端末タダ,wifiだけなら月額ほぼタダ,というようなことになっているらしい。ああいう事態がブランド価値にどのような影響を与えるのか,という点には関心を引かれる。
 それは価値を毀損するでしょう,というのが普通の反応かと思うのだが(この本にもそういうことが書いてあった),俺はど素人なもので,そこがいまいち腑に落ちない。消費者からみて「スパボ一括」はSBのサービスだったのか? それとも,それは複雑な世の中に生まれたちょっとした抜け道として認識されていたのか?
 たとえばBMWが「長年のご愛顧に感謝,抽選で毎月10名様に新車プレゼント」などというプロモーションをはじめたら,BMWのブランド価値は下がるだろう。では,どこかの全く関係ない会社が「抽選で10名様にBMWの新車をプレゼント」しちゃったらどうなるのだろうか。その会社の正気が疑われこそすれ,BMWのブランド価値は大して下がらないのでは? それとも,「事情はともあれBMWがタダ」すなわち「BMWって安っぽい」という単純な連想が生じ,BMWのブランド価値は傷ついてしまうか? 対人認知のアナロジーでいえば,意識的な帰属推論と自動的な連想過程の両方がありうる,だから二重過程理論が必要だ,ということになるんだろうけど...

Bookcover 就活エリートの迷走 (ちくま新書) [a]
豊田 義博 / 筑摩書房 / 2010-12-08
就職活動に真面目に取り組み第一志望の内定を得る「就活エリート層」が,しかし就活そのものへの過剰適応により,入社後かえって不適応を起こしがちである...といった内容の本。就活を支配するゴール志向のキャリア観が彼らのアイデンティティを再構成してしまう由。シニカルな社会学者が指摘しそうな話だが,これがリクルートの人が書いた本だというところが面白い。
 ま,俺にとっては全体的にアフリカの習俗のような話で,いまいちよくわからない話題の本だったのだが,大学から逃げ出した直後に拾って頂いた会社で,お願いして参加させてもらった新人研修のことを思い出し,ああ新卒採用のあの子たちのまっすぐな瞳はこのように形成されていたのね...と感じ入る箇所があった。
 最終章の提言では,選考プロセスをもっと多様化させるべし,教授推薦枠を復活させるのはどうか,とあるが。。。大学にそれだけのキャパシティが残されているかどうか,怪しいところだ。

 現在のご奉公先の仕事で,日本を代表するような立派な大企業にお邪魔することが珍しくないのだけれど,「この会議室にいる人々は,学部3年次かそこらから真面目に就職活動し,自己分析とか面接対策とかしたんだろうなあ,そんでこの会社の内定を勝ちとった際には家族でお祝いとかしたんだろうなあ」などと考えた途端に,強烈な気後れと疎外感を感じ,ゴメンナサイゴメンナサイと謝って逃げ出したくなる。新卒採用!大企業!就職! そんなの俺は試そうとも思わなかったし,仮に試みても到底ムリだった。そんな奴がいまや「消費者理解によって御社のビジネス課題を云々」などと平然と偉そうなこと云ってんだから,まあいい気なものだ。

Bookcover おすもうさん [a]
高橋秀実 (たかはし・ひでみね) / 草思社 / 2010-08-24
著者一流の,奇妙な味わいのルポルタージュ。しばらく前に読み終え,ここに記録しないまま勤務先の同僚に貸していた。

Bookcover ゲゲゲの人生 わが道を行く [a]
水木 しげる / 日本放送出版協会 / 2010-07-28
上記の本と交換で借りた本。「ゲゲゲの女房」ブームに当て込んだインタビュー本だった。30分で読了。

読了:「孫正義が語らないソフトバンクの深層」「就活エリートの迷走」「おすもうさん」「ゲゲゲの人生」

2010年12月12日 (日)

Bookcover 月夜にランタン [a]
斎藤 美奈子 / 筑摩書房 / 2010-11
この評論家の本には当たりはずれがあると思うのだけれど,自分では絶対読まないタイプの本を読んでくれるという点ではとてもありがたい。この本でも「萌え系勉強本の読み比べ」などという酔狂なことをしておられる。

Bookcover アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書) [a]
渡辺 靖 / 岩波書店 / 2010-10-21

Bookcover ルポ 出所者の現実 (平凡社新書) [a]
斎藤 充功 / 平凡社 / 2010-11-16

読了:「月夜にランタン」ほか

2010年12月10日 (金)

どういうわけか目が回るような忙しさが続き,ろくに本も読めない。。。と,10月頃から同じことばかり書いているが,ほんとにそうなのである。おかしいなあ。

Bookcover マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書) [a]
山之内 靖 / 岩波書店 / 1997-05-20
先日,官房長官が国会の答弁で,自衛隊を指して「暴力装置」と呼び,ごうごうたる非難を浴びて,のちに発言を撤回する羽目になった。ああ,なんて馬鹿馬鹿しい,と溜息をついた次第である。なんとまあ教養を欠いた人々であろうか。暴力行使を独占する共同体として近代国家を位置づけたのは,あの有名な社会学者の,その,えーっと。。。誰だっけ?
 どうやら教養を欠いているのは俺のほうだ,というわけで,反省してヴェーバーの解説書を読んでみた。本棚の奥に眠っていた本で,いつ買ったのか定かでない。
 ヴェーバーがいかにニーチェに近いか,と力説する内容であった。その主張がどれだけユニークなものなのか,予備知識がないのでよくわからない。

Bookcover 代表的日本人 (岩波文庫) [a]
内村 鑑三 / 岩波書店 / 1995-07-17
日本の偉人を英語で紹介した読み物。取り上げられているのは,西郷隆盛,上杉鷹山,二宮尊徳,中江藤樹,日蓮の5人。伝記というより,偉人を通じた著者の意見表明に近い。出版時に山路愛山が「たとへ歴史上の人物に非ずとも猶内村君の心中に於いて血肉を有したる人物」を描いていると評したそうだが,その通りの内容であった。
 内村鑑三といえば絶対的な反戦主義者というイメージがあったが,それは日露戦争以後の話であって,この本(1894)の段階では案外に国家主義的である。

Bookcover 策謀家チェイニー 副大統領が創った「ブッシュのアメリカ」 (朝日選書) [a]
バートン・ゲルマン / 朝日新聞出版 / 2010-10-08
ブッシュ政権におけるチェイニー副大統領の強大な役割に焦点を当てたノンフィクション。分厚い内容だが,面白さに負けて一気読み。

読了:「マックス・ヴェーバー入門」ほか

2010年12月 1日 (水)

Bookcover 旧石器遺跡捏造事件 [a]
岡村 道雄 / 山川出版社 / 2010-11-03
著者は2000年に発覚した旧石器遺跡捏造によって人生を狂わされた考古学者の一人。正直言って考古学には大して興味がないんだけれど,足元が崩れ落ちるような危機を人はどのように生きるのだろうか,という関心から手に取った本。
 著者は遺跡を捏造した藤村新一さんと対面し,疑問を直接に問い質そうと決意する。彼が姓を変えて暮らす町を訪ねると,現れた彼は往時と変わらぬ朴訥とした雰囲気だが,「右手が二度と悪さをしないようにと」自ら指を切り落としている。しきりに謝罪するが,捏造や発覚前後のことを思い出すことができない。
 「私自身,彼のお陰で共犯者のように指弾され,針のムシロに座り続けたような十年間を過ごしてきた。目の前の藤村は,最低限の倫理すら踏み外し,大勢の仲間たちをどん底に叩き落とした,許せない張本人だった。その男を前にして,不甲斐ないと笑われるかもしれないが,不思議に叱責したり,憎悪する気が起こらなかった。それは,彼が自ら切り落とした右手の指を見てしまったからかもしれない。沢山の人々に迷惑をかけ,考古学界の信用を失墜させた許されざる彼にも,地獄のような十年間があった…」

Bookcover 巨象の漂流 JALという罠 (講談社BIZ) [a]
小野 展克 / 講談社 / 2010-11-16

読了:「旧石器遺跡捏造事件」 ほか

2010年11月22日 (月)

Bookcover 新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks) [a]
井野朋也(ベルク店長) / ブルース・インターアクションズ / 2008-07-04
JR新宿駅東口地下改札を出て丸ノ内線方向に歩くと,ちょっと古ぼけた雰囲気のコーヒーショップがある。何度か入りかけたが,芋を洗うような混雑,注文カウンターから店外にまで伸びる行列をみてあきらめた。で,土曜夕方の中途半端な時間に通りかかった際,のぞきこんだらさすがに多少はスペースに余裕がある様子だったので,入ってみたところ,メニューが異常なまでに充実しており,なんと旨そうなビールまである。たまたま空いていた座席を確保して店内を見回すと,壁の掲示といい客層の広さといい,一癖も二癖もありそうな風情である。
 東口のルミネエスト(旧マイシティ)に大家と揉めている店子があり,存続の署名運動まで起きているという話は聞いたことがあったのだが,その記憶とこのコーヒーショップ「ベルク」とが,頭の中ですぐには結びつかなかった。店主の手によるこの本を書店で見かけてようやく気がついた次第。
 特に面白かった箇所を抜き書き:

というわけで,山手線なみの混雑と煙草の煙に耐えつつ,最近時々この店に寄っている。ビールどころか,なぜか旨い日本酒まで置いているのである。面白いなあ。立ち退き問題は国会の質問で取り上げられるまでになっているようだが,なんとかお店を続けてほしいものだ。

Bookcover うつ病新時代 ― その理解とトータルケアのために (最先端医療の現場から3) (平凡社新書) [a]
張 賢徳 / 平凡社 / 2010-10-16

Bookcover ブラック企業、世にはばかる (光文社新書) [a]
蟹沢 孝夫 / 光文社 / 2010-04-16
失礼な言い方になっちゃうけど,かなり散漫な内容に思えた。

Bookcover 中世神話 (岩波新書) [a]
山本 ひろ子 / 岩波書店 / 1998-12-21

Bookcover 助けてと言えない―いま30代に何が [a]
NHKクローズアップ現代取材班 / 文藝春秋 / 2010-10

Bookcover ヤマダ電機の暴走 [a]
立石泰則 / 草思社 / 2010-10-13

Bookcover 時間と自己 (中公新書 (674)) [a]
木村 敏 / 中央公論新社 / 1982-01
82年刊のロングセラー。正直言って内容の半分くらいはわからないのだが(特にハイデガーとデリダが出てくるあたり),それなりに興味深く読んだ。
 そういえば学生のころ,この著者の「あいだ」という本を,一頁一頁食いつくようにして読みはじめ,ほどなく挫折したことを思い出す。あの頃とは本の読み方が随分変わってきている。あんな風に真剣に本を読むことがなくなって久しい。

読了:「新宿駅最後の小さなお店ベルク」ほか

2010年10月13日 (水)

Bookcover ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記 (アスキー新書 71) [a]
常岡 浩介 / アスキー・メディアワークス / 2008-07-10

Bookcover 北の後継者キムジョンウン (中公新書ラクレ) [a]
藤本 健二 / 中央公論新社 / 2010-10

読了:「ロシア 語られない戦争」ほか

2010年10月 4日 (月)

Bookcover 生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866) [a]
井上 浩一 / 講談社 / 2008-03-10
ビザンティン帝国の歴代皇帝のなかでもっとも評判が悪いのはコンスタンティノス5世という人で,その悪評の主たる原因は修道士たちを弾圧した点にあった。修道士たちがキリスト像やマリア像に向かって祈っていたのを,偶像崇拝として厳しく禁止したのである。ところがその禁止の論拠も,やはり聖書のことばにあった。
 なぜこんな争いが生じたのか。著者いわく,古代の地中海・オリエント世界ではふたつのタイプの神がみられた。ひとつはオリエント型の神。全知全能で近づきがたく,描くこと自体が冒涜である。もうひとつはギリシア型の神で,人間の姿と感情を持つ。前者は古代オリエントの専制国家体制と結びつき,後者はギリシア民主政治と結びついていた。で,ローマ帝国に広がったキリスト教の神は,もともとオリエント起源でありながら,いわば両者の折衷版,全能全知にして人間に近づきうる神であった。偶像崇拝を巡る問題は,神のヘレニズム化に対するオリエント的反動であり,この反動を乗り越えることで2つの文化がついに融合し,ビザンティン帝国繁栄の基礎が築かれたのである。。。とのこと。なるほどー。

Bookcover ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む (新潮文庫) [a]
須田 慎一郎 / 新潮社 / 2010-08-28

Bookcover 中世の非人と遊女 (講談社学術文庫) [a]
網野 善彦 / 講談社 / 2005-02-11

Bookcover フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書) [a]
河合 太介,渡部 幹 / 講談社 / 2010-06-17

Bookcover いくさ物語の世界―中世軍記文学を読む (岩波新書) [a]
日下 力 / 岩波書店 / 2008-06-20

読了:「生き残った帝国ビザンティン」 ほか

2010年9月20日 (月)

Bookcover 崩れ (講談社文庫) [a]
幸田 文 / 講談社 / 1994-10-05
昭和51年,72歳の著者は山菜採りの小旅行に出かけた先で,安倍川上流にある大規模な崩壊地(山が崩れている場所)「大谷崩」を目にし衝撃を受ける。その衝撃のあまりの深さから,著者はやむにやまれず全国の「崩れ」を訪ねる旅をはじめてしまうのである。長年愛用の和装を脱ぎ捨てパンツ姿となり(洋服の幸田文なんて想像つかない...),山道は同行者に背負ってもらうという熱の入れようである。ところが,いったいなぜそうまで「崩れ」に心揺り動かされるのか,自分自身でも掴みきれない様子なのだ。いっけん美しいのだけれど,読み終えたあとにざらりとした異和感が残る,一種異様なエッセイであった。

Bookcover ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書) [a]
本田 良一 / 中央公論新社 / 2010-08
釧路の自立支援プログラムの話が面白かった。著者は北海道新聞の人で,いま気がついたけど,ノンフィクションの名作「密漁の海で」の著者である。

Bookcover 日本赤軍!世界を疾走した群像―シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する〈2〉 (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 2) [a]
塩見 孝也,和光 晴生,足立 正生,若松 孝二,重信 房子,小嵐 九八郎 / 図書新聞 / 2010-09
なんだかなあ。。。

Bookcover ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く (Mainichi Business Books) [a]
藤原 章生 / 毎日新聞社 / 2010-08-31

Bookcover 傷だらけの店長 〜それでもやらねばならない〜 [a]
伊達雅彦 / パルコ / 2010-07-31
一書店店長が現場での苦闘と深い疲弊を綴った連載エッセイ。読み終えてから考え込んでしまった。これ,いわゆる「やりがいの搾取」ではなかろうか...

読了:「崩れ」ほか

2010年9月 4日 (土)

Bookcover 春画 片手で読む江戸の絵 (講談社学術文庫) [a]
タイモン・スクリーチ / 講談社 / 2010-07-12
ずっと気になっていた本なのだが,文庫化されているのに気がつき購入。まじめな学術書だが,文中の図版が時折スゴイので,電車の中ではちょっと読みにくかった。
春画のなかには独特のシンボリズムがあって,植物でいえば,桜は若い娘の儚い性を,老梅は年配男性の衰えぬ精力を表す。菊や岩つつじは男色を表す(前者は外見が肛門と似ているから,後者は殊勝の覚悟を示し,さらには「言わじ」に通じるから)。観葉植物として一般的であった石菖も,絵のなかではエロティックな含みを持っているのだそうで,これもその外見に由来するのだそうである。へええ。

Bookcover 戦争の記憶―日本人とドイツ人 (ちくま学芸文庫) [a]
イアン ブルマ / 筑摩書房 / 2003-07

Bookcover 定家明月記私抄 (ちくま学芸文庫) [a]
堀田 善衛 / 筑摩書房 / 1996-06
Bookcover 定家明月記私抄 続篇 (ちくま学芸文庫) [a]
堀田 善衛 / 筑摩書房 / 1996-06
藤原定家の日記をしみじみと読む歴史エッセイ。読み進めるにつれ,大昔に読んだ際の記憶がかすかに甦り,妙な気分だった。たぶん中学生のころ,雑誌の連載を追いかけていたのだと思う。年寄りくさいガキであったことだ。

読了:「春画」ほか

2010年8月16日 (月)

Bookcover さようなら、ゴジラたち――戦後から遠く離れて [a]
加藤 典洋 / 岩波書店 / 2010-07-29
「敗戦後論」から15年,関連する短い文章をまとめたもの。いくつかは既読であった。
 大学院生の頃,同期生の男となにかこみいった研究の話をしていたら,ふと彼がこちらを見て,そうだ,これは言うなれば「語り口の問題」だよ,と笑ったことがあったのを覚えている。たまたま二人とも「敗戦後論」の単行本を読んでいて,彼はその本に収められた「語り口の問題」という文章を踏まえてそういったのだった。ハンナ・アーレントを手がかりに公共性の構築について論じている元の文章と,そのとき我々が話し合っていた心理学の研究にまつわる実にささやかな話題とは,まったく共通するところはなかったのだけれど,加藤典洋の執拗で曲がりくねった思考の筋道のようなものを,彼が深いところで受け止めて自分のものとしているような気がして,印象に残った。
 この著者の本を久しぶりに読んでいて感じたのだけれど,この人の文章のなかには,あとで全く違うことを考えているときにふと顔を出すようなところがある。なんというか,否応なしに深いところで受け止めなければならない,というような。それはきっと先生が,そのときに論じている問題(戦後社会とか憲法問題とか)について考えているだけでなく,その「考え方」についても極めて自覚的で,かつそこに紙幅を割いているからではないかと思う。
 たとえばこんな箇所。
 「たとえば,待ち合わせをすることになって,渋谷のハチ公前で会おう,というとき,先に来たほうが,そのハチ公前には立たないで,そのハチ公前が見える別の場所に位置して,相手がハチ公前にくるのを待つ,ということがある。ハチ公前で待っていると,いつどの方向から相手が来るだろう,いまかいまか,というので疲れる。そんなところから,こういう待ち方が生まれたのだろうが,そのもう一つの待ち場所のことを,英語では"shooting spot"というのである。つまり,シューティング・スポット(狙撃地点)とは,自分からは相手が見えて,相手からは自分が見えない場所のことをいう。これと同じことが思想についてもいえる。ものを考える上で大切なのは,むしろ自分を狙撃される位置,ハチ公の位置に立たせることだ。そうでないと,その『考えること』は,結局その人自身の身にならないだろう---。」
 「いまの若い人は戦争の話など聞かせると,『オレは関係ないよ』と思っているんですね。『オレは関係ないよ』と思っているから,なにも発言しないんです。でも,『オレは関係ないよ』といったん言えば,その発語は,次の『では,どうであれば関係が生じるか』という問いを呼ぶ。彼はそれに答えなければならなくなる。この『オレは関係ないよ』は,実は,発語されると,世界の引き受けの足場になるのです。」
 笑っちゃうような話だが,俺がこれを書き写しながら考えてしまうのは,戦後思想の問題じゃなくて,いまの勤務先の仕事のことである。きちんと考えないとうまく書けないので,曖昧な言い方になるが,ときどき誰かが小声で呟く「まあ所詮××だからね...」っていうの,あれは要するにshooting spotだと思う次第である。そしてそのように日々溢れだすshooting spotが,私たちを徐々にスポイルしていくのである。小声で呟いていてはだめだ,発語しなければ。

Bookcover 最後の授業――心をみる人たちへ [a]
北山 修 / みすず書房 / 2010-07-22
世間一般では,著者はかつてのフォーク・クルセイダーズのボーカルにして大学教授というところだが,臨床心理系の人にとっては,もうなんというかその,神様みたいな人である。この春に九大を退官なさったんだそうで,その際の記念講義をまとめたもの。意外にも,ケースは全然紹介されない。

Bookcover オリエンタリズム〈下〉 (平凡社ライブラリー) [a]
エドワード・W. サイード / 平凡社 / 1993-06
再読のような気もするんだけど定かでない。
いやあ,実に読みにくい本だった。これはただの翻訳の問題ではなくて,サイード先生の言い回しがあまりクリアでないからだろう。さらにいえば,ヨーロッパにとってのオリエンタリズムを日本の近代に当てはめると,西洋に対してはアラブ人,アジアに対してはヨーロッパ人の役回りとなり,とてもややこしくなってしまうので,その意味でもなかなか読み進みにくい。

Bookcover サラ金殲滅 [a]
須田 慎一郎 / 宝島社 / 2010-07-17

Bookcover 14歳からの靖国問題 (ちくまプリマー新書) [a]
小菅 信子 / 筑摩書房 / 2010-07-07

Bookcover マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて (平凡社新書) [a]
吉田 よし子 / 平凡社 / 2000-04
大豆をはじめとする世界のマメについて縦横無尽に語る,意外なオモシロ本。著者は32年生まれ,農林省の技官を経てフリーの著述家という方。海外生活の経験が豊富だわ,農芸にも食物学にも強いわ,顔は広いわ,そしてなにより,大変に食い意地が張っておられる,という。。。この本を世にもたらすために降臨してきたような人である。

Bookcover 国際貢献のウソ (ちくまプリマー新書) [a]
伊勢崎 賢治 / 筑摩書房 / 2010-08-06

Bookcover 鳥居耀蔵―天保の改革の弾圧者 (中公文庫) [a]
松岡 英夫 / 中央公論新社 / 2010-07-23
「妖怪」と呼ばれた陰謀家にして,時代劇・時代小説における定番の大悪人,鳥居耀蔵の伝記。もとは中公新書らしい。
全然知らなかったんだけど,鳥居が老中・水野忠邦の片腕として権力をふるったのはたったの六年。失脚して讃岐・丸亀に流された後,幽閉の身のまま実に二十三年間生き続け,なんと,明治元年の東京に戻ってくるのである。以後亡くなるまで,人を訪ねたり散歩したりして過ごしたそうである。長生きってひとつの勝利だ,と痛感。

読了:「さようなら,ゴジラたち」ほか

2010年8月 2日 (月)

Bookcover 生きのびるための建築 [a]
石山 修武 / エヌティティ出版 / 2010-03-26
近所を散歩していると,なんだか怪しげな掘っ立て小屋のような住宅があって,垣根の隙間からのぞき込むと,敷地内の庭だか空き地だかに,四季折々の花が美しく咲いていたりする。しばらくしてから知ったのだが,それはある高名な建築家の有名な自宅なのだった。なんでもその先生はこの自宅で建築学会賞を取ったそうだから,きっと現代建築マニアの間では広く知られた代物なのだろう。
 一昨年,世田谷美術館でこの建築家の展覧会があった。その展示の内容は...ご自宅の模型を含め,なんというか,壮大な冗談というか,名をなした人にだけ許される幻視というか。この先生に設計を頼もうという施主のほうが偉いよねえ,と途方に暮れて眺めていたら,その展示室の片隅に机やらパソコンやらがあり,院生らしき若者もいて,なんでも展示期間中は先生の研究室ごと美術館に移転しており,会期中先生は希望者に対して夜の美術館で講義をなさる由であった。その石山先生という方,どんな偉丈夫かと想像を膨らませていたら,不意に「先生」と呼びかける声がある。見ると,俺の隣で所在なげにうろうろしていた貧相な初老の男こそが,かの石山先生その人なのであった。近所ですれ違っても絶対にわからない。
 というわけで,先生のお仕事については残念ながらからっきし理解できないわけだが,その際に美術館で行った講義をまとめたこの本は,講義録というフォーマットのせいか,門外漢の俺にも大変面白かった。

 内容をメモしておきたいのだけれど,なんだかめんどくさくなってきてしまった。。。この本に関しては,自分だけが密かに面白がっているということで,ま,よしとしようか。

読了:「生きのびるための建築」

2010年8月 1日 (日)

Bookcover シリーズ 日本のドキュメンタリー (全5巻) 第1回 第1巻 ドキュメンタリーの魅力 [a]
佐藤 忠男,吉岡 忍,森 まゆみ,池内 了,堀田 泰寛,小泉 修吉,矢野 和之,佐藤 博昭 / 岩波書店 / 2009-10-06

Bookcover 他者の苦痛へのまなざし [a]
スーザン ソンタグ / みすず書房 / 2003-07

Bookcover 日本の路地を旅する [a]
上原 善広 / 文藝春秋 / 2009-12-15

Bookcover オリエンタリズム〈上〉 (平凡社ライブラリー) [a]
エドワード・W. サイード / 平凡社 / 1993-06

読了:「他者の苦痛へのまなざし」ほか

2010年7月21日 (水)

Bookcover エセー〈3〉 [a]
ミシェル・ド モンテーニュ / 白水社 / 2008-03
ながらく鞄のポケットに差し込んで,気分転換用にちびちびめくっていたのだが,このたび4巻が刊行されたのを機に,残りの章を一気に読みおえた。もし組み立てがしっかりしている文章をもって良い文章と呼ぶならば(常識的にはそうですよね),このフランス貴族の文章は,もうどうしようもないレベルである。「父親が子供に寄せる愛情について」という章なんて,子育ての話をしていたと思いきや,突然著者と作品のあいだの関係の話に移り,落ちもまとめもないままに終わってしまう。モンテーニュさんの話の流れはくねくねと蛇行し,いったいどこに進むのか見当もつかない。これが妙に面白いのである。昼休みにコーヒー飲んでいるときなどは特に。

Bookcover 勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来 [a]
ロバート・B. ライシュ / 東洋経済新報社 / 2002-07
著者はアメリカのリベラル派の論客。ずいぶん前にほとんど読み終えていて,最後の章だけ残っていた。
 高度情報化社会が生んだ過酷なグローバル資本主義と,その反動たるネオ・ラッダイト的な閉鎖主義とのあいだでバランスを取っていくためには,共同性の再構築に基づく社会的選択が必要だ,というような趣旨であった。失業保険を収入保険に置き換えるとか,貧困層への住宅支援バウチャーで地域格差を減らすとか。

Bookcover お風呂の歴史 (文庫クセジュ) [a]
ドミニック・ラティ / 白水社 / 2006-02-15
ヨーロッパのお風呂の歴史について述べた本。お風呂の中で読むには最適であった。ギリシャ・ローマ時代はもちろん,中世においても入浴はさかんに行われていたのだが,ルネサンスとともにお風呂の暗黒時代が訪れるのだそうだ。ふーん。

Bookcover 限界集落 [a]
曽根 英二 / 日本経済新聞出版社 / 2010-04-23
テレビ記者による,岡山の過疎集落の長期密着ドキュメント。

読了:「エセー 3」ほか

2010年7月16日 (金)

Bookcover 無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150)) [a]
網野 善彦 / 平凡社 / 1996-06
歴史学の名著として誉れ高い本だが,網野先生一世一代の大勝負!という熱さが伝わってくる内容で,学術書としてはいささか型破りかもしれない。とても面白かった。よく理解できてもいないのに無責任に面白がることができるのは,門外漢の特権でありましょう。

Bookcover 不屈のために 階層・監視社会をめぐるキーワード (ちくま文庫) [a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2005-06-08
先日の東京国際ブックフェアで購入。例年大盛況の筑摩書房ブースで,半額本として処分されていた。。。

読了:「無縁・公界・楽」ほか

2010年6月29日 (火)

「もう忙しくて忙しくて」などと口にする奴にロクな奴はいないのだが(いや,これは本当です),ここんとこ訳がわからないくらい忙しくて忙しくて。。。すっかり消耗しました。ストレス発散に買い込んだ本だけが,部屋にどんどん貯まっていく。

Bookcover 腐った翼―JAL消滅への60年 [a]
森 功 / 幻冬舎 / 2010-06

Bookcover 残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ) [a]
山崎将志 / 日本経済新聞出版社 / 2010-04-09
申し訳ないけど,30分で読了。

Bookcover 人口負荷社会(日経プレミアシリーズ) [a]
小峰 隆夫 / 日本経済新聞出版社 / 2010-06-09

Bookcover 民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1) [a]
菅原 出 / 筑摩書房 / 2010-06-09
ジャーナリスト向けセキュリティ訓練に参加した体験談が面白かった。ゲリラ役のスタッフに拉致され殺されそうになるなど,そこまでやるか,という本格的な演習である。

Bookcover オウムを生きて―元信者たちの地下鉄サリン事件から15年 [a]
青木 由美子 / サイゾー / 2010-03-11

Bookcover 使い捨てられる若者たち―アメリカのフリーターと学生アルバイト [a]
スチュアート タノック / 岩波書店 / 2006-03-15
アメリカの若年非正規労働者の調査報告。博士論文が元になっているそうだ。解説にある「21世紀の「ハマータウンの野郎ども」だ」という誉め言葉は,さすがにちょっと大げさな感じがするが,面白い本ではあった。

Bookcover 日本とは何か 日本の歴史〈00〉 [a]
網野 善彦 / 講談社 / 2000-10-24
2000年の刊行時に買った本。たぶん再読。先週ようやく仕事が一段落し,その反動もあって,ただいまちょっとした網野先生ブームなのである。仕事に関係のない本は胸和むぞ。

読了:「日本とは何か」ほか

2010年6月15日 (火)

Bookcover 悲しみのダルフール [a]
ダミアン・ルイス,ハリマ・バシール / PHP研究所 / 2010-04-08
スーダンのダルフール紛争での虐殺を生き延びた女性によるノンフィクションだが,半分以上が田舎町での少女時代の思い出に割かれている。ガルシア・マルケスを思わせる,ほとんど神話的にさえ感じられる世界。とびきりの秀才であった彼女は家族の支えを受け,都会で高等教育を受けて医者となる。しかし故郷の村はジャンジャウィード(アラブ系民兵)に蹂躙され,彼女自身も残虐な暴行を受ける。

読了:「悲しみのダルフール」

忙しい忙しいという奴にロクな奴はいないと思うのだが,いやいや,なんだか忙しい忙しい。。。

Bookcover 生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書) [a]
白波瀬 佐和子 / 岩波書店 / 2010-05-21
教育,若者の雇用,ジェンダー,高齢者の4つの領域での格差と不平等について概観した本。著者云うところの「お互いさまの社会」実現のための提言としては,(1)再分配政策の見直し(富裕層の所属税増税とか),(2)子育て支援や就労支援で,社会保障機能の恩恵を実感させること,(3)柔軟な就労を可能にする参加型社会の形成によって財源を確保すること,の3つが挙げられている。ふうん。

Bookcover 社会史とは何か (洋泉社MC新書) [a]
阿部 謹也 / 洋泉社 / 2009-11-06
晩年の短めの文章の集成。
グリム童話のようなメルヘンについて語る「メルヘンにみる中世人のこころ」という文章の末尾に,こんなくだりがあった。「メルヘンは全体として中世の小宇宙のなかで生きていた人々の夢を描いた話として浮かび上がってくる」「中世の人々は日々 [病気や貧困などの] 不安のなかで暮らしていたのである。しかし中世にもそれなり隠蔽の手段があった」「不安を根本的に解消するためには,大宇宙の力と折り合いをつけることができなければならなかった。そこで生まれるのがメルヘンである。メルヘンの主人公は孤立し,一人前とはいえない欠陥をもった人間である。このような人間でも大宇宙の力の前に謙虚になったとき,大宇宙は助力の手をさしのべる。その助力によって人間世界のなかで孤立した主人公も,あらゆる人生の困難を乗り切って平和でゆたかな暮らしをすることができるとメルヘンが語っているのである」

Bookcover 改革逆走 [a]
大田 弘子 / 日本経済新聞出版社 / 2010-05-25
俺は経済とか財政とかの知識がからきしないもので,安倍・福田内閣の閣僚が書いたこういう本を読むと,そうですか小泉改革は偉かったですか,なあんてもうすぐに説得されちゃうのである。定見がないとはこういうことだ。

勤務先の同業者が集まる勉強会に行ったら,大学にいたときの末期にお世話になった先生のところの院生が出席していてびっくり。思わず,誰々は知ってる? 誰々は元気? などと質問攻めにしてしまった。勉強会に来ていたのは就職活動の一環らしい。市場調査業界がわざわざ目指すべき職種なのかどうか,俺にはよくわからないんだけど,まあ,いろんな人の話が聞けるのはきっと良いことなのだろう。
 それにしても,日常の生活のなかで大学の頃の関係者に前触れなく出くわすと,非常に動揺する。上野を歩いていたらいきなり渋谷に着いた,というような,悪酔いのような感覚がある。これもまた,一貫しないライフコースをふらふらさまよっている代償のひとつであろう。ひとつの道を真っ当に進んで成功していたら,きっとこんな目に遭わなくて済んだのだろう。

読了:「生き方の不平等」ほか

2010年6月 7日 (月)

Bookcover レンタルチャイルド―神に弄ばれる貧しき子供たち [a]
石井 光太 / 新潮社 / 2010-05
ムンバイの浮浪少年たちを描いたノンフィクション。目を疑うようなエピソードが次々に登場する。しかし,日本の敗戦後の闇市にも,ここで描かれているのと同種の悲惨があったのかもしれない。

Bookcover ハドリアヌス帝―文人皇帝の生涯とその時代 (文庫クセジュ) [a]
レモン シュヴァリエ,レミ ポワニョ / 白水社 / 2010-03
ローマ五賢帝のひとり,ハドリアヌス帝についての解説。実生活となんら関わりのない本を読みたくなり,手に取った。ローマ近郊に,この皇帝の別荘の遺跡がある由。

読了:「レンタル・チャイルド」ほか

2010年6月 2日 (水)

Bookcover 全体主義 (平凡社新書) [a]
エンツォ・トラヴェルソ / 平凡社 / 2010-05-15
2001年にフランスで刊行された全体主義研究のアンソロジーの序文を膨らませたものが,イタリアで一冊の本となり,これはその翻訳だそうだ。近代の政治思想における「全体主義」概念の変遷を辿る,という内容であった。
 第二次大戦前後,欧米の反ファシズム運動はスターリニズムを批判できなかった(ジョージ・オーウェルや,トロツキストや,空気を読まない少数の例外を別にして)。しかし,ソビエト体制への「盲目の隷属状態という罪を負わされた反ファシズムをまえにして,全体主義への真のアンチテーゼとして,政治的に明快で歴史的に無垢な自由主義を対置させることは,1945年以降の堅固な西欧民主主義を戦間期に投影する回顧的な幻想でしかない。」「ムッソリーニやヒトラーの独裁がかつての自由主義的秩序から生じたのであれば,どうして自由主義をかかげて闘うことができるだろう。」「王党派,ブルジョア,さらに多くに知識人をふくめた[...]イタリア自由主義の主要な流れは,すべてファシズムの側に立ったことを忘れてはいけない。ウィンストン・チャーチルやアメリカの自由主義者が,ムッソリーニを賞賛していたことを[...]忘れてはいけない。プロシアのエリートたちが,1930年から33年にかけて,簡単に彼らの自由主義を投げ捨て,ヴァイマールの民主主義を破壊し,ヒトラーの手に権力をにぎらせたのを忘れてはいけない。1938年のミュンヘン会談の妥協と,スペイン内戦傍観の政策もまた忘れてはいけない。」「ヨーロッパ大陸の自由主義政党のもとでは,ナチズムにたいしてどのような大衆運動も実質的な抵抗も望めないがゆえに,スターリニズムを批判することが控えられたのである。」 なるほど。。。

読了:「全体主義」

2010年5月26日 (水)

Bookcover 歴史とは何か (岩波新書) [a]
E.H. カー / 岩波書店 / 1962-03-20
ホイジンガに「歴史的思惟はいつも目的論的なものである」という言葉があるのだそうだ。 著者いわく,「歴史は伝統の継承とともにはじまるものであり,伝統とは,過去の習慣や教訓を未来へ運び入れることを意味します」「私の考えでは,優れた歴史家たちは,意識すると否とに関わらず,未来というものを深く感じているものです。『なぜ』という問題とは別に,歴史家はまた『どこへ』という問題を提出するものなのであります」

Bookcover これもまた別の話 (新潮文庫) [a]
和田 誠,三谷 幸喜 / 新潮社 / 2010-04-24
週末,気分転換に読んだ本。一本の映画について語り倒すという対談本の二冊目。和田誠さんも三谷幸喜も一流の実作者だから,素人には思いもよらない視点の感想が飛び出すところがエキサイティングなのだが,どうでもいいような馬鹿話もまた魅力的である。
 声に出して笑ってしまったのは,「カサブランカ」の回。I.バーグマン演じるイルザは,現恋人であるレジスタンスの闘士ラズロと,元恋人であるところの飲み屋のオヤジ・リック(H.ボガート)の間で揺れるのだが,なんでもバーグマンは結末を知らされぬままに演じていたのだそうだ。いや,だけど結末を教えてもらわなくたって,主役のボガートが身を引いて,二枚しかない許可書をイルザとリックに渡し,警察署長ルノーら追っ手から脱出させてやらないことには,映画として成立しないではないか? ほかにどんな結末があるというのか,という話になって。。。
三谷「僕ならイルザを残して,リックとラズロが行くというのにしますね」
和田「それでイルザとルノーがうまくいって...」
三谷「新しい愛が生まれる」
なにを考えているのか,まったくもう。

読了:「歴史とは何か」ほか

2010年5月22日 (土)

Bookcover 無縁所の中世 (ちくま新書) [a]
伊藤 正敏 / 筑摩書房 / 2010-05-08

読了:「無縁所の中世」

2010年5月 5日 (水)

Bookcover 現代中国女工哀史 [a]
レスリー・T. チャン,伊藤 正 / 白水社 / 2010-02
原題は"Factory Girls"で,女工哀史という邦題とはかなり遠い内容。シンセンの隣の東莞という都市を舞台に,ビデオテープを早送りしているような激動の環境の中に生きる様々な若者たちを描いたノンフィクション。著者は中国系アメリカ人で,WSJの特派員として中国に長く滞在し,さらにこの本を書くために会社を辞めて東莞に滞在したのだそうだ。
 これまでに現代中国についてのノンフィクションを何冊か読んだことがあって,どれも読んでいて面白かったんだけど,その面白さの一部は,かの国の社会の矛盾やひずみを対岸の火事として眺める気楽さに支えられていた面があったかもしれない。いっぽうこの本は,登場人物の情熱や絶望や苦闘を深く捉えていて,ステレオタイプ的な面白がり方を許してくれない。良いノンフィクションとは,読んでいてつらいものだなあ,と... ようやく読み終えてほっとした。掛け値なしの傑作。

読了:「現代中国女工哀史」

2010年5月 4日 (火)

Bookcover 入門 経済学の歴史 (ちくま新書) [a]
根井 雅弘 / 筑摩書房 / 2010-04-07
残念ながら,俺はほんとに経済学に向いてないらしい。素人向けにわかりやすく書かれているはずのこの本なのだが,ケインズ以後の話になるともうどんどん眠くなってきちゃってさっぱり頭に入らず,しかし最終章で社会学がかった人たち(ヴェブレンとかガルブレイスとか)が出てきたととたんに目が覚めたのであった。ううむ。なにかトラウマでもあるのかしらん。子どもの頃に近代経済学者に鞭で打たれたとか。

Bookcover 経済学は人間を幸せにできるのか [a]
斎藤 貴男 / 平凡社 / 2010-04-17
経済学者たちへのインタビュー集。
 斎藤貴男「経済学者にものを尋ねる場合には,尋ねる側がビジョンを用意しておく必要があるということですね」 伊藤隆敏「所得分配については,そうです。経済学者が自分で答えを書くところじゃない。それは政治家の役割です」 ... とのこと。へえー,そうなのか。それはそれでクリアな立場だ。

読了:「入門 経済学の歴史」ほか

2010年4月27日 (火)

新書ばかりだ... やれやれ...

Bookcover 丸山眞男―リベラリストの肖像 (岩波新書) [a]
苅部 直 / 岩波書店 / 2006-05-19
丸山真男の人生を辿りつつその思想を紹介する,という内容。
 存命のころにはこの偉い先生の本を読んだこともなかったので,いまいちぴんとこないのだが,丸山真男が活発に著述活動を繰り広げていたのは60年代半ばまでなのだそうだ。有名な「文明論之概略を読む」などは,すっかり寡作になった晩年の著作である由。ふうん。

Bookcover 平家の群像 物語から史実へ (岩波新書) [a]
高橋 昌明 / 岩波書店 / 2009-10-21
歴史学者からみた平家物語。
先日,石母田正「平家物語」というとても面白い本を読んだのだが,あとがきによればこの本の著者は,まさにあの本を若き日に読んで歴史研究を志したのだそうだ。そうか,そういう名著だったのか。。。

Bookcover 電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書) [a]
佐々木 俊尚 / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2010-04-15
電子ブックが出版文化を変えるよ,という本。明るい!不思議なくらいに明るく前向きなスタンス。

Bookcover 次に来るメディアは何か (ちくま新書) [a]
河内孝 / 筑摩書房 / 2010-01-07
著者は元毎日新聞の重役で,辞めると同時に新聞社ビジネスの内情をあからさまにした本を書いて話題となった人。その際は古巣に対する思いを切々と綴っておられたが,その後はメディア研究者として地歩を築かれた模様。この本では,2012年には日本のメディア業界は4大メジャー+2グループに集約されている,という大胆な予想を示している。すなわち,NHK, フジ=ドコモ, 読売・日テレ=ソフトバンク,朝日・テレ朝=KDDI,そして日経グループ,エイベックス=吉本=ジャニーズ連合。他の全国紙には特に言及がない。ううむ。上記の佐々木俊尚さんではないが,もう未来のことで頭が一杯なのであろう。

読了:「丸山真男」ほか

2010年4月19日 (月)

Bookcover マンガの脚本概論 [a]
竹宮 惠子 / 角川学芸出版 / 2010-04-08
前にこの著者が書いたマンガの指導書を読んだことがあって,それは俺のような一読者にはものすごく面白い内容だったのだけれど,マンガ家を志している人にとっては,きっと無闇に居丈高な内容だと感じられるだろうなあ,と思ったのを覚えている。それに比べ,この本はずっと穏やかで,教育的配慮に満ちたものであった。著者はいまや大学教授だから,きっと大学での教育経験が効いたのであろう。

 マンガ学部の学生に短歌を与え,それを題材に2ページの作品を作らせるという課題の作例が紹介されている。海辺の高台にある別荘に,いま到着したとおぼしき家族がいて,ローティーンの娘だけがつまらなそうにそっぽを向いている。風が少女の麦わら帽子を飛ばす。追いかけた少女が驚いて立ち止まる。足下には浜辺と広大な海原が広がっている。少女が喜びに目を見開く。そこにかぶせて「門前より 見下ろす浜の人の群れ 地曳網いま上りたるらし」... 上手いじゃないですか。
 さて,竹宮先生のコメント。「良く描けていますが基本的にはワン・アイデアです。それを『お話』の段階にレベルアップさせるためには,ダブルストーリー的な前振りと落としどころが必要です」「女の子が別荘に到着したとき,『つまんない』と思っている言葉が入っていれば,また展開が変わります。『つまんない』と思いながら散歩に行ってみたら,予想外に新鮮なものがみられたという話にすることもできる。その情景だけを見るのではなく,サイドストーリーを用意することがそれを可能にするのです」なんだか偉そうですよね。
 そこで登場するのが,竹宮恵子自らが同じ短歌を題材に描いた2ページの作品。これが,もう,一瞬言葉を失う巧さ。これがダブルストーリーか! そしてこれが落としどころか! 先生ごめんなさい,お言葉の深さを垣間見ました,とひれ伏したい気分になった。

 というわけで,マンガ家生活40年の凄みに打たれる内容であったが,読み終えて思うに... 現代のマンガ表現がどれほどの洗練の高みに達しているかということと,そのようなマンガの将来が明るいかということは,別の問題である。浮世絵の名摺師,SLのベテラン機関士,活版印刷の達人など,頂点に達した名人芸がその産業もろとも滅んでいくという例は枚挙に暇がない。竹宮先生は十分に逃げ切れるからいいとして,いま大学でマンガを学ぼうという学生さんたちは,そのあたりどう考えているのだろうか。もっとも,そこまで考えても仕方がないのかもしれないけれど。

Bookcover 競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書) [a]
大竹 文雄 / 中央公論新社 / 2010-03
ここのところの通勤本。この先生の本はいつも面白い。
貧困対策のために最低賃金を引き上げようという民主党の公約があり,いやそんなことをしたら雇用が減ってしまいかえって貧困が拡大するのだという批判があるけれど,この本によれば,いや最低賃金を引き上げても雇用率は下がらないのだよ,という実証研究があったり(最低賃金付近の労働市場は買い手市場で,低賃金に対して労働者は働かないことを選ぶから),それに対してまた実証ベースでの批判があったりで,論争になっているのだそうだ。へええ。

Bookcover キンドルの衝撃 [a]
石川 幸憲 / 毎日新聞社 / 2010-01-30
便乗本っぽいタイトルなので,あまり期待せずにめくったのだけど,意外に興味深い内容であった。

読了:「マンガの脚本概論」ほか

2010年4月15日 (木)

Bookcover 忠誠と反逆―転形期日本の精神史的位相 (ちくま学芸文庫) [a]
丸山 眞男 / 筑摩書房 / 1998-02
表題論文「忠誠と反逆」が大変面白くて,本に線を引きながら読んだ。いっぽう,もうひとつの有名な論文である「歴史意識の『古層』」は,なにがなんだかさっぱりわからず飛ばし読み。

読了:「忠誠と反逆」

2010年4月 8日 (木)

Bookcover 出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで [a]
鈴木 大介 / 朝日新聞出版 / 2010-03
支援団体の人によれば,母子加算などの「ターゲットがマイノリティグループに限定されている制度をあまり多く作るのは,実は私自身はどうかと思っている」。子ども手当のようなユニバーサルな制度や,保育サービスのような現物手当的なものがよいとのこと。「母親がどういう態度でそのお金を使ったなどと問われないようにすることです」 この見解の背景には,受給者に対する地域社会の深刻な差別がある。そうか。。。恥ずかしながら,よくわかっていなかった。

Bookcover 「お客様」がやかましい (ちくまプリマー新書) [a]
森 真一 / 筑摩書房 / 2010-02-10
エピソード中心の説明なので,どうしても世間話を聞いているような気がしてきてしまう。前著「自己コントロール社会の檻」は興味深い本だったのだが。やさしく書くというのは難しいんだなあ。

読了:「出会い系のシングルマザーたち」ほか

2010年4月 5日 (月)

Bookcover ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書) [a]
堤 未果 / 岩波書店 / 2010-01-21
オバマの選挙運動を支えたアメリカの市民団体のひとつは,いま"Move Obama"をスローガンとして活動しているのだそうだ。「私たち有権者の役割が,選挙中よりむしろあとの方が大きいということを,改めて思い出しました」「私たちのキャンペーンは,[オバマに失望して活動をやめたり,オバマに従って支持を続けるのではなく] オバマに戦争をしない大統領に変わってもらうことであるべきだったのです」
なるほど。ハトヤマに期待し,失望し,そしてチェンジ・ハトヤマと叫ぶ,というのが我々の常である。ムーブ・ハトヤマという発想が欠けているかもしれない。

読了:「ルポ貧困大国アメリカII」

2010年3月29日 (月)

Bookcover アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書) [a]
堂目 卓生 / 中央公論新社 / 2008-03
昨年からちびちび読んでいた本を,ようやく読了。
アダム・スミスの思想を,特に「国富論」の前に書かれた「道徳感情論」の枠組みを基盤として解説した本。この本で描かれるスミスは,有名な「見えざる手」という言葉から連想されるようなウルトラ自由主義経済学者ではなく,穏健なストア派とでも呼ぶべき思想家である。
これもなにかのご縁だし,ひとつ「国富論」を読んでみようかしら,と一瞬だけ思ったが,岩波文庫版をめくってすぐにあきらめました。ゼッタイムリ。
 「道徳感情論」の重要なキーワードである「同感」は,なんだか認知科学でいう「心の理論」を連想させるなあ,と思っていたら,あとがきによれば,すでにそのような指摘がなされているとのことであった。

Bookcover 拝金社会主義 中国 (ちくま新書) [a]
遠藤 誉 / 筑摩書房 / 2010-02-10
2002年,中国社会科学院は人民を「五大社会経済等級」に分類して分析し,社会的格差を直視した報告をまとめて大きな話題を呼んだのだそうだ。で,当時社会科学院の客員研究員をしていた著者が語る裏話によれば,98年に着任した院長(政治局委員)から,早急に社会構造の変遷に関する研究に取りかかれとの指示があり,さらには突如として報告の前倒しを命じられた。02年の党大会で江沢民総書記が「三つの代表」論を綱領化し,私営企業経営者の入党を推進するために必要な報告書だったのだ,とのこと。

読了: 「アダム・スミス」ほか (NF)

2010年3月25日 (木)

今月中旬に「平家物語」を読み終えた後,勢い余って読んだ本を,読んだ順に。

Bookcover 平家物語を読む―古典文学の世界 (岩波ジュニア新書) [a]
永積 安明 / 岩波書店 / 1980-05-20
中高生向けの平易な手引書なのだが,そこここに深い学識を感じさせる内容であった。
「平家」中盤の主役である木曽義仲は,とことん戯画的に描かれる箇所がある反面(「猫間」),敬意とともに描かれている場面もある。最期の場面では

今井の四郎,木曽殿,主従二騎になッて宣いけるは,「日来はなにともおぼえぬ鎧が,今日は重うなッたるぞや」。今井四郎申しけるは...

というわけで,地の文で敬語が使われているのである。このズレは,多くの作者が関わったとみられる「平家」の成立プロセスのなかでの出所の違いを表しているのだけれども,しかしそもそも義仲とは独裁者と英雄という二つの側面を矛盾なく体現していた人物なのであり,そのような「義仲の全体像をみごとに造型しえたところにこそ,「平家物語」の作品としての豊かさもあり,その文学的達成もあったのである」。なるほど,そういう見方があるのか。

Bookcover 平家物語 (岩波新書) [a]
石母田 正 / 岩波書店 / 1957-11-18
意外にも,一番面白かったのがこの本。著者は戦後歴史学の超ビッグネームだが,この本は「平家」を通じて中世史を語る本であるとともに,著者の「平家」への愛を語る本でもあるようで,好き嫌いをはっきりと打ち出すところが実に楽しい。上の本がカルチャーセンターでの落ち着いた講演だとすれば,この本は立ち見で満杯の教室での人気講義という感じ。
 いま内容のメモを取ろうとすると,ついついそっくり再読する羽目になりそうなので,特に印象に残った点のみ:

Bookcover 平家物語―あらすじで楽しむ源平の戦い (中公新書) [a]
板坂 耀子 / 中央公論新社 / 2005-03
現代の学生たちにむけて平家の面白さを語る,というスタンスの本。

Bookcover 平家物語 無常を聴く (講談社学術文庫) [a]
杉本 秀太郎 / 講談社 / 2002-08-09
著者は仏文の偉い先生だが,日本の古典にも造詣が深いのだそうだ。出版社のPR誌に長期連載された,「平家物語をしみじみと読む」という内容のエッセイ。さすがに達人はちがうねえ,と唸らせる指摘があって,なかなか面白かった。終盤で,捕虜になった重衡が法然の導きで平静を取り戻し,鎌倉へと連行される場面があるけれど(「海道下」),途中で宿の長者の娘と歌をやりとりするのは,あれ,一夜をともに過ごしているということなんだそうです。やるなあ重衡。

読了:平家物語特集 (NF)

2010年3月24日 (水)

Bookcover ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書) [a]
安田 純平 / 集英社 / 2010-03
著者は以前イラクで拘束されて話題になったフリージャーナリスト。戦争の民営化の実態を探るため,労働者としてイラク入りした体験記。日本料理の料理人を名乗って食堂に潜り込み,指を切りまくりながら仕事を覚え,その熱心な働きぶりが認められてシェフの座にまで昇進し,イラク人労働者のシフト表をつくったり,彼らを代表して給与の交渉をしたり。なんだかもう取材どころではない。すごいなあ。

Bookcover 『青髯』ジル・ド・レの生涯 [a]
清水 正晴 / 現代書館 / 1996-04
中世フランスの連続殺人鬼ジル・ド・レ男爵の伝記。調布の古本屋で購入。

今月は嵐のような平家物語ブームにつき,ここに記録すべき本がたくさんあるのだが,後日まとめて書くことにしよう。

読了:03/24まで (NF)

2010年3月 3日 (水)

Bookcover 母親は兵士になった―アメリカ社会の闇 [a]
高倉 基也 / 日本放送出版協会 / 2010-02
イラク米軍の女性兵士についてのノンフィクション。

Bookcover 仏教入門 (岩波新書) [a]
三枝 充悳 / 岩波書店 / 1990-01-22
本棚に塩漬けになっていた本を掘り起こして読了。仏教入門というより,仏教史入門といったほうがよさそうな内容であった。

Bookcover 生の短さについて 他2篇 (岩波文庫) [a]
セネカ / 岩波書店 / 2010-03-17
セネカ先生の本を読むのは,「怒りについて」に続いてこれが二冊目なんだけど,今回はどうも頭に入らなかった。なんだか散漫な説教を聞いているような気がしてしまって。

読了:03/01まで (NF)

2010年2月15日 (月)

Bookcover わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫) [a]
高峰 秀子 / 文藝春秋 / 1998-03
Bookcover わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫) [a]
高峰 秀子 / 文藝春秋 / 1998-03
ここのところ読んだ本のなかで,文句なしのベストワン。参りました。
 俺の世代になると,女優・高峰秀子にリアルタイムでは接していない。俺はこの人について,かつて映画女優であったエッセイスト,という程度の知識しかなかった。で,諸事情によりこの年明けから映画ばっかり観ているのだが,何本か観た高峰秀子主演の昔の映画が気に入って(神田神保町シアターの連続上映のおかげである),ひとつこの人の自伝を読んでみよう,と思った。何軒目かに訪ねた本屋でみつけ,帰り道に読み始めたら,これがもう,面白いのなんの。 
 とにかく文章が素晴らしい。ここぞという場面での,視覚的描写の鮮やかさ。たとえば幼少期の家庭内の不和を描くくだり。「ある夜,親子三人が珍しく小さなちゃぶ台を囲んでの食事中であった。[...]突然,養父と母がはげしい口論をはじめ,ぷいと立った母は台所に入っていった。私も,しょうことなしに箸を置いて母のあとを追って台所に入った。母はポロポロ涙をこぼしながらマナイタを出し,タクワンを刻んでいた。そんな母を見ると,私はつくづく母が可哀想になり,私の目にも涙が溢れた。母が戸棚から丼を出し,切ったタクワンを盛ろうとした時,タクワンはよく切れていなかったのだろう,ジュズつなぎになって二人の間にダランとぶら下がった。二人は思わず顔を見合わせ,「エヘヘ・・・」と笑った。そんな時だけ,私は母の心にピッタリと寄り添う自分を感じた」
 あるいは,強い感情の動きを描いたあとで,それをポンと相対化するところ。17才の著者は気鋭の助監督(黒澤明)に淡い恋心を抱くが,何事も起こらぬうちにたちまちスキャンダルの種となり,著者は自宅二階にしばらく軟禁されてしまう。撮影所で再会した助監督は,しかしすっかり態度を変えており,言葉を交わすこともできない。その能面のような表情を前にして著者は凍り付く。そしてこう決意する。「彼はいつか,きっと,優れた演出家になるだろう。私は,遠くのほうから,じっと,それを見守っていくことにしよう。そして,私もまた”俳優”になろう。[...] 私は俳優として,いつでも彼の前に立つことのできるような役者になりたい」 と謳い上げておいて,改行して一転,著者はこう書く。「考えてみればこの台詞,なんとなく新派の『滝の白糸』や『婦系図』のヒロインのごとき健気な,悲壮感に溢れていてテレ臭い」 この冷静さが,からりと乾燥したユーモアを生むのだ。

Bookcover プラトン (岩波新書) [a]
斎藤 忍随 / 岩波書店 / 1972-10-20
いつ買った本だかさっぱり記憶にないのだが,本棚の奥にあるのをみつけて,ちびちびと読み進めた。プラトンについての解説というより,プラトンを軸に古代ギリシアの精神のありかたについて語るエッセイであった。
 著者の先生についてはよく知らないが,「幾度もソクラテスの名を」というかつての著作の題名には馴染みがある。どんな内容の本だか知らないが,味のあるタイトルだなあ,と思っていた。いま調べたら,「幾度も...」はみすず書房刊,とっくに絶版の模様。

読了:02/14まで (NF)

2010年2月 8日 (月)

Bookcover 中世の秋〈2〉 (中公クラシックス) [a]
ホイジンガ / 中央公論新社 / 2001-05-10
ホイジンガの「中世の秋」に挑戦しようと思ったことは何度かあって,そのたびに数十頁で挫折してしまった。ヨーロッパ中世史なんてからっきしわからないし,いきなり「フィリップ善良候は...」なんて云われても誰のことかわからないし。
 ところが,年末に懲りもせずパラパラめくりはじめていたら,突然カチンとスイッチがはいったような感覚があって,俄然面白くなった。ブルゴーニュがどこだかわからなくても,どの時代の話であっても全然かまわない,この本に書かれているのは,人の世が取りうる一つの姿,いわば我々にとってのパラレル・ワールドの話だ,と思うようになったのである。そういう読み方が正しいのかどうか,よくわからないのだけれど。
 とにかく,ここんところ最大の面白本。すっかりのめり込んでしまった。

Bookcover ブルゴーニュ家 (講談社現代新書) [a]
堀越 孝一 / 講談社 / 1996-07-16
Bookcover ジャンヌ・ダルク (講談社現代新書) [a]
竹下 節子 / 講談社 / 1997-01-20
ホイジンガ読了後もブーム醒めやらず,その勢いで読んだ関連本。前者は「中世の秋」の訳者によるもの。この先生の文章には講談調の不思議な癖があって,好みが別れるところであろう。偉い先生に失礼ながら,俺にはちょっとオナカイッパイという感じでした。後者はジャンヌ・ダルクに焦点をあてた啓蒙読み物。異端の聖女はジャンヌだけでなく,先行例がいくつかあるのだそうだ。ふうん。

Bookcover ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書) [a]
服部 正也 / 中央公論新社 / 2009-11
65年,アフリカ・ルワンダの中央銀行総裁として派遣された日銀マンの体験記。中央銀行とはいえ,日銀やFRBとはわけがちがい,経済発展に必要とあらば倉庫もバス会社もつくってしまうのである。大変面白い本だった。経済政策に関心があればさらに面白かろう。
 著者がルワンダに滞在したのは65年から71年まで(この本は72年刊の再刊)。この人が心血を注いだルワンダ経済は,しかし94年の動乱で無惨に崩壊してしまうことになる。

Bookcover あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方 [a]
吉田 典史 / ダイヤモンド社 / 2009-12-11
「負け組社員」への転落事例をいささか扇情的に紹介した本。webの連載をまとめたものらしい。途中で挟み込まれている「教訓」ページは,後輩には仕事の重要なポイントは教えないこと,後輩が仕事をそつなくこなしても悪い評判を立てて自分の立場を守ること,職場では適度に群れをなし上司とは距離を置くこと。。。という具合で,非常にサツバツとした内容である。こういうの,webでアクセスを稼ぐには良いと思うが,書籍としてはどうなんですかね。

Bookcover 欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ) [a]
山岡 拓 / 日本経済新聞出版社 / 2009-12-09
日経の研究所の人が,自主調査の結果をまとめた本。

読了:02/07まで (NF)

2010年1月12日 (火)

Bookcover ゆたかな社会 決定版 (岩波現代文庫) [a]
J.K. ガルブレイス / 岩波書店 / 2006-10-17
これこそ,昨年読んだなかでの最大のヒットであった(58年刊の歴史的名著にむかって,今頃この感想とは...)。
 経済学方面に詳しい人にとって,いまガルブレイスを読むというのは,どんな意味があるんだろう? よくわからないが,俺にとっては,もう目からウロコの連続,読み始めたらやめられない読書体験であった。生産の極大化を弁護するのは経済学の通念に過ぎなかったのですね先生!
 しかし,目からウロコ!と感銘するそのわりには,読み進めるにつれて内容が頭からどんどんこぼれ落ちていく。これはそもそも経済学の素養がないせいでもあろうし,著者の流麗なるレトリックに乗せられている面もある(ええと,なんで生産極大化の弁護は通念にすぎないんだっけ?)。これはもう一度最初から,メモを取りつつ読み直そう,と決意したのであった。
 それが昨年の何月だったか。。。その決意は守られることなく今に至る次第である。記録のために読了としておくが,いつかきっと読み直したいものだ。
 まあ仮に読み返さないとしても,この本の,特に2章の面白さは忘れがたい。本の内容に入る前に,まず「これから私すごいこと云いますよ!」と宣言する章である。

Bookcover 中世の秋〈1〉 (中公クラシックス) [a]
ホイジンガ / 中央公論新社 / 2001-04-10
「ゆたかな社会」読了以後,いまいち低調な読書生活であったのだが,久々に引き当てたこのとんでもない面白本のせいで,年始以来ずっと睡眠不足であった。内容のメモは下巻を読み終えたときにでも。。。

Bookcover 歌舞伎町シノギの人々 (宝島SUGOI文庫) [a]
家田 荘子 / 宝島社 / 2009-05-09

読了:01/11まで (NF)

2009年12月30日 (水)

Bookcover アフガニスタン―国連和平活動と地域紛争 [a]
川端 清隆 / みすず書房 / 2002-11
著者は国連で,政務官としてアフガニスタン問題を担当していたという人。買ってはみたものの,敷居が高くてなかなか手に取れなかったのだが,いったん読み始めたら一気に読了。当事者ならではの生々しい記述があって,手に汗を握る内容であった。タリバンというと,ついつい話の通じない狂信的な人々を想像してしまうけれども,そういう問題ではないんだなあ。

Bookcover 自動車産業 危機と再生の構造 [a]
下川 浩一 / 中央公論新社 / 2009-10-11
11月に広島・マツダの工場見学に行ったので(個人で),その予習にと思って買った本。実際に読んだのは12月になってからでした。予備知識がないもので,右から左へ。。。という感じなのだけど,まあ仕方がない。

Bookcover 自律と協働、はたらきがいをもとめて―大阪市現業労働者の60年 [a]
鎌田 慧 / 七つ森書館 / 2005-12

読了:12/29まで (NF)

2009年12月27日 (日)

Bookcover 欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち [a]
香月 真理子 / 朝日新聞出版 / 2009-11-20
ロリータ小説サイトの主宰者,男児への強制わいせつの加害者,小児死体マニアとして指弾を浴びた小学校教師。。。などに直接取材したノンフィクション。

Bookcover インターネットと中国共産党 「人民網」体験記 (講談社文庫) [a]
佐藤 千歳 / 講談社 / 2009-12-15
著者は北海道新聞の記者。記者交換プログラムで人民日報のwebニュースサービス(人民網)に1年間勤務した体験談。

Bookcover 治安はほんとうに悪化しているのか [a]
久保 大 / 公人社 / 2006-06
治安そのものというより,治安悪化という言説についての分析。都の治安対策担当部長だった人だそうだ。

Bookcover 南アフリカの衝撃(日経プレミアシリーズ) [a]
平野 克己 / 日本経済新聞出版社 / 2009-12-09
南アフリカ現代史。勉強になりました。

Bookcover ふふふふ [a]
井上 ひさし / 講談社 / 2009-12-18

読了:12/27まで (NF)

2009年12月21日 (月)

Bookcover アメリカ言語哲学入門 (ちくま学芸文庫) [a]
冨田 恭彦 / 筑摩書房 / 2007-05
題名とは異なり,著者の論文10編を集めた本。
前半6編は,サールとクワインを中心にした概観。サールとクワインは以前に一生懸命読んだことがあるので,懐かしく振り返るような気分で読んだ。デイヴィドソンが出てくるあたりからわけわかんなくなるのも昔どおりで,それはそれで懐かしい。
後半は。。。現代の分析哲学からみたイギリス経験論,とか。。。ローティのロック解釈には問題がある,とか。。。これ絶対「入門」じゃないよ先生!

Bookcover リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書) [a]
中原 淳,金井 壽宏 / 光文社 / 2009-10-16
有名な経営学の先生と,教育学出身の若い研究者が対話する形式の本。
 題名の「リフレクティブ・マネージャー」とは,成人の成長のためには実践を通した内省が重要だ,という主張を表しているのだが,この元ネタ(?)はショーンという経営学研究者の唱えたreflections in actionという概念らしい。組織学習で有名なアージリスという学者がいるけど,ショーンはその共同研究者でもあった。で,reflection in actionとは,状況の分析と状況への対応を同時に実行し,アドホックな理論を即興的に構築していくことを指していて,デザイナーや医師といった専門家に特徴的な振る舞いだそうだ。この指摘は経営学だけでなく,それまで静態的なスキル獲得を重視していた教師教育の分野にも大きな影響をもたらし,「ショーン・ショック」と呼ばれたそうだ。へー。

Bookcover 検疫官 ウイルスを水際で食い止める女医の物語 (角川文庫) [a]
小林 照幸 / 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2009-11-25
途上国での医療活動を経て,仙台検疫所所長,仙台市副市長を務めたスーパーウーマン・岩崎惠美子さんの活躍を描いたノンフィクション。題材の面白さで一気に読み終えたが,ノンフィクション作品としてはちょっと冗漫な感じ。
 いま調べたら,岩崎さんはその後仙台市長選に出て落選している由。

Bookcover 堕落する高級ブランド [a]
ダナ・トーマス / 講談社 / 2009-05-13
原題"Deluxe: How luxuary lost its luster". 高級ブランドビジネスの変容を暴くノンフィクション,なのだが。。。読み終えてつくづく思うに,俺にとっては,もうほんとに,心底どうでもいい内容であった。いいじゃないですか,どんどんlusterを失えば。
 ブラジルでは,高級ブランドはいまだ輝きを失っていない。サンパウロには富裕層向けの巨大な高級ファッションショップがあって,そこでは世界中の高級ブランドの特別な最高級品が手にはいる。売り場と売り場はシャンパン色の厚いカーペットが敷かれたサロンでつながれ,あちこちに蘭の花が飾られている。美しいセールスガールたちは上流階級の娘で,彼女たち自身も社交界に属している。チャペル,披露宴会場,旅行代理店,外車ディーラー,高級住宅専門の不動産屋,レストラン,スパ,保育園もある。このショッピングセンターの入口にたどり着くまでには,セキュリティを2回通過しなければならない。。。この豪華な店舗の外に広がっているのは,10%の富裕層が総所得の半分を独占する超格差社会なのだ。こうしてみると,高級ブランドがどう堕落しようが,大した問題ではないと思う次第である。

読了:12/20まで (NF)

2009年12月18日 (金)

Bookcover 中国 巨大国家の底流 [a]
興梠 一郎 / 文藝春秋 / 2009-12-05

読了:12/17まで (NF)

2009年12月16日 (水)

Bookcover 中流社会を捨てた国―格差先進国イギリスの教訓 [a]
ポリー トインビー,デイヴィッド ウォーカー / 東洋経済新報社 / 2009-08

読了:12/15まで (NF)

2009年12月 7日 (月)

Bookcover 居住の貧困 (岩波新書) [a]
本間 義人 / 岩波書店 / 2009-11-21

読了:12/06まで (NF)

2009年12月 1日 (火)

Bookcover オバマは何を変えるか (岩波新書) [a]
砂田 一郎 / 岩波書店 / 2009-10-21

読了:11/30まで (NF)

2009年11月25日 (水)

Bookcover 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書) [a]
菊澤研宗 / 光文社 / 2009-10-16
軍事戦略論からみた経営戦略論,という本。えーと,戦略論にはクラゼビッツから新古典派経済学を経てマイケル・ポーターへといたる物理的アプローチと,リデル・ハート(軍事史家)からトヴァツキー&カーネマンを経て行動経済学へといたる心理的アプローチと,ロンメル将軍から取引コスト理論へと至る知性的アプローチがあって,この3つはカール・ポパーのいう世界1, 世界2, 世界3と対応している。これら3つのアプローチを立体的に展開することで,合理的なはずの行動がなぜか非適応的になってしまう「戦略の不条理」を乗り越えることができるのです,云々。という大変に大きな話でありました。

読了:11/24まで (NF)

2009年11月17日 (火)

Bookcover 近代日本文学案内 (岩波文庫) [a]
十川 信介 / 岩波書店 / 2008-04-16
この本を読んだせいで,妙に日本の近代小説を読みたくなり,漱石や室生犀星など,何冊か買い込んでしまった。ふと見ると,どれも岩波文庫。うまくのせられた。

Bookcover タイ 中進国の模索 (岩波新書) [a]
末廣 昭 / 岩波書店 / 2009-08-20

Bookcover 職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書) [a]
NHKスペシャル職業”詐欺”取材班 / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2009-10-03

Bookcover 職場は感情で変わる (講談社現代新書) [a]
高橋 克徳 / 講談社 / 2009-09-17
読みながら自分の勤務先を思い返し,あれこれと思いを馳せた。著者はさぞや腕利きのコンサルタントだろう。
 というわけで,良い本ではあると思うのだけれど。。。この本の示唆に基づき,あれこれ工夫して素晴らしい職場を作ろうとしたところで,売上低迷,利益低迷,リストラで同僚が次々と去っていく,ああ明日は我が身か,というような状況下では,「良い職場づくり」にも限界があろう。組織のソフトな側面も大事ではあるけれど,やっぱしハードな経営環境にはかなわないよなあ。

読了:11/17まで (NF)

2009年10月28日 (水)

安サラリーマンの分際で,多忙だなどというのも滑稽なことだけど。。。なんでかわからんがバタバタ忙しい。内容のメモは来週書くことにして,とにかく書名だけ記録しておこう。

↑と書いてから3週間経ってしまった。どんな本だったか,忘れちゃったよ。。。

Bookcover 近代―未完のプロジェクト (岩波現代文庫―学術) [a]
J.ハーバーマス / 岩波書店 / 2000-01-14
 えーと,この本は,なぜこんな小難しげな本を買ったのかしらんと自分を疑いながら読み始めたら,これが意外にエキサイティングだった,という本。社会哲学者ハーバーマスによる政治時評集。
本の後半はドイツの政治事情に通じていないとわからない話だったもので,ほとんど読み飛ばした。面白かったのは,冒頭の表題作「近代・未完のプロジェクト」。芸術の分野での「近代」概念から語り起こし,それを政治・社会へと広げて,近代的思考をめぐる見取り図を作っていく。少し読むごとに立ち止まり,あれこれと考えさせられた文章だった。よ,う,な気がするが。。。どうしよう,もう全然覚えていない。。。

Bookcover 死刑でいいです --- 孤立が生んだ二つの殺人 [a]
池谷孝司,真下周 / 共同通信社 / 2009-10-02
母親を殺し,強盗殺人で二人を殺し,発達障害の疑いを指摘されながら死刑となった25歳の青年についてのノンフィクション。

読了:10/27まで (NF)

2009年10月21日 (水)

Bookcover 寺よ、変われ (岩波新書) [a]
高橋 卓志 / 岩波書店 / 2009-05-20
著者は松本にある臨済宗神宮寺というお寺の住職さん。文化イベント開催や途上国支援NPO,決算書の公開などの先鋭的な活動で知られている人らしい。
 とても面白い本だった。これからのコミュニティのなかでお寺が果たすべき役割とは,云々という議論は他にもありそうだが,それらを次々と実行に移すところが只事ではない。実践の人ならではの凄みがあって,たとえば宗教者がホスピスに関わることには否定的だったり(痛みの緩和治療のほうが重要だから),戒名料についてはいまだ矛盾を抱えていると告白していたりする。
 お寺について何ら関心が無い俺にとっても,読むだけでちょっと元気が出るような本だったのだけれど,では著者が熱く語るように,お寺がコミュニティとともに再生しうるのかどうかというと,それはちょっと。。。この本の何割かは,伝統仏教がいかに危機的な状況にあるのかという説明に割かれているのだが,誰かがわざわざ危機を訴えないといけないような状況では,そうそう変革など起こらないのではないか。本のなかで,「葬儀がどんどん葬儀社主導になりお寺の役割が小さくなっても,これから団塊世代がいっぱい死ぬから当面は大丈夫」という意味のことを言い著者を絶望させるお坊さんが出てきたけど,この意見は的を得ていると思った。シェアが落ちてもセールスが落ちていない会社は,なかなか自己変革できないんじゃないですかね。
 そもそも,コミュニティの再生のためにお寺が必要なのか,という疑問もある。この本では,日本人にとってお寺は重要であるはずだ,という点が自明視されているのだけれど,これはお坊さんだからそう思うのであって。。。申し訳ないけど,できれば地域社会の将来像はお寺抜きで考えたいものだ。みんなが仏教徒ってわけじゃないんだから。

Bookcover ヒトラー 権力の本質 [a]
イアン カーショー / 白水社 / 1999-01
ずっと前にほとんど読み終えていた本。片づけようと思って手に取ったが,どこまで読んでたのかわからなくなって,結局最初から全部読み通した。

読了:10/20まで (NF)

2009年10月18日 (日)

Bookcover とう小平 政治的伝記 (岩波現代文庫) [a]
ベンジャミン ヤン / 岩波書店 / 2009-08-18
著者は文革後に国費留学でアメリカに渡った中国人で,鄧樸方(鄧小平の長男)とも親交がある,という中国研究者。
 鄧小平はずっと有能な中堅幹部で,四人組逮捕後に華国鋒を追い出して頂点に立ったのだというおぼろげなイメージを持っていたのだが,この本によると,文革のはるか以前,百花斉放政策の段階ですでに事実上のナンバーツーだったのだそうだ(周恩来と同格だった)。従ってその後の反右派闘争や大躍進政策がもたらした悲劇についても責任があり,本人も晩年にそのことを婉曲に認めていたとのこと。

Bookcover ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書) [a]
青砥 恭 / 筑摩書房 / 2009-10

読了:10/18まで (NF)

2009年10月 3日 (土)

Bookcover エセー〈2〉 [a]
ミシェル・ド モンテーニュ / 白水社 / 2007-02
昼休み,仕事と一切関係ない本を無性に読みたくなることがあって,そんなときのために,鞄のなかにモンテーニュを突っ込んで持ち歩いている。16世紀フランスの貴族が城館に籠って書き綴った,軍馬についての思い出やら睡眠についての省察やらをぱらぱらめくっているのは,実に心なごむ。もっとも,モンテーニュさんが生きた時代の戦火と混迷たるや,現在の経済危機の比ではないわけだが。
 一度に数ページしか進まないので,一冊読み終わるのに大変時間がかかる。全六巻を読み終わる日は来るのだろうか? もっとも,訳本じたいがまだ三巻しか出ていない。

Bookcover NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる [a]
NHK取材班 / 宝島社 / 2009-09-17
抗うつ剤の大量投薬に対する批判に重点を置いた内容であった。NHKだけあってバランスに配慮した書き方になっているが,それでも関係者の方のなかには異論を持つ人がいるかもしれない。
 臨床心理士の国家資格化をめぐる話をコンパクトに紹介していて,面白かった。いまや臨床心理士は二万人を超えているのだそうだ。それは大変ですねー。

Bookcover 貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告 [a]
阿古 智子 / 新潮社 / 2009-09-26
格差社会化する中国について書いた本。テーマは,エイズ禍,農村の荒廃と農民工,失地農民と農地不法転用,加熱する学歴競争。著者は若手の研究者で,冷静な筆致であった。

読了:10/02まで (NF)

2009年9月23日 (水)

Bookcover 二月逆流―中国文化大革命 1967年 [a]
趙 峻防,紀 希晨 / 時事通信社 / 1988-02
文革発動の翌年(67年),軍の老幹部たちと文革派との間で生じた権力闘争「二月逆流」を描いた小説。古本屋で見つけて目を通してみたら,ごく通俗的な読み物という感じの内容であった。
 善玉は周恩来と葉剣英,悪玉は康生(のちに中国のベリヤと怖れられた情報機関のボス)。江青や葉群(林彪の妻)は,天下の大悪人というよりも醜悪な俗物として描かれている。かの国ではこうしておけばいろいろ差し障りがないんだろうけど,なんだか性的偏見を感じるなあ。

Bookcover 倒壊する巨塔〈下〉―アルカイダと「9・11」への道 [a]
ローレンス ライト / 白水社 / 2009-08
911事件を引き起こしたオサマ・ビンラディンらアルカイダのメンバーの遍歴と,彼らを追うFBI捜査官たちを描いたノンフィクション。
 どちらの側を描く際にも,その人間的側面に紙幅が割かれている。テロリストたちは子煩悩な父親でもあり(ビンラディンの息子は任天堂のゲーム機で遊んでいたりする),FBIの腕利き捜査官はほとんど犯罪的な女たらしでもある。
 もしジャンボジェット機が,ニューヨークではなく東京の高層ビルに突っ込んでいたら,その後日本の誰かが,こういう重層的なノンフィクションを書いただろうか。仮に書けたとしても,犯人たちの人間的側面について語ることが許されただろうか。なにしろ,オウム事件を引き起こした教祖の娘は大学にも入れてもらえない,というお国柄なのである。

Bookcover 黒澤明という時代 [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2009-09-11
文春のPR誌「本の話」で連載していたらしい。
 黒沢監督に「野良犬」という傑作があるが(ああ,志村喬の刑事が良かったなあ),この映画は海外での評価が遅れたのだそうで,その理由のひとつは,日本映画の紹介に力を尽くした評論家ドナルド・リチーさんがこの映画を買っていなかったからなのだそうだ。「進駐軍出身の人物がその後もアメリカで日本映画紹介の要職にあったのは,この映画にとって不幸であった」とのこと。
 小林信彦さんって,こういう嫌みったらしい文章が本当にうまい。この作家のことを評して,都会的含羞の人,などと書いているのを時々見かけるが,あれはどうなんだろうか。確かに小林信彦さんの文章に出てくる小林信彦さんはその通りだし,実際のお人柄もそうかもしれないけれど,文章家としては,どうみても底意地わるーいご老人だと思う。

読了:09/22まで (NF)

2009年9月14日 (月)

Bookcover 無印ニッポン―20世紀消費社会の終焉 (中公新書) [a]
堤 清二,三浦 展 / 中央公論新社 / 2009-07
考えてみたら,俺は前に三浦展と上野千鶴子の対談本を読み,それから上野千鶴子と堤清二の対談本を読み,そしてこうして堤清二と三浦展の対談本を読んでいる。俺はいったい何をやっているんだ?

Bookcover 倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道 [a]
ローレンス ライト / 白水社 / 2009-08

読了:09/13まで (NF)

2009年9月 7日 (月)

Bookcover ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場 [a]
フィリップ・デルヴス・ブロートン / 日経BP社 / 2009-05-21
ハーバードビジネススクールの体験記。類書はほかにもありそうだが,これは著者がジャーナリストを廃業した男であるというところが面白い。イギリスの記者がアメリカ資本主義の総本山に向けるシニカルな視線と,ともに悩み苦しむ仲間たちへの共感とが入り交じっている。なかなか表に出ない世界を紹介した読み物として面白いだけではなく,社会の一断面への批評として,日本にも通じる普遍的な意義を持っていると思った。。。こう書くとなんだか堅苦しいけど,とにかく,一気に読ませる本でした。
 それにしても,英語がしゃべれるってイイですね。読んでてだんだん落ち込んできたぞ。

Bookcover 同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック) [a]
森 功 / 講談社 / 2009-09-04
 関西の同和利権の帝王と呼ばれた男・小西邦彦の半生を,その腹心であった三和銀行行員の証言に基づいて描いたノンフィクション。
 男は山口組組員から解同の活動家に転じ,関西の同和行政に深く食い込み,その最盛期には政財界,芸能界,国税局,警察にまで影響力を持った。その一方で,男は老人ホームの運営を生き甲斐とする,情に厚い好人物でもあった。この魅力的なアンチ・ヒーローぶりに,書き手も惚れ込んでいるように思える。
 証言者である銀行員・岡野さんは,小西担当になった当初,直接に声を掛けることも許されない。ノイローゼ寸前にまで陥った若い銀行員は,意を決して単身小西の部屋に乗り込み,ソファに勝手にドンと腰を下ろして話しかける。『支部長,阪神強いですな』 意外にも,闇の世界のドンは怒るどころか,『おう,飯でも食うか』
 誰もが怖れる男との間に密接なコネクションを築き上げた銀行員は,ノンキャリアながら行内政治を勝ち抜いた。晩年,小西は失脚し孤独な死を遂げる。その後行われたインタビューに答えた,元銀行員の台詞がちょっと泣かせる。あなたは汚れ役として,三和銀行という組織に利用されたのではないかと問われて,元銀行員はこう答える。「それは私にとって最大の賛辞です。そのために身体を張ってきたのですから。小西担当になった当初,ほんまにノイローゼになり,気が狂いそうになった。そのときもう銀行を辞めようと思って,開き直って小西さんと向き合ったのです」「『おまえ,誰に口きいとるや』。そう言われるのを覚悟していましたし,それで担当を外され,銀行を追われる羽目になってもいい,と思っていました」「そのあと,小西事務所に行くと,見慣れない真新しい青色の電話機が小西さんの机に置いてある。『岡野,これお前の専用電話やで』という。うれしかったですね。以来,彼と心が通じるようになった。『おい,岡野,電話が鳴っとるがな』とよく叱られました。私は"汚れ役"として,銀行に利用されたことに悔いはありません」

Bookcover 図説 日本建築の歴史 (ふくろうの本/日本の文化) [a]
玉井 哲雄 / 河出書房新社 / 2008-11-22
本屋で見かけて,無性に読みたくなった本。ときどきこういう浮世離れした本とともに過ごしたくなるのです。写真がいっぱい入っているとなおよろしい。
 著者によれば,日本の伝統建築を見る際のキー・ポイントは「組物」なのだそうだ。組物とは,ええと,お寺や神社の軒下を見上げたとき,柱と屋根の間にあるごちゃごちゃした奴のこと。歴史的事情により,寺社建築には組物があり,住宅建築(お城や土蔵などを含む)には組物がない,のだそうだ。へえええー。
 ところで,奈良の正倉院はアゼクラヅクリだ,と小学校のときに訳もわからず習ったものだが,柱を使わず木材を井桁状に組み上げた建物のことを板倉造,その木材が板ではなく,断面が三角形になっている場合を校倉造,そしてその木材が丸太の場合をログハウスという,のだそうである。。。この本は学部一年生向けの講義内容が元になっているそうだが,きっと人気講義だっただろうな。

Bookcover ネトゲ廃人 [a]
芦崎治 / リーダーズノート / 2009-05-01

読了:09/06まで (NF)

2009年9月 1日 (火)

Bookcover <風俗>体験ルポ やってみたら、こうだった (宝島SUGOI文庫) [a]
本橋 信宏 / 宝島社 / 2009-08-06
1998年から2002年にかけて,講談社「フライデー・スペシャル」に掲載された風俗ルポ。「リムジンつきデリヘル」なるものを利用してみたり,通販でエログッズを買い集めてみたり,沖縄サミットにあわせて沖縄の「ちょんの間」の客になってみたり。取材費使い放題。いい時代でしたね。

読了:08/31まで (NF)

2009年8月24日 (月)

Bookcover 選ばれる男たち―女たちの夢のゆくえ (講談社現代新書) [a]
信田 さよ子 / 講談社 / 2009-07-17
家族問題で有名な臨床家によるエッセイ。なんというか。。。面倒くさい本であった。
 たとえばこういうくだり。「結婚は表向き男女の愛情によって成立するものであるが,裏面では男性に対して多くの権力を付与する制度である。このことに,男性自身がどれほど自覚的であるかが分かれ目になるだろう」「結婚した男性たちには自分が付与された特権を自覚してもらいたい」「結婚してもなお,自らの既得権を自覚しそれを乱用しないようにコントロールする努力を惜しまない男性,これは最低限の条件である」
 では,これを真面目に受け取って,男たちが「既得権を自覚しそれを乱用しないようにコントロールする努力を惜しまな」かったとしよう。それで万事丸く収まるのか? まさか。依然彼らは,既得権の受益者として批判の対象となりつづける。男性は制度的な特権を与えられているのだ,せめて「一段低い立ち位置に身を置」くように,といつまでも説教され続けるわけである。これはちょっとフェアではないんじゃないですか,そもそも,「男はその権力性を自覚しろ」というタイプの批判は,既存の性役割を前提とし,それをかえって固定化してしまうんじゃないですか,それは男性にとっても女性にとっても不幸なことではないのですか,と思うわけだが,そういうことをうかつにいうと,ではあなたは既存の制度を変革するためにどれほどの力を尽くしているのか,と批判されるのが目に見えている。すみません,なにもしていません,と謝るしかない。最初から黙って頭を下げていた方が手間が省けるわけである。こういうところが,あああ,この人のいうことは正しいのかもしれないけど,でも面倒くさいなあ,と思うのである。最先端のフェミニズム理論がいかに難解であっても,活動家による批判がいかに痛烈であっても,こういう面倒くささだけは感じずに済むように思う。
 この面倒くささは,世の中いかにあるべきか,という原理原則の話と,世の中は変えられないからせめてあなたはどうしろこうしろ,という戦術論の話とを切り分けていないところから生じるのではないか,と思う。もっとも,簡単に切り分けちゃうほうが絵空事なのかもしれないし。思えば,あるべき社会についての理論的分析と,目の前の現象に対する戦術論とを切り分けたくても切り分けられないのが,臨床家という職業なのかもしれない。

読了:08/23まで (NF)

2009年8月13日 (木)

Bookcover ビザンツとスラヴ (世界の歴史) [a]
井上 浩一,栗生沢 猛夫 / 中央公論社 / 1998-02
実のところ,このブログにさしたる意味はないのだけれども,少なくとも,読んだ本を忘れない,同じ本を二度読まなくて済む。。。というメリットはある。ついでに本の感想やコメントを書きつけておけば,なおさら忘れずに済むのではないかと思う。
 普段は数冊たまってから記録しているのだけど,日が経ってしまうと,ついつい書かずじまいになってしまう本もある。仕事関係の本や論文はなおさらである(楽しんで読んでいるわけではないから)。これからは,読むたびに書き留めておくことにしよう。。。と思ったのだが,そんなことを考えるのも,今週は勤務先の夏休みだからであって,来週からはまた元の木阿弥かもしれない。

 それはともかく本の話。ええと,この本は,前半はピザンツ(東ローマ帝国)の話,後半はスラブ史。ずっと前に前半を読み終え,そのままになっていた。このたびふと再び手に取ったが,後半は,地名もよくわからんし,話が広すぎてとっつきにくいしで,結局流し読みになってしまった。
 ピザンツはいわば過去のローマ帝国の栄光に生きた帝国であって,奇妙な文化的習慣に溢れていた。たとえば,建前としては皇帝は市民(デーモス)の第一人者であって,儀式には市民と呼ばれる人々が列席し「ローマ人の皇帝万歳!」と唱えるのだけれど, 彼らは実は宮殿に雇われた下級役人であり,彼ら儀式用役人の人件費は,中央官庁の官僚の給与総額に匹敵するものであったらしい。面白いなあ。

読了:08/13まで (NF)

2009年8月12日 (水)

Bookcover 最新・新宗教事情―カルト・スピリチュアル・おひとりさま [a]
島田 裕巳 / 勉誠出版 / 2009-07
元アイドル歌手が覚醒剤で捕まって。。。というニュースが世間を騒がせたが,失踪中の彼女が身を隠していたのは新宗教団体・真如苑の施設だ,という噂が流れ,施設の前にはテレビカメラが詰め掛けて大変だったそうである。ことの真相よりも,真如苑の名前がこういう文脈でマスメディアに流れた,という点に興味を引かれる。俺の印象では,この教団が日産の広大な工場跡地を取得したときも,国宝級の仏像を競り落としたときも,意外なほどに報道が少なかったように思う。これに限らず,新宗教の話はマスメディアではなかなか取り上げられないし,刑事事件にでもならないかぎり,腫れ物を触るような扱いだ。きっとオウム事件の影響が続いているのだろう。
 帯に真如苑の名前が挙げられていたので読んでみた。信者数は八十四万八千人,これは公称だが相当信頼できる数字だそうだ。施設の雰囲気は大学のキャンパスと似ており,「接心」と呼ばれる修行はスピリチュアル・カウンセリングのようなものなのだそうで,信者同士の交流があまりみられない,いわば「おひとりさま」宗教であるとのこと。へえー。

Bookcover 叙情と闘争―辻井喬+堤清二回顧録 [a]
辻井 喬 / 中央公論新社 / 2009-05
読売新聞で連載していたらしい。60年代以降の個人史。いっちゃなんだけど,エピソードがいちいち面白すぎるような気がして。。。公平な伝記作家による評伝を読んでみたいものだ。
 90年にフランクフルトのブックフェアにパネリストとして参加し(詩人・辻井喬としてであろう),別の企画に参加していた大岡信と,お互いに知人を連れてきて食事しようということにした結果,大岡信,大江健三郎,堤清二,そして宮沢喜一の四人でテーブルを囲むことになったそうだ。最初は話題に困ったが(そりゃそうでしょうね),宮沢さんが近代の俳句に詳しいことがわかり,和やかなひとときを過ごした由。うわあ。事情を知らない日本人がこの四人を見かけたら,さぞや驚いたことだろう。

読了:08/12まで (NF)

2009年8月 1日 (土)

Bookcover ソクラテスの弁明ほか (中公クラシックス (W14)) [a]
プラトン / 中央公論新社 / 2002-01
「弁明」「クリトン」「ゴルギアス」所収。前二編は角川文庫版で読んだような気がするが(たしか学部生の頃に),「ゴルギアス」は今回が初読。
 ソクラテスさんは真実のみに関心をお持ちで,人がそれに納得するかどうかにはあまり関心をお持ちでないのである。同時代の人々にとっては,さぞや面倒な相手であっただろう。「ゴルギアス」では,ソクラテスは三人の相手を次々に論破,というか黙らせてしまうのだが,ラスボス格のカリクレスは,うまく反論できないけど納得も出来ない,やってらんないよ,といわんばかりに議論を投げ出してしまう。
 ソクラテスさんそんなことでいいのか,真実も大事だけど理解も大事ですよ,そもそも世の人はそんなに理性的でないですよ。。。と,およそ2000年前のギリシア人の老後を心配してしまうわけだが(まあ七十にして刑死なさるわけですけどね),考えてみたら,ソクラテスのいう真実というのは神様の保証付きの真実だし,「ロゴスの導きに従う」べき人とは自由市民のことであって,女子供や奴隷は勘定にはいっていないだろう。うかつに身近な話に置き換えてはいけないかもしれない。
 それはともかく。。。山下和美のマンガ「不思議な少年」に,獄中のソクラテスを描いた一編があって,かの哲学者はクシャクシャな顔をした剽軽な老人として登場する。今回プラトンのこの本を読んでいる間中,頭の中ではずーっと,山下和美描くところのソクラテスを思い浮かべる羽目になった。マンガ恐るべし。

Bookcover ベーシック・インカム入門 (光文社新書) [a]
山森亮 / 光文社 / 2009-02-17

Bookcover 北京陳情村 [a]
田中 奈美 / 小学館 / 2009-02-26

読了:08/01まで (NF)

2009年7月29日 (水)

Bookcover アーミッシュの赦し―なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ) [a]
ドナルド・B・クレイビル,スティーブン・M・ノルト,デヴィット・L・ウィーバー-サーカー / 亜紀書房 / 2008-04-25
2006年,ペンシルバニアのアーミッシュの学校に男が乱入し,女生徒5人を射殺して自殺した事件があった。事件の衝撃性や,「先に私を撃って」と訴えた少女の自己犠牲的精神もさることながら,アーミッシュの人々が犯人を即座に赦し,犯人の家族に思いやりを示したことが話題を呼んだ。この本はその事件についてまとめた本だが,著者らは宗教研究の専門家なので,事件のドキュメントというよりも,この事件を題材にアーミッシュ・コミュニティとアメリカ社会の姿を探る,という内容であった。
 事件当時,アメリカのマスメディアではアーミッシュから赦しの精神を学ぼうという賛辞が溢れたのだそうだが,著者らによれば,アーミッシュの赦しは彼らのコミュニティの文化的習慣と切り離せないのであって,その点だけ取り出して学べるものではない,とのこと。なるほど。
 ついつい俺の暮らす日本に引き当てて考えてしまうのだが,仮にアーミッシュのようなカウンター・カルチャーが日本のどこかにあるとして(子どもを高校に行かせないわ,自動車も電子機器も禁止だわ,というようなコミュニティがあるとして),我々はうまいことそれと共存していけるだろうか。それとも案外,そういうコミュニティは小規模ながらひっそり点在していて,俺がそれを意識していないだけ,と考えるべきか。

読了:07/29まで (NF)

2009年7月20日 (月)

Bookcover 臨済録 (岩波文庫) [a]
入矢 義高 / 岩波書店 / 1989-01-17
本屋でめくっていて,なぜか突然読んでみたくなった本。
 臨済という人は唐末期の禅僧,この本は弟子がまとめた語録。唐末期というのは日本でいえば,えーと,平安時代なんだそうで,いっぽう日本の禅宗の一派・臨済宗は鎌倉時代からだから,ずいぶん間があるわけだな。
 臨済和尚はちょっとしたことですぐに一喝し,棒で打ち,たまに棒で打たれると即座に反撃に転じ,教えを乞うために訪ねたえらいお坊さんに罵倒されると,その坊さんの脇腹に連続パンチを食らわせる。あっけに取られてしまった。いったいどんな暴力坊主だ。それとも,棒で打つというのは象徴的な行為に過ぎず,たいして痛くないのか。さっぱりわからん。
 というわけで,俺はきっと内容を全く理解できていないのだけれど,それでも大変面白かった。以下,印象に残った箇所を抜き書き:
 「君たちが,もし聖なるものを愛したとしても,聖とは聖という名に過ぎない。修行者の中には五台山に文殊を志向する連中がいるが[五台山とは文殊菩薩の霊場として知られた山だそうだ],すでに誤っている。五台山に文殊はいない。君たち,文殊に会いたいと思うか。今わしの面前で躍動しており,終始一貫して,一切処にためらうことのない君たち自身,それこそが生きた文殊なのだ。君たちの一念の,差別の世界を超えた光こそが,一切処にあって普賢である。君たちの一念が,もともと自らを解放し得ていて,いたるところで解脱を全うしていること,それが観音の三昧境だ」
 「君たちが祖仏と同じでありたいと思うならば,こう見究めさえすればよい。思いまどう必要はない。君たちの心と心が異ならぬこと,それを活きた祖師というのだ。もし異なった心を生じると,心の本体とその現れとが別々になる」
 (心と心が異ならぬところとはどういうところか,と問われ)「君がそれを問おうとしたとたんに,もう異なってしまい,根本とその現れとが分裂してしまった。[...]世間のものも超世間のものも,すべて実体はなく,また生起するはずのものでもない。ただ仮の名があるだけだ。しかもその仮の名も空である。[...]一切の仏典はすべて不浄を拭う反古紙だ。仏とは我々と同じ空蝉であり,祖師とは年老いた僧侶にすぎない。[...]君たちがもし仏を求めたら,仏という魔のとりこになり,もし祖を求めたら,祖という魔に縛られる。君たちがなにか求めるものがあれば苦しみになるばかりだ」
 「諸君,まともな見地を得ようと思うならば,人に惑わされてはならぬ。内においても外においても,逢ったものはすぐ殺せ。仏に逢えば仏を殺し,祖師に逢えば祖師を殺し,羅漢に逢ったら羅漢を殺し,父母に逢ったら父母を殺し,親類に逢ったら親類を殺し,そうして始めて解脱することができ,なにものにも束縛されず,自在に突き抜けた生き方ができるのだ」

Bookcover 人物ノンフィクション〈2〉表現者の航跡―後藤正治ノンフィクション集 (岩波現代文庫) [a]
後藤 正治 / 岩波書店 / 2009-06-16
「アエラ」などに載った人物記をまとめたもの。
 これまでに読んだこの著者の本のなかで一番つまんなかったが,それでも北方謙三の章はちょっと面白かった。ハードボイルド小説を量産し,カメラに向かってポーズを取る,いささか好ましからぬ流行作家,という印象しかなかったが,小説のイメージを損なわないために自己演出している側面があるとのこと。
 「北方に長いインタビューをしたとき,途中で私は気がついた。自身の著作について,とくに歴史小説についてそうであったが,筋書きを説明しつつ語る。インタビュアーがその作品を読んでいないという前提で話すのだ。この人は苦労人だと思った」 なるほど。。。

Bookcover サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領 (新潮選書) [a]
国末 憲人 / 新潮社 / 2009-05
フランスのサルコジ大統領について批判的に紹介した本。著者は全国紙の記者。面白かったし,勉強になりましたが。。。
 著者によれば,サルコジさんはブランディングに変わる新しいマーケティング手法「ストーリーテリング」を活用している政治家だ。いっぽう「ストーリーテリングは,政治学や経営学の教科書がまともに扱うような確固たる理論とは言い難い」「そのような発想が,一国の指導者の統治法として堂々とまかり通っている」「サルコジは,そのような現代社会の怪しさと不透明感を象徴する存在でもあるのだ」
 この著者は,一国の指導者の統治たるもの,教科書に載っているような確固たる理論に基づくべきだ,と主張したいのだろうか? それもそれで変な話だ。理論は実践を導くこともあれば,実践から導かれることもあるだろう。むしろこう言い換えるのはどうだろう:ストーリーテリングは確固たる理論とは言い難い。そのような発想が,この本のなかでは,現代政治の分析枠組みとして堂々とまかり通っている。この本はそのような現代社会の怪しさと不透明感を象徴する存在だ。

Bookcover すぐわかる日本の仏教美術―彫刻・絵画・工芸・建築 [a]
守屋 正彦 / 東京美術 / 2003-11
全頁カラーの入門書。法隆寺に行ってみたくなった。
 この本は,先日見に行った東京国際ブックフェアで衝動買いしたもの。ああいうところにいくと,お祭り気分に浮かれてしまい,普段ならぜったい買わないこういう本を,なぜか買っちゃうんだよなあ。

Bookcover ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書) [a]
中川淳一郎 / 光文社 / 2009-04-17
著者はテレビ誌を経てニュースサイト編集者という人。内容はタイトル通りで,特に付け加えることがない。
 前提として,「ネットの集合知が社会を変える」といったポジティブな未来像を語る人々がいて,この本はそのアンチテーゼというか,解毒剤として自らを位置づけているものだから,本家を知らない人にとっては,この本の意味はないだろう。俺はまさに本家のほうを知らないので(梅田望夫のベストセラーも読んでないし),この本に対しては共感も反発も感じないのだけれど,意図的にレベルの違う話を混在させているような,筋の悪いアジテーションであるような気がして仕方がない。「ブログ論壇の誕生」云々という話をしているときの「インターネット」と,「ネットで流行るのは結局『テレビネタ』」と突き放すときの「インターネット」では,指しているものがちがうのではないかしらん?

Bookcover 2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書) [a]
佐々木 俊尚 / 文藝春秋 / 2009-07

Bookcover テレワーク―「未来型労働」の現実 (岩波新書) [a]
佐藤 彰男 / 岩波書店 / 2008-05-20

読了:07/20まで (NF)

2009年7月13日 (月)

Bookcover アフリカ 苦悩する大陸 [a]
ロバート ゲスト / 東洋経済新報社 / 2008-05
アフリカの政治の惨状についてのノンフィクション。必要なのはとにかく自由貿易なのだ,という,いかにもエコノミストの記者らしい主張であった。ううむ。

Bookcover 人間を撮る―ドキュメンタリーがうまれる瞬間 [a]
池谷 薫 / 平凡社 / 2008-05
数年前に,「延安の娘」という題名の,文革期の下放青年たちのその後を描いたドキュメンタリー映画を観て感銘を受けたことがあった。この本はその監督による手記。
 この監督さんは「蟻の兵隊」という映画でも評判になった。観たいんだけど,レンタルビデオ屋にはないだろうなあ。。。

 「延安の娘」で一番印象に残っているのは,下放先の延安に残留した人々の一人である,ある貧しい男の一人住まいの住宅内にカメラが入る場面だ。それは薄暗い洞窟のような,心まで冷え込むような殺伐とした住まいなのだが,不似合いな大きな木箱があって,中にはマルクスなどの専門書が積み重ねられている。それはいまとなっては何の役にも立たない,彼の青春の遺物なのだ。
 で,この辺からうろ覚えなのだが,この人の住まいをもう一度訪ねると,誰かにもらったとかで,DVDプレーヤーつきの小さなテレビが据え付けられている。男は孤高の哲学者のような口調で言う。「音楽はいい。人を解放してくれる」 いったいどんな高邁な音楽を聴いているのか,と思いきや,それがなんというか。。。ドン・キホーテで500円のラジカセを買ったらおまけについてきた,というような,きわめて安っぽいポップス調のベートーベンなのである。あれには本当に参った。

読了:07/13まで (NF)

2009年7月 8日 (水)

Bookcover 市場主義のたそがれ―新自由主義の光と影 (中公新書) [a]
根井 雅弘 / 中央公論新社 / 2009-06
俺は経済学の知識がまったくなくて,つい最近まで,新自由主義経済学者のフリードマンと,ニューヨーク・タイムズのコラムニストのフリードマンをごっちゃにしていた。だって,同じくNYTのコラムニストのクルーグマンはノーベル経済学賞をとった学者ではないか。誰だって間違えますよね? そんなわけはないか。前者のフリードマン先生はとっくに亡くなっています。
 この本は,そのミルトン・フリードマンについての一般向け解説書。勉強になりました。細かいところはよくわからんのだけれど,ま,仕方がない。

Bookcover 差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100) [a]
辛 淑玉,野中 広務 / 角川グループパブリッシング / 2009-06-10
対談というより,野中広務インタビュー+辛さんのコメント,という感じの内容。

Bookcover 日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす [a]
小池 和男 / 日本経済新聞出版社 / 2009-02
著者は労働経済学のえらい先生。日本人は会社人間というのは迷信だ,などなど。専門書というより,エッセイ風の文体で書かれた本であった。

Bookcover 橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか [a]
鎌田 慧 / 平凡社 / 2009-06

読了:07/08まで (NF)

2009年6月28日 (日)

Bookcover 政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年 [a]
ジェラルド・カーティス / 日経BP社 / 2008-04-17
買ったまま本棚で眠っていたのを,休みの日に本棚を整理していて発掘し,めくってみたらこれが面白くて,そのまま読了。
 著者は自民党議員の選挙運動を参与観察した研究で有名な政治学者。半分くらいは心温まる思い出話なのだが,後半では日本の政治システムについて意外に厳しい批判がなされている。いま必要なのは,政策通の政治家でなく政治通の政治だ,とのこと。
 アメリカの日本研究者を世代で分けると,第一世代は戦前のジャパノロジスト,中国語を習ってから日本研究をはじめた人たちで,たとえばライシャワーなど。宣教師の子弟が多い。第二世代は軍で日本語を覚えてGHQで働いた人たちで,ドナルド・キーン,サイデンステッカーなど。第三世代は好奇心で研究を始めた人で,これがカーチス先生たちなのだそうだ。なお,第四世代には日本脅威論を背景にしたリビジョニストが多く,第五世代は逆に,バブル崩壊以降の日本の政治・経済システムがなぜうまく機能しなくなったかに関心を持つのだそうだ。

読了:06/28まで (NF)

2009年6月26日 (金)

Bookcover メディアの支配者(上) (講談社文庫) [a]
中川 一徳 / 講談社 / 2009-06-12
Bookcover メディアの支配者(下) (講談社文庫) [a]
中川 一徳 / 講談社 / 2009-06-12
フジサンケイグループを支配した鹿内家三代の物語。
 すっかり引き込まれてしまい,息つく暇もなく読み終えた。権力闘争の手に汗握るサスペンス,骨肉の争いの下世話な興味深さ,鹿内家が権力を確立するまでの戦後史の壮大な暗部。。。これを面白いといわずになんというか。その後数日間にわたって,頭のなかは鹿内さんたちでいっぱいであった。なにしろ,通勤電車でつり革にぶら下がって揺られているとき,ついつい鹿内宏明さんの数奇な運命について考えてしまい,思わず「ああ,ヒロアキ。。。」などと小声で呟いてしまったほどである。はたからみたら危険なゲイのオヤジである。
 というわけで,文句なしに最近一番の面白本だったのだが,読み終えての最大の感想は,ああ俺は日本について知らない,何も知らないのだなあ,ということに尽きる。世の中は我々の預かり知らぬところで動いているのだ,と痛感する。
 いくつか抜き書き:

Bookcover 世界はカーブ化している グローバル金融はなぜ破綻したか [a]
デビッド・スミック / 徳間書店 / 2009-05-19
題名"The world is curved"はもちろん,フリードマンのベストセラー"The world is flat"を踏まえたもの。金融システムのグローバル化のせいで,世の中はフラットどころか一寸先も闇になってしまったが,でもグローバル化を止めるわけにもいかない,という主旨。。。だったと思う。経済の話は苦手なので,いまいち自信がない。
 堅い話ばっかりじゃまずいだろうというご配慮なのであろう,ところどころ自慢話とも冗談ともつかないような軽いエピソードが紹介されるので,その飛び石をつたうようにしてなんとか読み終えた。著者は超有名な金融コンサルタントなのだそうで,リー・クアンユーと一対一で論争したり,橋本首相をヨットで接待したり,グリーンスパンと始終メシを食ったり,絵に描いたようなインサイダーである。
 グローバリゼーションはどうしたって続けなければならない,そのためにこそ人々を起業家資本主義へと誘い,資本家の裾野を劇的に拡大させなければならない,んだそうだ。ふうん。

Bookcover 貧困ビジネス (幻冬舎新書) [a]
門倉 貴史 / 幻冬舎 / 2009-01
保証人ビジネスからアルバニアのネズミ講まで,表題と関係のありそうな話題を片っ端から集めてきましたという,全くまとまりのない本。失敗した。

Bookcover レバレッジ時間術―ノーリスク・ハイリターンの成功原則 (幻冬舎新書) [a]
本田 直之 / 幻冬舎 / 2007-05
本屋でぼんやりしていると,なんとなく不安がこみあげてきて,ついついこういう本を買ってしまうのである。会計を済ませたその足でコーヒーショップに寄り,袋から出してぱらぱらめくって,30分後に「これはもう読みおえたことにしよう」と決めた。著者様には失礼な話だが,本のテーマがテーマだから,仰るとおり時間を有益に使いました,ということでご容赦願いたいと思う。

Bookcover 多読術 (ちくまプリマー新書) [a]
松岡 正剛 / 筑摩書房 / 2009-04-08
著者は読書家として大変有名な人で,俺もときどきネットの「千夜千冊」を眺めることがあるのだけど,著書には関心がなかった。ところが先般,明け方に見た奇妙な夢のなかで,俺は小川洋子の小説に出てくるような幻想的な書庫のなかで段ボール箱を延々と運んでおり,少しでも箱を雑に扱うと,片眼鏡を掛けたマツオカ・セイゴーが静かに怒り出すのであった。これもなにかのご縁かと思い,最新刊を手に取った次第。
 この本もぱらぱらめくるような感じで読み終えてしまったが,なにしろ題名が「多読術」なんだから,正しい態度であろう。対談形式の薄目の内容で,なかなか楽しかった。主旨はアドラー&ドーレン「本を読む本」とほとんど同じだが,まあ誰が書いても似たような内容になるだろうし。達人のアドバイスを聞いたからといって,我々シモジモの役に立つかどうかはわからないし。

Bookcover 日本の難点 (幻冬舎新書) [a]
宮台 真司 / 幻冬舎 / 2009-04
帯に「ひとりで『日本の論点』をやってみました」とあるように,世の中のありとあらゆる問題について,整理・分析し見解を述べた本。大変忙しい。
 社会科学者がこういう本を書く,その決意は大変なものだろうと思うのだけど,この本を喜んで読んでいていいのか,という気もする。誰かえらい人に包括的な物差しを示してほしいと願うのは,よっぽど実存的不安に脅かされているか,でなければある種の怠慢の表れではないかと思うのである。もう少し,ひとつひとつゆっくり考えたいなあ。

Bookcover パリの聖月曜日―19世紀都市騒乱の舞台裏 (岩波現代文庫) [a]
喜安 朗 / 岩波書店 / 2008-03-14
19世紀初頭のパリは,人口は増大するわ社会は流動化するわ,でも都市を支えるだけの政治システムやインフラが追いつかないわで,もう大変だったのだそうだ。そのなかでの人々の生活について書いた本。
 水不足に関する章がとても面白かった。当時のパリはとにかく水が足りなくて,金持ちでさえ公衆浴場に行くのが習慣であった由(風呂の出前「移動浴槽」や,セーヌ川の船の上に浴室を並べた「風呂舟」といった商売もあったそうだ)。労働者はセーヌ川の水浴場に行くのが関の山であった。で,1825年に運河ができて,パリへの給水量は増大するが,その結果生じたのは公衆浴場の増加であって,格差はかえって拡大したそうである。

読了:06/26まで (NF)

2009年6月 8日 (月)

Bookcover マンボウ恐妻記 (新潮文庫) [a]
北 杜夫 / 新潮社 / 2004-12-22
なんとなく手に取った。平成13年刊のエッセイ。出てくる人出てくる人,みんな故人で,存命なのは佐藤愛子くらい。なんだか胸が沈んでしまった。
 俺はいまいち集中力に欠けるところがあって,個人全集を全部読んだといえるのは北杜夫と須賀敦子くらいだ。その北杜夫にしたところで,中学校の図書室にあった新潮社版・北杜夫全集は,いま調べたら77年刊らしいから,以後の作品は全く読んでいないことになる。よい読者とは言い難い。
 「楡家」は別格として,いちばん好きなのは「白きたおやかな峰」なのだが,著者の回想によれば,これは躁の時期に書かれた失敗作なのだそうだ。良い小説だと思うんだけどなあ。

Bookcover 独断流「読書」必勝法 (講談社文庫) [a]
清水 義範,西原 理恵子 / 講談社 / 2009-05-15
これは別に読まなくてもよい本であった。。。

Bookcover 失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学 [a]
メアリー・C・ブリントン / エヌティティ出版 / 2008-11-28
日本の高卒就職についての実証研究。著者は日本研究で有名な社会学者とのこと。
 それほど親しいわけではない知人とのつながりが社会関係資本としては馬鹿にできないのだ,という文脈で,そういった中遠距離の関係のことを「ウィークタイズ」と呼ぶことがあるようだが,これはマーク・グラノヴェターという社会学者の論文から来ている言葉なのだそうだ。で,著者によれば,若者の職探しでウィークタイズが効くというのはアメリカの話であり,日本ではむしろストロングタイズや制度的ネットワーク(学校推薦とか)のほうが重要である由。ふうん。

Bookcover 農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) [a]
高橋 五郎 / 朝日新聞出版 / 2009-02-13

Bookcover 上海新風―路地裏から見た経済成長 [a]
谷口 智彦 / 中央公論新社 / 2006-09
著者が上海に数ヶ月滞在した経験をつづったエッセイ。
 かつてはこういう本があったよなあ,と思う。著者は別に中国経済が専門でもなければ,中国語ができるわけでもない。このような極私的見聞録が出版されるのは,ただ著者が高名な著述家であるという一点にかかっているのだ。それはそれで面白い内容ではあったけれども,海外情報がアタリマエとなってしまった昨今では,珍しいタイプの本だなあ,と思った。

読了:06/08まで (NF)

2009年5月24日 (日)

Bookcover ドイツ宗教改革 (ヨーロッパ史入門) [a]
R.W. スクリブナー,C.スコット ディクスン / 岩波書店 / 2009-02-20
薄い本なのだが,読み終えるのに時間がかかった。正直なところ,切れ切れに読んでいたので,内容が頭に残っていない。

Bookcover 政権交代論 (岩波新書) [a]
山口 二郎 / 岩波書店 / 2009-03-19
著者は民主党のブレーンとして知られる政治学者。研究者としての視点と当事者としての視点がないまぜになっている感じだ。

Bookcover 創価学会の研究 (講談社現代新書) [a]
玉野 和志 / 講談社 / 2008-10-17

読了:05/24まで (NF)

2009年5月 4日 (月)

Bookcover 不安定雇用という虚像―パート・フリーター・派遣の実像 [a]
小泉 静子,佐藤 博樹 / 勁草書房 / 2007-11-08
タイトルは妙にセンセーショナルだが,リクルートワークス研究所が行った調査をまとめた,実に地味な内容であった。

Bookcover 強いられる死 自殺者三万人超の実相 [a]
斎藤 貴男 / 角川学芸出版 / 2009-04-11

Bookcover 追跡・「夕張」問題<財政破綻と再起への苦闘> (講談社文庫) [a]
北海道新聞取材班 / 講談社 / 2009-04-15

Bookcover ルポ 雇用劣化不況 (岩波新書) [a]
竹信 三恵子 / 岩波書店 / 2009-04-21

Bookcover 劇場政治の誤算 (角川oneテーマ21) [a]
加藤 紘一 / 角川グループパブリッシング / 2009-04-10

Bookcover 琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書) [a]
兵藤 裕己 / 岩波書店 / 2009-04-21

Bookcover 世界の歴史 22 近代ヨーロッパの情熱と苦悩 (中公文庫 S22-22) [a]
谷川 稔,鈴木 健夫,村岡 健次,北原 敦 / 中央公論新社 / 2009-03

読了:05/04まで (NF)

2009年4月22日 (水)

Bookcover 諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家 (中公新書) [a]
湯浅 邦弘 / 中央公論新社 / 2009-03

Bookcover 人物ノンフィクション〈1〉一九六〇年代の肖像―後藤正治ノンフィクション集 (岩波現代文庫) [a]
後藤 正治 / 岩波書店 / 2009-04-16

Bookcover 雇用はなぜ壊れたのか―会社の論理vs.労働者の論理 (ちくま新書) [a]
大内 伸哉 / 筑摩書房 / 2009-04

本当はマーケティング関係の本を何冊か,読みかけのまま持ち歩いているし,講義準備のための心理学系の本もあるし。。。にもかかわらず,ついついこういう全然無関係な本を読んでしまうのである。

読了:04/22まで (NF)

2009年4月 5日 (日)

Bookcover NTTの深謀 [a]
日経コミュニケーション 編 / 日経BP社 / 2009-03-05
Bookcover NTTの自縛 [a]
宗像 誠之 / 日経BP社 / 2008-01-31
Bookcover 2010年NTT解体―知られざる通信戦争の真実 [a]
/ 日経BP社 / 2006-12-14
この3冊は借りて読んだ。

Bookcover コカ・コーラに挑んだ男―「人生なにが起こるかわからない」 [a]
谷田 利景 / ワック / 2008-12
仕事の足しになるかもしれないと思って読んだ本。ポッカコーポレーションの創業者の自叙伝。高度成長とともに歩んだ人の自伝として面白く読んだが,うーん,仕事の足しには,あんまりならなかったかも。
いま手元にないのでうろ覚えだが,市場調査のデータに頼ってはいけない,それは所詮調査屋の視点にすぎない,というようなくだりがあった。そうなんですよね。わかってはいるんですけどね。

Bookcover ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ) [a]
木村 英紀 / 日本経済新聞出版社 / 2009-03
著者は制御工学の先生。暗黙知に基づく「ものつくり」神話に縛られ,普遍的システム思考を軽視しているせいで,日本はだめになっちゃうよ,という内容。偉い人の警世の書,という感じの内容であった。

Bookcover ドキュメント アメリカの金権政治 (岩波新書) [a]
軽部 謙介 / 岩波書店 / 2009-03-19

Bookcover 新聞・TVが消える日 (集英社新書) [a]
猪熊 建夫 / 集英社 / 2009-02

Bookcover 日本の仏像―飛鳥・白鳳・天平の祈りと美 (中公新書) [a]
長岡 龍作 / 中央公論新社 / 2009-03
しばらく前の休みの日,花粉の嵐を踏み越えて,世田谷美術館「平泉 特別展」を観てきた。四天王の立像をほれぼれと眺めていて,ふと気がついたのだが,考えてみたら,四天王っていったいなにしている仏様なんですかね。
 で,ちょうど出たばかりのこの本を読んでみた。ええと,四天王のみなさまはもともと衆生の行状を記録している神様で(だから広目天は手に巻物を持っておられる),さらに8世紀頃からは,お釈迦様への誓いを破っている奴を見つけて罰を下す神様ということにもなったのだそうだ(故に持国天は怒っておられる)。へえー。などなどと,面白い読み物であった。ああ,心和むなあ。こういう本ばかり読んで暮らせたらいいのだけれど。

Bookcover エセー〈1〉 [a]
/ 白水社 / 2005-10
昨年から中公クラシックス版の「エセー」を読み始めたのだが,2巻の冒頭あたりで挫折した。新訳本で再チャレンジ。こっちのほうが読みやすい。
 モンテーニュの文章はまとまりがなく,どこに進んでいくのかわからないところが楽しい。先月,ひょんなことから夜行列車で長旅をすることになり,狭い寝台にうつぶせに寝転がってこの本を読みふけった。忘れられないひとときであった。

読了:04/05まで (NF)

2009年3月18日 (水)

Bookcover 墨子 (講談社学術文庫) [a]
浅野 裕一 / 講談社 / 1998-03-10
中国戦国時代の思想家・墨子についての解説書。ずっと前に酒見賢一「墨攻」という面白い小説を読んで,関心を引かれて買ったきり,本棚の奥で眠っていたのを,このたび仕事とも心理学とも浮き世とも全く関係ない本を読みたくなって発掘した次第。
 墨子先生は極めつけにロジカルで,議論に深みというか味わいというものがからっきし欠けている,実に奇特な思想家なのである。墨家消滅ののち二千年近くも忘れ去られていたというのも,むべなるかな,という感じである。

Bookcover 中世ヨーロッパの歴史 (学術文庫) [a]
堀越 孝一 / 講談社 / 2006-05-11
残念,これはさっぱり頭にはいらなかった。通勤電車や昼休みに切れ切れに読んでいたせいもあるが,なにより予備知識が足りないのである。またの機会に。

Bookcover 宗教事件の内側―精神を呪縛される人びと [a]
藤田 庄市 / 岩波書店 / 2008-10-30

Bookcover それでも会社を辞めますか? 実録・40歳からの仕事選び直し (アスキー新書) [a]
多田 文明 / アスキー・メディアワークス / 2009-02-11

読了:03/19まで (NF)

2009年2月22日 (日)

Bookcover 世界の歴史〈17〉ヨーロッパ近世の開花 (中公文庫) [a]
長谷川 輝夫,土肥 恒之,大久保 桂子 / 中央公論新社 / 2009-01
中公の「世界の歴史」シリーズが徐々に文庫化されていて,これはその一冊。宗教改革から啓蒙主義あたりまでのヨーロッパ史。
 暮れから正月にかけて,モンテーニュ「エセー」や堀田善衛のモンテーニュ伝を読んでいたのだが,なにしろ世界史の知識が全く不足しているので,よくわからない箇所が多かった。というわけで,最近ちょっと歴史書づいているのだが,そのいっぽうで,いやこういう本は余生にとっておいて,いまは仕事の関係の本を読んだ方がいいか。。。いやいや,いまこそがその余生であろう。。。と葛藤する面もある。
 それはともかく,この本を読み終えてから,本棚の奥を見て悲鳴を挙げた。ハードカバーで買っていたよ。。。「いつか時間ができたら読もう」と置いてあったのだ。あああ。

読了:02/22まで (NF)

2009年2月11日 (水)

Bookcover 納棺夫日記 (文春文庫) [a]
青木 新門 / 文藝春秋 / 1996-07
前半は葬儀社の社員として,多くの遺体の納棺に携わった体験談。後半は親鸞と宮沢賢治に導かれた哲学的エッセイ。実際に読んでみると,この構成が必然的なものだということがわかるのだけれど,ふつうの見方をすれば散漫な内容だということになるだろう。失礼な言い方だけど,こうして文庫化されたのもひとえに映画化されたせいであって,本来であれば東京の大出版社からは絶対に出てこないタイプの本だと思った。地方出版社を無闇に持ち上げる風潮もなんだか変だと思うのだが,この本を最初に出版した富山の桂書房という版元の,志の高さに感銘を受ける。

Bookcover 会社は毎日つぶれている (日経プレミアシリーズ) [a]
西村 英俊 / 日本経済新聞出版社 / 2009-01
双日初代社長の体験談。いかに経営者が大変か,という話。

Bookcover 回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書) [a]
畑村 洋太郎 / 講談社 / 2009-01-16
失敗学で有名な先生が,失敗から立ち直るための心構えを説いた本。一種の世間話本だが,内容には含蓄がある(というか,含蓄しかない)。

Bookcover 新潟少女監禁事件 密室の3364日 (朝日文庫) [a]
松田 美智子 / 朝日新聞出版 / 2009-02-06
この著者のデビュー作は昔の女子高生誘拐事件を描いたノンフィクションだったが,心情や性交シーンをまるで見てきたかのように詳細に描写しすぎるので,これは週刊新潮風の実話小説と捉えるべきだなあ,と思ったことがある。この本はあの新潟の監禁事件を扱ったもので,またああいうのを書いたのかと恐る恐る手に取ったが,内容は取材を積み重ねたオーソドックスなノンフィクションであった。この著者も変化しているのだろう。
 9歳から9年間監禁された被害者の女性は,その後の適応の難しさについてこう述べているそうだ。「九年間,私がいない間に流れている川があるとして,私が戻ってきて,またその川に入りたいんだけど,私が入ったがために水の流れが止まったり,澱んだり,ゴミがつまったら嫌だから,私はこっそり見ているだけで,入れない」

Bookcover 続・インドの衝撃―猛烈インド流ビジネスに学べ [a]
NHKスペシャル取材班 / 文藝春秋 / 2009-01

読了:02/11まで (NF)

2009年1月31日 (土)

Bookcover 誰も書けなかった石原慎太郎 (講談社文庫) [a]
佐野 眞一 / 講談社 / 2009-01-15

Bookcover ナチスと映画―ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか (中公新書) [a]
飯田 道子 / 中央公論新社 / 2008-11

Bookcover 裁判長!これで執行猶予は甘くないすか (文春文庫) [a]
北尾 トロ / 文藝春秋 / 2009-01-09

読了:01/31まで (NF)

2009年1月12日 (月)

Bookcover ワルシャワ・ゲットー―捕囚1940‐42のノート [a]
エマヌエル リンゲルブルム / みすず書房 / 2006-11
ここ数ヶ月,ちびちびと読んでいた本。疲れた...
 著者は若い歴史家で,ドイツ占領下のワルシャワで,ユダヤ人がゲットーに閉じこめられついには殺戮される過程を密かに記録した。この本は,地下に埋められていた彼のノートをまとめたもの。
 ワルシャワ・ゲットーの日々はただの類型的な悲劇ではなく,猥雑で圧倒的なリアリティに満ちている。そこには腐敗したユダヤ人組織があり,命がけの密輸があり,理不尽な暴力があり,助け合う人々がいて,笑いさえある。

Bookcover 怒りについて 他二篇 (岩波文庫) [a]
セネカ / 岩波書店 / 2008-12-16
年末に読んだ。この理性への限りない信頼はどこから出てきたんだろう。こういう人間観(ストア派っていうのでしょうか)には到底ついていけないんだけれども,でも不思議なことに,なにか胸を打つものがある。

Bookcover ミシェル 城館の人 第一部 争乱の時代 (集英社文庫) [a]
堀田 善衞 / 集英社 / 2004-10-20
Bookcover ミシェル城館の人〈第2部〉自然・理性・運命 (集英社文庫) [a]
堀田 善衛 / 集英社 / 2004-11
Bookcover ミシェル城館の人〈第3部〉精神の祝祭 (集英社文庫) [a]
堀田 善衛 / 集英社 / 2004-12
「エセー」の著者モンテーニュについての評伝的エッセイ。この年末年始は堀田善衛とともに過ごしたという感じである。読み終えたばかりで,ちょっと感想を書くのが難しい...

Bookcover 経済学はこう考える (ちくまプリマー新書) [a]
根井 雅弘 / 筑摩書房 / 2009-01
ようやくモンテーニュから解放され,気分転換に風呂のなかで目を通した。高校生向けの経済学読み物。経済の話は苦手で苦手で,ここまでレベルを落としてもらわないとついていけないのである。情けないなあ。

Bookcover 検証 格差拡大社会 [a]
/ 日本経済新聞出版社 / 2008-09

読了:01/12まで (NF)

2008年12月29日 (月)

Bookcover 滅びの遺伝子―山一證券興亡百年史 (文春文庫) [a]
鈴木 隆 / 文藝春秋 / 2008-12-04
破綻した山一証券には三代目社長・太田収の血が埋め込まれていた。それは太田収のご先祖,坂本龍馬を斬った男・佐々木只三郎から脈々と流れる破滅のDNAなのであった。。。云々。著者は日経証券部長を勤めたえらい人。俺は全くの門外漢なので,この本の価値はよくわからないのだが,とにかく壮大な後講釈だ。

読了:12/29まで (F)

2008年12月21日 (日)

Bookcover 子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書) [a]
阿部 彩 / 岩波書店 / 2008-11-20
一般市民に「十二歳の子どもがふつうの生活をするために,××は必要だと思いますか?」と尋ねる調査をやったところ,意外なことに,多くの項目では支持率が他国に比べて低かったのだそうだ。たとえば「歯医者に行くこと」について「希望するすべての子どもに絶対与えられるべきである」を選んだ人の割合は86%, オーストラリアでは95%(オーストラリアの医療保険では歯科検診がカヴァーされていないのに)。著者はこの現象の原因を,日本人の「総中流神話」「貧しくても幸せな家庭神話」,それらの神話による貧困の隠蔽に求める。なるほど...

Bookcover 「後期高齢者」の生活と意見 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2008-12-04

Bookcover カラー版 浮世絵 (岩波新書) [a]
大久保 純一 / 岩波書店 / 2008-11-20
先月読んだ本。書くのを忘れていた。

読了:12/21まで (NF)

2008年12月16日 (火)

Bookcover 大暴落1929 (日経BPクラシックス) [a]
ジョン・K・ガルブレイス / 日経BP社 / 2008-09-25
1929年の世界恐慌についてのドキュメント。経済学の知識がない人向けに書かれていて,大変助かった。
「繰り返すが,私はいっさい予想はしない。私が云いたいのは,この現象[投機ブーム崩壊による恐慌]は何度となく繰り返されてきたということだ。[...] もしいま株価が下落に転じ,天罰の降る日を迎えるとしたら,確実に予想できることがある。[...] 景気後退は起こりうるし,それはごく正常なことだ。そうなったとき,政府はきっと,国民を安心させようと決まり文句をいうだろう。市場があやしい雲行きになったときの常套句,すなわち『経済は基本的には健全である』とか『ファンダメンタルズは問題ない』というものだ。この台詞を聞かされたら,何かがうまくいっていないと考える方がよい」 これはガルブレイス先生がのちに書き添えた序文の一節で,書かれたのは1997年だが,1955年に書かれた本文中にも同趣旨の文章があるし,またこれが書かれたのが1990年だといわれても2008年だといわれても全然おかしくない。というわけで,この本を読んでいる間,バブル崩壊前後の東京の話を読んでいるような錯覚や,はたまたここ数ヶ月の話を読んでいるような錯覚にとらわれ,何度も混乱した。

Bookcover 意味がなければスイングはない (文春文庫) [a]
村上 春樹 / 文藝春秋 / 2008-12-04
音楽についてのエッセイ。シューベルトのピアノソナタは誰の演奏が良いかとか,スプリングスティーンがどうこうとか,なんの関心もない話題なのだが,なんとなく読み終えてしまった。

Bookcover 山口組概論―最強組織はなぜ成立したのか (ちくま新書) [a]
猪野 健治 / 筑摩書房 / 2008-12

読了:12/16まで (NF)

2008年12月12日 (金)

Bookcover それでも家族 夫が大麻を育てた日 [a]
武村 みゆき / 講談社 / 2008-11-27
かつての新党さきがけ代表にして大蔵大臣でもあった政治家・武村正義の長男が,自宅で大麻を育てていて捕まった。長女と嫁も隠蔽を問われ逮捕される(不起訴)。その嫁さんによる手記。朝の出勤前にぱらぱらめくっていたら,これが実に読みやすい内容で,その朝の通勤電車の中で一気読み。こういう本を読むときいつも思うのだけれど,ライターさんを雇っているのなら,その旨きちんと書けばいいのに。決して恥ずかしいことではないと思うのだが。
 話の主旨は家族の苦悩と再生というか,あるいは逮捕の体験談というか,そちらにあるのだが,地方の名望家に嫁ぎ,地域に根ざした強固な社会的ネットワークのなかで暮らす人の価値観がかいまみえて,むしろそのあたりが興味深かった。
 捕まった旦那さんは短大助教授だが,大麻のせいか奇行が目立ち,休職することになる。その際,理事長が著者を呼んで話すに,ご主人には期待しています,休職中に論文を二本書いたら,復職と同時に教授になっていただこうと思っています,とのこと。建前としては教授会マターだと思うのだが。。。そういう世界もあるらしい。

Bookcover 就活のバカヤロー (光文社新書) [a]
大沢 仁,石渡 嶺司 / 光文社 / 2008-11-14
特に関心のない内容の本なのだが,帯につけられた福満しげゆきの二コママンガがあまりに可笑しくて,そのせいで衝動買いしてしまった。新卒の就職情報会社はリクルートと毎日コミニケーションズが二強なのだそうだ。ふーん。
なおマンガのほうは,就職面接で「君の強みについて教えてください」と問われた,どうみても気の弱そうな青年が,青ざめた表情で「コ..コ...コミュニケーション能力,ば,ばつぐんです」と答えている場面。

Bookcover 床の間――日本住宅の象徴 (岩波新書) [a]
太田 博太郎 / 岩波書店 / 1978-12-20
1978年刊の復刊。床の間を題材にした日本建築史の啓蒙的読み物。
 床の間の前身として「押板」というものがあるのだそうだ。奥行きが浅くて間口が広く,背後の壁ははめ殺しのふすまのようになっていて,絵が描いてある。写真を見ると,ああ大河ドラマに出てくるかも,という感じである。で,この押板の起源は仏壇だという通説があるのだそうで,著者は資料を子細に検討し,この通説に反駁していく。そこのくだりが,なんだか推理小説のようで面白かった。いやあ,こういう浮世離れした本は,読んでいて胸なごむなあ。

Bookcover 景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書) [a]
岩田 規久男 / 筑摩書房 / 2008-10
高校生レベルの入門書,のはずなのだが。。。めくりながらふと気がつくと,いつのまにか全然関係ないことを考えていたりして,ちっとも頭に入らない。お金の話にはとことん向いていないようだ。

読了:12/12まで (NF)

2008年11月16日 (日)

Bookcover 赤めだか [a]
立川 談春 / 扶桑社 / 2008-04-11
 なるほど,これは評判になるわけだ。 あまり好みの内容ではないのだけれど(誰かに惚れ込んでいる人の文章は,読んでいて少し面倒になってきてしまう),面白く読み終えた。文章が良いのだろう。

Bookcover イケダ先生の世界 (宝島SUGOI文庫 A へ 2-1) [a]
ベンジャミン・フルフォード / 宝島社 / 2008-10-18
著者は確か,阪神大震災は某国の地震兵器のせいで起きた云々と主張しておられる方で,素直に読んでいいものかどうかわからないのだが。。。
 ポリー・トインビーというイギリスのジャーナリストがいるが(邦訳もある),この人はかの大学者トインビーの孫なのだそうで,日本に招かれ池田先生と対談した際の珍道中を辛辣な手記にまとめている由。へえー。
 創価学会の方々には特に良い印象も悪い印象もないのだけれど,池田さんが亡くなったらどうするんだろう,と人ごとながら心配になる。

Bookcover 民主党―野望と野合のメカニズム (新潮新書) [a]
伊藤 惇夫 / 新潮社 / 2008-11
著者は民主党の事務局長だった人。2001年元旦,著者が神社に初詣して願ったことはただ一つ,「夏の参院選まで森政権が続いてくれますように」だったのだそうだ(なぜなら,森政権になら勝てるから)。ははは。

Bookcover ココロミくん〈3〉 [a]
べつやく れい / アスペクト / 2008-10
デイリーポータルZでの連載をまとめたもの。連載時に全部読んでいるのだけれど,やっぱり面白い...

Bookcover ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの) [a]
吉田 重人,岡ノ谷 一夫 / 岩波書店 / 2008-11-06
べつやくれいさんのイラスト目当てで衝動買いし,あとでよく見たら,著者は小鳥の研究で有名な認知科学の先生であった。びくびくしながらめくったが,幸い内容の多くはハダカデバネズミの生態や飼育の苦労談に割かれており,研究の話はあまり出てこなかったので,楽しく読み終えた。

Bookcover 朝鮮総連―その虚像と実像 (中公新書ラクレ) [a]
朴 斗鎮 / 中央公論新社 / 2008-11

Bookcover 創造するリベラル (シリーズ 時代を考える) [a]
姜 尚中,加藤 紘一 / 新泉社 / 2008-10-31

Bookcover 今日、ホームレスになった―15人のサラリーマン転落人生 [a]
増田 明利 / 彩図社 / 2008-08-20

読了:11/16まで (NF)

2008年11月 3日 (月)

Bookcover 格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略 [a]
ポール クルーグマン / 早川書房 / 2008-06
新聞のコラムで有名なえらい人,クルーグマン先生2007年の著書。買ったきり積んでおくうちに,著者はノーベル賞を取ってしまわれました。
 社会格差の増大は,グローバル化や情報技術のせいではなく,共和党の悪しき「保守派ムーブメント」のせいであって,彼らはアメリカにいまだのこる人種差別のメンタリティを悪用してきたのだ,という内容。

Bookcover 上海にて (集英社文庫) [a]
堀田 善衞 / 集英社 / 2008-10-17
堀田善衛は45年3月に上海に渡り,敗戦とともに国民党に徴用され,46年12月に帰国する(このとき28歳)。この本は57年,作家となった著者が中野重治や井上靖とともに訪中した際の紀行文だが,内容のほとんどは上海時代の随想にあてられている。

読了:11/03まで (NF)

2008年10月27日 (月)

Bookcover 労働再規制―反転の構図を読みとく (ちくま新書) [a]
五十嵐 仁 / 筑摩書房 / 2008-10
小泉内閣末期から福田内閣にかけて,労働政策の分野で規制緩和派がズルズルと後退していく様子を描いた内容。ブログが基になっているのだそうだ。
著者はかの大原社研の所長という人だから,もちろんアンチ新自由主義なのだが,規制緩和派の度重なる敗北は官僚によるバックラッシュという面もあるわけで,だから善し悪しについてはちょっと煮え切らない書き方になっている。新自由主義でも官僚支配でもない第三の道を探さないといけないです,という結論。

読了:10/27 (NF)

2008年10月26日 (日)

Bookcover 偽りのホワイトハウス 元ブッシュ大統領報道官の証言 [a]
スコット・マクレラン / 朝日新聞出版 / 2008-10-21
ブッシュ政権の報道官だった人の暴露本。

Bookcover 子どもへの性的虐待 (岩波新書) [a]
森田 ゆり / 岩波書店 / 2008-10-21
著者は性的虐待の専門家。当然ながら,90年代の記憶回復療法を巡る騒動に関してはセラピスト側の立場である。裁判にそなえた初期面接のトレーニングが必要である由。なるほど。

読了:10/26まで (NF)

2008年10月13日 (月)

Bookcover 無法回収──「不良債権ビジネス」の底知れぬ深き闇 [a]
椎名 麻紗枝,今西 憲之 / 講談社 / 2008-09-25

Bookcover 自民党政治の終わり (ちくま新書) [a]
野中 尚人 / 筑摩書房 / 2008-09

読了:10/13まで (NF)

2008年10月 6日 (月)

Bookcover ブログ論壇の誕生 (文春新書) [a]
佐々木 俊尚 / 文藝春秋 / 2008-09
「諸君」読者のおじさん向けに,いまネットの世界ってこうなのですよ,と説明している本。1年後にめくったらさぞや古くさくなっているであろう内容である。

Bookcover 外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書) [a]
白井 恭弘 / 岩波書店 / 2008-09-19
面白かったけど。。。どうせ俺,もう手遅れだし,とがっくりしてしまう。

ここんとこ,柄にもなく仕事が忙しく,ろくに本も読めない始末だ。いやになっちゃうなあ。

読了:10/06まで (NF)

2008年9月28日 (日)

Bookcover 分析力を武器とする企業 [a]
トーマス・H・ダベンポート,ジェーン・G・ハリス / 日経BP社 / 2008-07-24
データ解析が企業の競争優位を生み出すんだよ!ほんとだよ! という本。ビジネス書は苦手なのだが,この本の内容はさすがにサラリーマンとしての俺の仕事にジャストミートなので,一気に読み終えた。「分析の能力を持つ人材が足りない」云々というくだりで,こりゃ俺の将来は明るいなあと励まされたり,「しかし先端企業は数学の博士号を持つ人材を必死に集めているのだ」云々というくだりでがっくりしちゃったり。浮いたり沈んだりで,まあいろいろと忙しいです。
 内容は要するにデータ重視経営がいかに大事かという話であって,ビジネスインテリジェンスのマネジメント向け啓蒙書であるともいえる。だから個別具体的に得るところはあまりなかったのだが,本の後半の,組織全体の分析的思考を高めていくためにはどうしたらよいか,というあたりは勉強になった。レベルの低い企業では,まずは小さな実績を積み重ねて経営層の注目を得よとのこと。プラクティカルだけど,気の長い話だなあ。

Bookcover 非線形科学 (集英社新書 408G) [a]
蔵本 由紀 / 集英社 / 2007-09-14
えらい物理学者による啓蒙書。
 著者の先生は(おそらくすごく苦労して)難しい話を大変易しく書いてくださっているのだが,残念ながらそれでも一部ついていけない箇所があったりなんかして,なかなか切ないことである。でも,読んでる最中はエキサイティングで,読み終えると少し頭がよくなったような気になる。科学読み物の傑作だと思った。

Bookcover 大地の咆哮 元上海総領事が見た中国 [a]
杉本 信行 / PHP研究所 / 2006-06-22
元上海総領事を務めた外交官が書いた本。出版時にずいぶん評判になった。中国の水不足の話が大変興味深かった。

読了:09/28まで (NF)

2008年9月21日 (日)

Bookcover 反米主義 (講談社現代新書) [a]
近藤 健 / 講談社 / 2008-08-19

Bookcover ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書) [a]
上杉 隆 / 幻冬舎 / 2008-07

Bookcover 私という病 (新潮文庫) [a]
中村 うさぎ / 新潮社 / 2008-08-28
デリヘル嬢勤務の体験をまとめたもの。

Bookcover うろたえる父、溺愛する母―19世紀小説に家族を読む [a]
北上 次郎 / 筑摩書房 / 2003-11
ゾラとかディケンズとか,19世紀小説を読んでみては,我が身に引きつけ思いを馳せる,というエッセイ。どんな感傷も北上次郎風になってしまうのが可笑しい。
この本はすでに品切だが,7月に東京国際ブックフェアに行ったとき,筑摩書房のブースで半額処分になっていたので,思わず買いこんだ。おもしろい本なのに,もったいないなあ。

この本の中身とは全然関係ないんだけど,そういえば。。。
ブックフェアには特に深い考えもなく見物にいっただけなのだが,ビッグサイト中に本があふれている様子に我を忘れ,両腕がちぎれる位に本を買い込んでしまった。休憩所のベンチで一息ついて,この北上次郎の本をめくりながら,なんとはなしに向かいのベンチの会話を聞いていた。アルバイトの女の子たちが,遅い休憩時間をつぶしているところらしい。出版社の名前のはいったエプロンをつけた女の子が,友達の誰々ちゃんの噂話をしている。誰々ちゃんはいまのカレと別れようかと思ってるんだって。お金もあるし見た目もいけてるし,クルマは××だし(ここ,聞き取れなかった),別れるのもったいないんだけど,でも一緒にいてつまんないんだってさ。だけどねえ,と語尾をのばすと,聞き手の女の子がうなずいて,うん,彼デンツーだもんね。そう,デンツーってとこがねえ。それを考えると,どうしても別れられないんだって。
なるほど,そういうものか,と俺は勝手に感心して聞いていた。電通マンともなると,なかなか女の子が振ってくれないらしいぞ。
前々から俺は,美しい女性たちが持つ人生観に興味を抱いていた。美人はいつから自分が美人だと気がつくんだろうか。彼女たちは自分に寄ってくる男たちに対し,彼らは私の外形的美しさに惹かれているだけで,自分の内面には関心がないのではないか,といったシニカルな気持ちになりはしないだろうか。あるいは,彼女たちは自分の美しさについて,それが外形的か内面的かなどという区別をしないものだろうか。
これは俺とはかけ離れた人々に対する,純粋なる好奇心から来る問いなのだけれども,考えてみたら灯台もと暗しで,同じ問いを同世代の男たちにも抱くことができる。俺にはそういう経験がないのでわからないのだけれど,世の一流企業にお勤めだと,人生観変わってくるかなあ。自分に寄ってくる女たちに対して,シニカルな気持ちになったりするのかな,やっぱり。細かく考えていくと,世の中は俺とはかけ離れた人々に満ちている。

読了:09/21まで (NF)

2008年9月 7日 (日)

Bookcover アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書) [a]
松本 仁一 / 岩波書店 / 2008-08-20
ジンバブエやモザンビークはともかく,南アの治安が悪いというのは不思議な話だと思っていたのだが,この本によれば,貧困黒人層の都市への流入,隣国からの不法移民,政権の治安軽視,などが背景にある由。
 諸事情により南アの人としじゅうメールをやりとりしているのだが,彼らもなかなか大変な国に暮らしているのだなあ。東京は暑いからそっちで雇ってよ,などとくだらん冗談を書き送っているが,かの国の状況もわきまえず,なんだか失礼なことをいっちゃったかも。

Bookcover 仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書) [a]
鈴木 敏夫 / 岩波書店 / 2008-07-18

Bookcover イマイと申します。―詐欺を追いつめる報道記者 (新潮文庫) [a]
日本テレビ『報道特捜プロジェクト』 / 新潮社 / 2008-08-28

読了:09/07まで (NF)

2008年8月25日 (月)

Bookcover 人類が消えた世界 [a]
アラン・ワイズマン / 早川書房 / 2008-05-09
いま人類が一斉に姿を消したらどうなるか。数日後には地下鉄が水没し,何年か後には原発が次々に爆発する。。。云々。なんだかキワモノ的なテーマ設定だが,それは話のフックであって,中身のほうは,非常に充実したオーソドックスな地球環境本であった。

Bookcover 寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書) [a]
伊藤 正敏 / 筑摩書房 / 2008-08

Bookcover ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う [a]
小林 美希 / 岩波書店 / 2008-06-26

読了:08/25まで (NF)

2008年8月17日 (日)

Bookcover コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) [a]
廣瀬 陽子 / 集英社 / 2008-07-17
イラン・トルコの北,ロシアの南,グルジアとかアゼルバイジャンとか,頭のなかの地図でもやもやと霧がかかったようになっている,あのあたりの情勢に関する啓蒙書。とにかく話がものすごーく入り組んでいる。こんな地域を専攻しようなんて,著者の方もまだ若いのに(72年生まれ),随分変わった人だなあ,なんて思ってしまった。余計なお世話ですね。

Bookcover デキる上司は褒め方が凄い (角川oneテーマ21) [a]
日本語力向上会議 / 角川学芸出版 / 2008-07-10
またこういう,どうでもよい本を買ってしまった。。。

Bookcover 新聞社販売局担当員日誌 [a]
崎川 洋光 / 日本評論社 / 2006-12
定年退職したお父さんがサラリーマン生活を振り返って書いた,自費出版本のような本なのだが,その勤務先というのが朝日新聞の販売局だというのがミソである。ドロドロした内幕が伝わってくる,ちょっと面白い本であった。

Bookcover ヤクザマネー [a]
NHK「ヤクザマネー」取材班 / 講談社 / 2008-07-01

Bookcover ディズニーランドという聖地 (岩波新書) [a]
能登路 雅子 / 岩波書店 / 1990-07-20
仕事の都合で,ここんところディズニーランド関係本ばかり読んでいた。これはその第一弾。USディズニーランドを通して知るアメリカ現代文化の深層,という感じの本。
何冊か読んだあとで実際にTDLを見に行ったのだが(開業25年にして初体験),現地で「ああ読んでおいてよかった」と思ったのが,意外にもこの本であった。アトラクションなど観ていて,いちいちこの本の内容に思い当たる点が多かった。

Bookcover 東京ディズニーリゾート暗黒の軌跡 [a]
田中 幾太郎 / リベラルタイム出版社 / 2005-04
TDL開業に至る経緯についての暴露本。

Bookcover ディズニーランド裏舞台―夢の王国で働く人の物語 [a]
青木 卓 / 技術と人間 / 1993-05
末端の労働者としてTDLに潜入取材した体験記。筆致が落ち着いていて好ましい。TDL本というより,非正規雇用に生きる青年群像を描いた本として面白いと思った。

Bookcover ディズニーリゾートの経済学 [a]
粟田 房穂 / 東洋経済新報社 / 2001-04
新聞社出身の大学の先生が書いた本。これはつまんなかった。学者というほど突っ込んだ話もなければ,新聞記事ほどに取材の厚みもない。

読了:08/17まで (NF)

2008年7月20日 (日)

Bookcover 失敗は予測できる (光文社新書) [a]
中尾 政之 / 光文社 / 2007-08
失敗の直後にその失敗を自分で始末するのは難しい。だから事故がおきたら責任者はさっさと代えた方がよい,のだそうだ。なるほど,でもその実現は,往々にして難しいだろうなあ。

Bookcover 苛立つ中国 (文春文庫) [a]
富坂 聰 / 文藝春秋 / 2008-07-10

Bookcover ワーキングプア 解決への道 [a]
/ ポプラ社 / 2008-07

Bookcover 暴走する資本主義 [a]
ロバート ライシュ / 東洋経済新報社 / 2008-06-13
とても面白い内容であった。

読了:07/20まで (NF)

2008年6月29日 (日)

Bookcover 愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション) (朝日選書) [a]
吉岡 桂子 / 朝日新聞出版 / 2008-04-10

Bookcover 人事と出世の方程式 (日経プレミアシリーズ) [a]
永井 隆 / 日本経済新聞出版社 / 2008-06

Bookcover 日本のアウトサイダー (中公文庫 R 9) [a]
河上 徹太郎 / 中央公論新社 / 2004-11

Bookcover 物乞う仏陀 (文春文庫) [a]
石井 光太 / 文藝春秋 / 2008-06-10

Bookcover 公安調査庁の深層 (ちくま文庫) [a]
野田 敬生 / 筑摩書房 / 2008-06-10

Bookcover 元アイドル! (新潮文庫) [a]
吉田 豪 / 新潮社 / 2008-05-28

Bookcover よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり [a]
よしなが ふみ / 太田出版 / 2007-10-04

読了:06/29まで (NF)

2008年6月 3日 (火)

Bookcover ドキュメントヒトラー暗殺計画 [a]
グイド・クノップ / 原書房 / 2008-03-04

Bookcover 世界の歴史〈21〉アメリカとフランスの革命 (中公文庫) [a]
五十嵐 武士,福井 憲彦 / 中央公論新社 / 2008-04

読了:06/03まで (NF)

2008年5月29日 (木)

Bookcover 不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書) [a]
園田 茂人 / 中央公論新社 / 2008-05
久々に出くわした大ヒット。タイトルは凡百の中国本と見分けがつかないが,とても面白く,大変に勉強になる本であった。
著者は社会学者で,長年にわたり中国で社会調査を積み重ねている人。驚いたことに,日本のSSM調査に相当するような階層意識の実証データがすでに蓄積されていて,「あなたは中央政府をどの程度信頼できますか」なんていう項目もちゃんと調べてある。いまの中国ではそんな調査ができるのか。。。知らなかった。
特に面白かったのが,都市部に台頭しつつあるという中産階級の社会意識についてのくだり。彼らが一党独裁体制を崩壊させちゃうのだ,という予言が世にあふれているし,それを皮肉る「スターバックス神話」という言葉もあるくらいだが(スタバでコーヒーを飲めば意識もアメリカナイズされるとは限らないのと同様に,中産階級が台頭しても民主化が進むとは限らない,という話),著者もまたこの通説に否定的で,説得的な議論を展開している。いま急速に豊かになっているのは国家機関の管理職であり,彼らは中央政府とテクノクラートへの信頼が高く,格差の拡大をむしろ憂いている由。なんといっても,エピソードではなく実証データに基づいているところが素晴らしい。
調査データの紹介は,あるトピックについての集計表をご紹介してコメントし,別のトピックについて紹介してコメントし。。。という羅列になってしまうことが多いと思う。大規模な調査の場合,実施主体が明確な問題意識に突き動かされているとは限らないので,それはそれで仕方のないことであろう。しかしこの本のように,あるストーリーを語るためにデータを組み合わせていくことだってできるし,その時はじめてデータが生きるのである。さすがにプロはちがうなあ。
(追記:あとで気が付いたのだが,この本の題名は,何年か前の中公新書のベストセラー「不平等社会日本」を意識しているにちがいない。この本も売れるといいですね)

Bookcover 何が彼女をそうさせたか-東京のある街角、ホテルに向かう人妻たちの素顔 [a]
本橋 信宏 / バジリコ / 2005-12-10
著者はアダルト業界と新左翼運動に強いライターさん。裏本の帝王と呼ばれた男(のちの村西とおる)の挫折を描いた回顧録「裏本時代」は,青春小説のひとつの傑作で,もっと評価されて良いと思うのだが。。。とにかく,この人の書いたものはなんだか気になる。
この本は,主婦売春の客になり,身体を売る人妻たち(25~74歳)の生活と意見をインタビューする,という潜入ルポ。タイトルが実に人を喰っている。なに考えてんだかなあ。

Bookcover 日中外交の証言 [a]
中江 要介 / 蒼天社出版 / 2008-03

Bookcover 金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス (岩波新書) [a]
本山 美彦 / 岩波書店 / 2008-04-22

読了:05/29まで (NF)

2008年5月19日 (月)

Bookcover ポスト消費社会のゆくえ (文春新書) [a]
辻井 喬,上野 千鶴子 / 文藝春秋 / 2008-05
辻井喬(堤清二)と上野千鶴子の対談本。大変にスリリングな内容であった。
セゾングループ崩壊のプロセスについて上野千鶴子さんが容赦なく切り込むと,さすがの堤さんも不機嫌かつ防衛的な言い回しになる。
上野「...清算に思ったより時間がかかったのは,情報が入らなかったからだとおっしゃいましたね。それもいわば,戦争終結を引きのばした日本敗戦直前の半年間の損害のほうが,戦争中の約四年間の被害の合計より大きかったというプロセスと似ています。」
辻井「戦争末期の日本と共和主義が破綻したセゾンを比較するのは大変独創的な展開ですが,時間がかかったのは,その経営の責任者あるいはその責任者の側近が隠すからなんですよ。」
上野「そうお聞きすると,やっぱり,部下が悪かった,というふうにしか聞こえませんが。」
辻井「責任者からデータを引き出すのはものすごく時間がかかるんです。...」
うーん,手に汗握りますね。やっぱり,失敗の原因を当事者が分析するのは,難しいものなのだろうなあ。

ちょっと衝撃的な告白もある。ファミリーマートを売るくらいなら,西武百貨店を売った方がよかった,とか。客観的には西武百貨店のオーナーなのだが,本人は本当のオーナーである父にずっと反逆しているつもりだった,とか。
上野「何に対する反逆でしょう。」
辻井「強いていえば,前近代的な人格支配に対する反逆ですね。」
上野「法人資本主義を達成するはずだったのに,逆にご自身が抑圧的な権力者になってしまった,と?」
辻井「いまの論理の飛躍は面白いですね。ほとんど芸術的です」
うわあ,やっぱり手に汗握っちゃうぞ。

80年代セゾンの広告戦略というとすぐに連想されるのが,その絶頂期のコピー「おいしい生活」だったり,有名なウディ・アレンのポスターだったりするのだが(リアルタイムでは知らんけど),この頃から市場が成熟・飽和を迎え,西武百貨店の広告も空回りがはじまっていたそうだ。ふうん,そういうものか。

読了:05/19まで (NF)

2008年5月12日 (月)

Bookcover ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌 (中公新書) [a]
芝 健介 / 中央公論新社 / 2008-04

読了:05/12まで (NF)

2008年5月 5日 (月)

Bookcover 若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [a]
/ 朝日新聞社 / 2008-02-20
若松孝二の映画「実録・連合赤軍」のムック本だが,非常に充実した内容。

Bookcover 冷戦後-失われた時代 [a]
船橋 洋一 / 朝日新聞社 / 2008-03-21

読了:05/05まで (NF)

2008年5月 4日 (日)

Bookcover エセー〈1〉人間とはなにか (中公クラシックス) [a]
モンテーニュ / 中央公論新社 / 2002-09
「また高潔で好運に恵まれた死もいろいろある。わたしは,ある人に死が訪れて,その成長の花の盛りに,目覚ましい進歩を示して進んでいくその糸筋を断ち切ってしまったのを見た。その最期は華麗とも言えるものであり,彼の野心と勇気にみちたかずかずの意図も,その中断に及ぶほどの価値の高さを持たなかったのではないか,と私は考える。彼は,そこにおもむかなくても,彼のめざしたところに到達したのだ。彼の意欲,彼の期待がおよぶ程度よりもさらに偉大に,栄光にみちて。そして彼は,その死によって,彼が生前の追究のあいだに憧れ求めていた権能と名声よりも先へ越えたのだった」
16世紀のフランスの貴族が云わんとしたことと意味合いはちがうかもしれないが,そう,俺もそんな感慨を持ったことが確かにある。

読了:05/04まで (NF)

2008年5月 3日 (土)

Bookcover インド―グローバル化する巨象 [a]
堀本 武功 / 岩波書店 / 2007-09-21
インドはこんなに不思議な国だという面白話ではなく,いまインドが抱えている問題を,世界が抱えている普遍的な問題として捉えていて,やっぱり学者の書いた本はちがう,読んでみるもんだなあ,と思った(あとがきを読んだら,まさにインド特殊論を乗り越えることを意図していたとのことであった)。

Bookcover 東京町工場 [a]
Beretta P‐08 / 雷鳥社 / 2008-04
東京近辺の町工場をたくさん紹介した,写真集のような本。各工場につき4ページづつの写真と文章で構成されている。若い写真家や写真家の卵を大量動員して取材したようで,文章の質にはかなりばらつきがある(というか,概して下手である)。それはそれで面白かったけど,誰がどういう意図で企画しどうやって写真家を集めたのか,そのへんが全然見えないので,ちょっと気持ち悪いぞ。(ネットで調べたら,ある写真専門学校の卒業生たちだそうだ)
巻末に中小企業論の先生の解説がついていて,主旨は日本の町工場バンザイなんだけど,ちょっと面白い箇所があった。「忘れてはいけないのは,工場は決してディズニーランドではないということだ [...] 一日中同じ作業の繰り返し。それが一週間,一年,三年と続くのが工場なのだ。日本の従業員はこういう現場のなかでも働く喜びを感じてくれる。[...それには] 前提条件が必要だ。前工程の人が一生懸命やってくれないとだめだ。前工程から五パーセント十パーセントと不良が出たら,この工程で0.02パーセント不良率が上がっても下がっても関係がない。安定した電気・水道が無ければダメ。お弁当屋が従業員がおなかをこわすような弁当を詰めちゃダメ。宅急便がきちんと届かなくてはダメ」 なるほどなあ。

読了:05/03まで (NF)

2008年4月29日 (火)

Bookcover 不安な経済/漂流する個人―新しい資本主義の労働・消費文化 [a]
リチャード セネット / 大月書店 / 2008-01
グローバル資本主義によって,労働が,そして文化がいかに不安定なものになったか,という話。それに対抗する「文化的な錨」として,著者は物語性,有用性,職人技(クラフトマンシップ)を挙げている。物語性を回復させる試みの例は,職場における共同体,ジョブ・シェアリング,ベーシック・インカム。有用性の回復の例としては,公益に関わる仕事や家事労働の地位向上(なるほど,社保庁の役人の悪口をいってりゃいいってもんじゃないよな)。そして職人技とは,高度資本主義が求める精神的流動性(マズロー的な理想自己)の対抗概念であって,コミットメントの客観的価値を信じるという美徳を持つ。「何も手に入らずとも,何ごとかを正しくおこなうことが真の職人精神なのである」
 職人技の話は面白いと思ったけど,本当に社会を安定化させる鍵になりうるのか,よくわからない。「激安の給料で,職人の誇りを持って働くバイク便のお兄さん」というのは,ずいぶん都合のよい流動的労働力だよなあ。

読了:04/29まで (NF)

2008年4月28日 (月)

Bookcover 市場検察 [a]
村山 治 / 文藝春秋 / 2008-04

Bookcover 「中国問題」の内幕 (ちくま新書) [a]
清水 美和 / 筑摩書房 / 2008-02
新聞社のチャイナ・ウォッチャーが,最近の中国のさまざまな問題を政権内部の権力闘争の観点から読み解いた本。こういう研究もきっと貴重なんだろうと思うけど,視点があまりにミクロに過ぎて,俺のような素人に対しては,かえって状況を見失わせてしまうような気がする。といっても,世に溢れているあまりにマクロに過ぎる床屋政談にくらべれば,なんぼかましだろうけれど(中国の政治のことはすべて三国志から学ぶことができる,とかなんとか)。

Bookcover 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) [a]
湯浅 誠 / 岩波書店 / 2008-04-22
著者はホームレス支援で知られるNPO「もやい」の事務局長。
「日本社会で九年連続三万人超の自殺者が出ていることはよく知られているが [...] 三割の約一万人が生活苦を理由とした自殺ではないかと推計されている。[...] 「どんな理由があろうと,自殺はよくない」「生きていればそのうちいいことがある」と人は言う。しかし,「そのうちいいことがある」などとどうしても思えなくなったからこそ,人々は困難な自死を選択したのであり,そのことを考えなければ,たとえ何万回そのように唱えても無意味である」

読了:04/28まで (NF)

2008年4月20日 (日)

Bookcover 大いなる看取り―山谷のホスピスで生きる人びと [a]
中村 智志 / 新潮社 / 2008-03
著者は週刊朝日の記者で,新宿西口自由通路から野宿者が追い出される前後を描いた「段ボールハウスで見た夢」という著書がある。この本も,声高に語ることのない,とても良い本であった。

Bookcover 社会学の名著30 (ちくま新書) [a]
竹内 洋 / 筑摩書房 / 2008-04
どれもこれも全部読んでみたくなってしまう。。。

Bookcover ハンガリー革命 1956 [a]
ヴィクター セベスチェン / 白水社 / 2008-02

Bookcover 本音を申せば (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2008-04-10

Bookcover 家に帰らない男たち (扶桑社新書 23) [a]
松井 計 / 扶桑社 / 2008-02-29

Bookcover 私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫) [a]
島村 英紀 / 講談社 / 2007-10-16

Bookcover 堂々たる政治 (新潮新書) [a]
与謝野 馨 / 新潮社 / 2008-04

Bookcover 漫画家アシスタント物語 (SUN MAGAZINE MOOK) [a]
イエス 小池 / マガジン・マガジン / 2008-04

読了:04/20まで (NF)

2008年4月 6日 (日)

Bookcover 物語の役割 (ちくまプリマー新書) [a]
小川 洋子 / 筑摩書房 / 2007-02

Bookcover ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書) [a]
堤 未果 / 岩波書店 / 2008-01-22

Bookcover 「心」が支配される日 [a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2008-03
「心のノート」と河合隼雄についての章が面白かった。京都市教育委員会主催の講演会で,参加者の女子大生が講演に割り込んで質問したら,男たちに連れ出され,突然土下座され,びっくりしていると「大の男を土下座までさせたな」と責められ,怒号とともに軟禁され。。。という事件があったんだそうだ。いかにもありそうな話で,笑い事じゃないけど,つい笑ってしまった。

Bookcover 実は悲惨な公務員 (光文社新書) [a]
山本 直治 / 光文社 / 2008-03

Bookcover 問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書) [a]
春日 武彦 / 光文社 / 2008-02-15

Bookcover 外資のオキテ どこが違って、どこが同じか [a]
トム・マーカート / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2008-02-13
社会のルールに従えだの,強靱な意志を持てだの,解雇はすばやく行えだのと,さんざん労働者をこき使うようなことを書いておいて,最後に「オキテ58 仕事はすべてではないと思え」だってさ。ずいぶん虫のいい話だ。
著者は多国籍企業の元偉い人だそうだが,そんなに成功しておられるんならば,忙しいなかこんな本を書かなくてもいいんじゃないだろうか? ときどきふらふらとこういう本を買ってしまう。俺のような弱気な奴が,この手の商売のよい鴨なのだろう。

Bookcover 女という病 (新潮文庫) [a]
中村 うさぎ / 新潮社 / 2008-02-28

読了:04/06まで (NF)

2008年3月 9日 (日)

Bookcover 不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書) [a]
河合 太介,高橋 克徳,永田 稔,渡部 幹 / 講談社 / 2008-01-18

読了:03/09まで (NF)

2008年3月 2日 (日)

Bookcover 悪魔という救い (朝日新書 (098)) [a]
菊地 章太 / 朝日新聞社 / 2008-02-13
宗教史の先生による,カソリックでいう悪魔憑きについての読み物。悪魔払いの肯定的側面について思い入れが強すぎて,ちょっと引いてしまった。

読了:03/02まで (NF)

2008年2月26日 (火)

Bookcover 自分探しが止まらない (ソフトバンク新書) [a]
速水 健朗 / ソフトバンククリエイティブ / 2008-02-16
売れてるそうなので,一応目を通しておこうかと。

読了:02/26 (NF)

2008年2月24日 (日)

Bookcover エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ [a]
ジョン パーキンス / 東洋経済新報社 / 2007-12-14
70年代に民間のコンサルタントとして開発援助に関わっていたが,実は途上国を負債漬けにし巨大企業の食い物にするという米政府機関の密命を帯びていたのだ,という人の告白本。その真偽のほどはよくわからないんだけど,若き日にインドネシアに派遣され,ものすごく楽観的な経済予測を立てろという上からの圧力に迎合して出世する,なあんていうあたりは,いかにもありそうな話で面白かった。

読了:02/24まで (NF)

2008年2月17日 (日)

Bookcover フリーペーパーの衝撃 (集英社新書 424B) [a]
稲垣 太郎 / 集英社 / 2008-01-17

読了:02/17まで (NF)

2008年2月11日 (月)

Bookcover 情報戦争―9・11以降のアメリカにおけるプロパガンダ [a]
ナンシー スノー / 岩波書店 / 2004-11-02

読了:02/11まで (NF)

2008年2月 7日 (木)

Bookcover 暗流―米中日外交三国志 [a]
秋田 浩之 / 日本経済新聞出版社 / 2008-01
これからの日本が歩む方向として,(1)日米同盟の堅持・強化, (2)対米依存を減らし日中接近を目指す,(3)防衛力を増強して自力防衛を目指す,(4)非武装中立を目指す,の4つ(ないし,その組み合わせ)が考えられる。しかしそのどれを選ぶかを好きに決められるわけではなく,大国の動向にあわせ,やむを得ずどれかに適応せざるを得ないのだ,とのことであった。シビアだなー。

Bookcover 新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書) [a]
荒 岱介 / 幻冬舎 / 2008-01
著者はブント系の新左翼セクトのリーダーだった人で,いまは環境活動家である由。なんというか,昔話にもヒトゴト感があふれていて拍子抜けだったが,当事者というのは案外そういうものかもしれない。

読了:02/07まで (NF)

2008年2月 3日 (日)

Bookcover 中野本町の家 (住まい学大系) [a]
後藤 暢子,後藤 文子,後藤 幸子 / 住まいの図書館出版局 / 1998-01
数年前に現代建築の写真集で,気鋭の建築家の代表作と目されているという有名な住宅の写真を見て,こりゃあさぞや住みにくかろう,と吹きだしてしまった。それはU字型の開口部を直線で閉じたような形をした平屋で(つまり中庭はコンクリの壁で完全に囲われてしまっている),建物の内部は白い曲面の壁に包まれた幻想的なチューブ状で,窓などというものはなく,床からぼっかりとフットライトが突き出ている,という。。。こんな美術館の渡り廊下みたいな家で暮らしてやろうというのは,いったいどういう奇特な人だろうか,と不思議に思った。きっと週に一回くらいは,照明器具に足の小指をぶつけて泣く羽目になるにちがいない。
 そのU字型の住宅の施主にインタビューした本があるというので,ずっと気にかかっていた。このたび区立図書館で取り寄せてもらった。一日で読了し,あまりに面白いのでさらに読み返した。これが絶版なんて,もったいない。
 施主である音楽学者の女性は,旦那さんに先立たれ,残された二人の娘と共に暮らすための家を建てるべく弟に設計を依頼するのだが,幸か不幸かその弟が新進気鋭の建築家(つまり伊東豊雄)であったばかりに,その姉の心の有り様を掬い取ったとてつもない家が建ってしまうわけである。その家で育ち,いまは家を出て暮らしている長女がインタビューに答え,家に対する愛憎半ばする感情を,あの家は墓のようだと形容するくだりがあって,衝撃的である。
 いろいろなことを考えさせられる,とても面白い本だったけれど,俺の頭が悪いせいか,ついついシニカルに捉えてしまう。母と二人の娘が,家が自分に与えた影響について真剣に言葉を選びながら語るのだが(そのへんの世間話とはレベルが異なる。なにしろ三人ともものすごいインテリなのである),思うに,いったんある環境で育ってしまったが最後,もし違う環境が与えられていたら私はどうなっていただろうか。。。という問いには,実証的な意味がほとんどなくなってしまう。あんな家で成長するということは,確かに人格形成に大きな影響を与えるのかもしれないし,案外そうでもないのかもしれない。どう思うかは本人の自己概念しだいであって,だからこの本を読んで「ああ住宅というものは人に大きな影響を与えるものだなあ」と考える人がいるとしたら,いやそれはちょっとちがうだろう,と思う。あとになって振り返るんだったら,なんとでもいえますって。
 家を設計するということが,なにかすごく高邁で精神的な営みであるような話になってきちゃうのも,ちょっとついていけない。昔D.ノーマンのデザイン論の本を読んでいて,いや先生なにもデザインの良し悪しは使いやすさだけで決まるものではないでしょう,そもそも人工物に使いやすさという性質があらかじめ備わっているわけではないでしょう,これでは心理学帝国主義じゃないですか,と反発した覚えがある。いっぽう建築家の難しい話を読んでいると,いや先生それはそれとして使いやすさも大事でしょう,誰がどうみたって使いにくい建物ってのはありうるし,そんなの平気でたてちゃうのは建築家のわがままでしょう,とちょうど逆向きの感想を持ってしまう。「中野本町の家」を取り壊すに至る経緯はいろいろあっただろうけど,要するにものすごーく住みにくかったんとちがいますか,と。
 別の種類の疑問もある。建築に関心のあるひとは,きっとあの建築の意味,この建築の意味について考えるのだろうけれども,俺はたいして関心がないもので,有名な建築家が設計した家と,俺が育ち暮らし一生を終えるであろう無味乾燥なアパートとの違いに気をとられてしまう。要するに,そんなの金持ちの道楽とちがうんか,と。

読了:02/03まで (NF)

2008年1月29日 (火)

Bookcover 真相―イラク報道とBBC [a]
グレッグ ダイク / 日本放送出版協会 / 2006-06
イラク戦争の時にブレア政権の圧力で辞職したBBC会長の手記。買ったまま積んであったのをこのたび発見。辞職に至るまでの内幕を暴露した本だと思っていたのだが(だってそういう邦題だし),それは全体の1/4くらいで,むしろ異色の放送人の自伝とでも呼ぶべき本であった。自伝であるからして,おおよその内容は自画自賛なのだが,シニカルなユーモアのおかげで面白く読み終えた。著者はもう大変な自信家で,嫌いな人をこき下ろしはじめたら容赦がない。きっと味方も敵も大変多い人にちがいない。こんな人がよくBBCの会長なんかになったねえ。
 日本の事情と比較しても仕方がないんだけど,無理矢理あてはめるならば,元敏腕プロデューサーが経営側に転身,民放の社長を経てNHK会長となるが,報道の独立性をめぐる政府・自民党との争いに敗れて辞職,しかしその日は全国のNHK職員が放送局の前で反対デモをやった,というような話である。すごいなあ。

読了:01/29 (NF)

2008年1月27日 (日)

Bookcover AV産業―一兆円市場のメカニズム [a]
いのうえ せつこ / 新評論 / 2002-09
出版時に買って(ということは5年前か),途中まで読んで放置してあった。整理がつかないので無理矢理読了。
市民運動出身のフリーライターが,アダルトビデオ産業について書いた本。取材も議論も一人称に留まり,中途半端な印象を受けた。周囲の人100人(!)にアンケートを配り,自由記述欄への回答を延々と紹介するところなど,ちょっといかがなものかと思う。事実と思いこみが混在しがちなあたり,なんだか朝日新聞の投書欄の長ーい奴を呼んでいるような気分であった。しかしまあ,きっとこのテーマを正面から扱うこと自体が貴重なのであろう。

読了:01/27まで (NF)

2008年1月22日 (火)

Bookcover 社会学への招待 [a]
ピーター・L. バーガー / 新思索社 / 2007-11
ここ数ヶ月,ずっと持ち歩いていた本。著者は俺でさえ名前を知っているくらいだから,非常に有名な社会学者だと思う。
 題名に反して,これは社会学入門というよりも,「私が思うに社会学とはこのような学問だ(そうあるべきだ)」という本であった。説明のために引き合いに出されるちょっとした事例や,本筋とはあまり関係のない余談が分量の大半を占めているので,内容は決して厚くない。ところが,その事例や余談があまりに面白く,話の本筋を見失ってしまいそうになる。この大先生ときたら,大変な皮肉屋で,極論が大好きで,かなりヒトが悪いのである。
 しかし,その皮肉と極論の背後には,ほとんどナイーブとさえいえるほどの,学問への深い信頼があるように思う。この先生実はショッテルナア,と可笑しく思いながらも,ちょっぴり胸打たれてしまった箇所がいくつかあった。もっともこういう感想は,俺が幸いにして社会学とはあまり縁がないからであって,職業としての社会学に従事している人からみたら,この本はあまりにシニカルに過ぎ,あまりに高い理想を掲げすぎる,敬して遠ざけたいタイプの名著なのかもしれない。
 通勤電車で細切れに開いているので,落ち着いて読めなかったのが残念だ。ストレス溜まるなあ。
 
Bookcover 反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D) [a]
伊藤 千尋 / 集英社 / 2007-12-14
全国紙の偉い人による,アメリカ帝国主義はこんなにもひどいことをしてきた,中南米の人々はいまや立ち上がったぞ,云々という本。門外漢の俺が偉そうなことを書くのもおかしいんだけど,どうも浅薄な感じがする内容であった。
 「キューバについて一般のアメリカ人や日本人が知っている情報の大半が,アメリカのホワイトハウス発表や,アメリカのテレビの偏った報道による悪意に満ちたものだ。キューバを訪れた日本人の多くは,これまで聞いていた情報と,自分の目で見た現実の違いの大きさに驚いている」なあんてね。キューバに行ったことがないのでわからないのだが,「日本人の多く」って誰だ。こういう文章を見ると,かつての「北ベトナムの人々は貧しいけれど,子どもたちの瞳は輝いていた」式の報道を思い出してしまう。オピニオン色の強い文章というのも,それはそれでなかなか難しいものらしい。

Bookcover アイデアのつくり方 [a]
ジェームス W.ヤング / CCCメディアハウス / 1988-04-08
大昔の広告マンによる,とても短い,ひどく有名な本。幅広い情報収集が大事だとか,incubationが大事だとか。ふうん。。。読んでも特に人生が変わったような気がしないのは,この本の現代風の焼き直しがすでに巷にあふれているからだろうか,それとも俺の心が汚れているからか。

Bookcover 合理的とはどういうことか (講談社選書メチエ) [a]
岡部 勉 / 講談社 / 2007-05-11
残念ながら,この本は内容がさっぱり頭に入らなかった。文章そのものは平易なのだが,なぜこんな問題について考えなければならないのかがわからない,というか,話の枠組みにうまく入っていけない,というか。。。あっちこっちに登場する進化論的な説明も,あまりに思弁的に感じられて,ちょっとついていけない。残念だが,今回は縁がなかったと思ってあきらめよう。

読了:01/22まで (NF)

2008年1月20日 (日)

Bookcover 通貨燃ゆ―円・元・ドル・ユーロの同時代史 [a]
谷口 智彦 / 日本経済新聞社 / 2005-03

読了:01/20まで (NF)

2008年1月13日 (日)

Bookcover 新宗教―その行動と思想 (岩波現代文庫) [a]
村上 重良 / 岩波書店 / 2007-02-16
80年に評論社から出た本の文庫化。新宗教を(1)幕末・維新期(如来教,天理教,黒住教etc.), (2)近代神道系(大本教,PL, 生長の家etc.),(3)近代法華系(霊友会,創価学会etc.)に整理し,おもな教団について解説している本であった。
ずいぶん昔の本だから,新しい話題は載っていない(創価学会でいえば,創共協定は載っているが,宗門からの破門まではもちろんカヴァーされていない)。それはともかく,時折あらわれる分析的記述にも,なんだかそこはかとなく戦後な香りが漂っている。市民社会と折り合う普遍的な教団は善,そうでないのは保守反動,というあたりとか。巻末の解説(島薗進)によれば,執筆当時の著者はマルクス主義の影響下にあったのだそうだ。ふうん。

Bookcover 自治体格差が国を滅ぼす (集英社新書) [a]
田村 秀 / 集英社 / 2007-12-14
自治官僚出身の人が書いた本。いまいちコンセプトがはっきりしない内容であった。

読了:01/13まで (NF)

2008年1月 8日 (火)

Bookcover 北朝鮮は、いま (岩波新書) [a]
/ 岩波書店 / 2007-12-20

Bookcover 私はこうして受付からCEOになった [a]
カーリー・フィオリーナ / ダイヤモンド社 / 2007-11-30
夕飯食べつつ一気読み。実にインパクトのある邦題だが,実際には平凡なOLとはほど遠い(スタンフォード大卒,UCLAロースクールを中退,数年後に名門ビジネススクールに入り直すが,その間ちょっと受付やってました,という話)。やるなあダイヤモンド社。
 前半はもちろん成功譚であるからして,過去の経験をすべて肯定する自己充足ぶりにうんざりさせられたが,HPのCEOになってからの泥沼の苦労話は面白い。無能な人をばっさりと切り捨てるあたり,さぞや周囲から怖れられていただろうなあと思わされる。うかつにこういうことを書くと,女性への偏見ではないかと痛くもない腹を探られるかもしれないが(ちがいます),もしフィオリーナさんが同僚だったら,俺はもうびびって近寄らない。自伝読んでるくらいがちょうどいいや。
 解任される際にせしめたといわれる二十数億円の退職金については,特に言及がなかった。そういうものか。

どうにもうまくいかないことばかりなので,なにも考えないことにして無理矢理ページをめくった。こういうとき,普通の大人はどうするんだろうか。ジムで汗を流すとか? パチンコとか? 旅行とか? 残念,スポーツにもギャンブルにもとんと縁がないし,外出は近所の公園で十分だ。最近つくづく思うのだけれど,我ながら実につまらない男だ。足りないのは能力と精神力だけではない,どうやら魅力にも欠けているのさ。

読了:01/08まで (NF)

2007年12月22日 (土)

Bookcover 篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1) [a]
竹熊 健太郎 / 河出書房新社 / 2007-12-04
「クイック・ジャパン」誌でのロング・インタビューをまとめたもの。

Bookcover ケネディ―「神話」と実像 (中公新書) [a]
土田 宏 / 中央公論新社 / 2007-11
J.F.ケネディの大統領就任演説は歴史的名演説として有名だが(「国が諸君のために何をしてくれるのかを問うのではなく...」という奴),ケネディはその一ヶ月前からスピーチライターに指示を出し,原稿を繰り返し推敲し何度も音読し,就任式の朝も風呂の中で大声で練習していたそうだ。なるほど,そういうものか。

読了:12/22まで (NF)

2007年12月 9日 (日)

Bookcover ついていったら、だまされる (よりみちパン!セ 30) [a]
多田 文明 / 理論社 / 2007-11-22
この理論社「よりみちパンセ」シリーズは,いったい誰に読んでもらおうと思って作っているのだろうか。俺が中学生なら,書き手が読み手に「きみたち」と呼びかけるような本は,きっと鳥肌ものだったと思うのだが。これでいいのかしらん? まあ,その道のプロである理論社の編集者が作っているんだから,きっとこれでいいんだろうけどさ。

読了:12/09まで (NF)

2007年12月 5日 (水)

Bookcover 啓蒙主義 (ヨーロッパ史入門) [a]
ロイ ポーター / 岩波書店 / 2004-12-21
薄い本なのに,時間がかかってしまった。歴史音痴の俺にも面白い本であった。印象に残った箇所をいくつか抜き書き(長くなりそうだ...):
「啓蒙の改革がいつも計画通りいったとは限らない。同じように,本当の意味での改良の功労者がいつも啓蒙主義の人々であったとは限らない。奴隷制度の場合がそうだ。植民地のプランテーションにおいて展開する奴隷制度を,すべてのフィロゾーフ[啓蒙主義者のこと]が嘆き悲しんだ。[...]ところが,大英帝国においてまず奴隷貿易,ついて奴隷制度そのものの廃止まで達成する運動を指導したのは,英国国教会の福音派とクウェーカー教徒だった。トマス・ジェファソンは啓蒙主義の申し子であり,人権の提唱者であり,アメリカ第三代の大統領にもなるが,生涯,奴隷所有者だった。いつの場合も,原則と実践,心構えと行動との間の関係は入り組んでいる」
「理念が社会よりも先を走るということはけっしてない。[...]社会のダイナミズムや,人口の増大や,生産活動などを分析する大胆で新しい啓蒙主義の人間科学は,19世紀になれば実証主義の『陰鬱な科学』と化し,統治する側が,資本主義的な生産関係はなぜ不易であり不可避であるのか,貧困は貧者自身の責任であるのはなぜかを説こうとするさいに,イデオロギー上の理想的な材料を提供することになる。コンディヤックやエルヴェシウスの挑戦的な心理学は,人間とは可能性を孕む存在だとするものだった。それが,学校であれば児童,職場であれば成人の間で従順さや規律を確保することに易々と利用されることになる。現在から自由である『人間機械』というヴィジョンも,かつては刺激的なものだった。それが,機械の時代における工場の現場での陰鬱な現実となり,のちには行動主義心理学の条件づけにもなる」
「たしかに啓蒙主義は人間を過去から解放することには貢献した。とはいえ,あらたに束縛の条件が作られるのを予防するまでにはいたらなかったのである。現代の都市化された工業社会が直面する諸問題。啓蒙主義はまさしくその産婆だったのであり,[ ...それを解決しようと努力している] 私たちは,フィロゾーフが創造した社会分析の技術,ヒューマニズム的な価値観,科学の専門知識にかなりの程度まで依存している。このように,今日もなお私たちは啓蒙主義の申し子なのである」

読了:12/05まで (F)

2007年12月 2日 (日)

Bookcover トヨタ 世界一の光と影 [a]
岡 清彦 / いそっぷ社 / 2007-12
著者は赤旗の記者。よく調べている。
 先日読んだ本と同様,内容の半分が正社員の過労死の話で,こういうところでも期間工は顧みられないのかと不満なのだが,これは要するに,読み手のニーズの問題なのかもしれない。

Bookcover アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所 [a]
渡辺 靖 / 新潮社 / 2007-11
アメリカ専門の文化人類学者が,9つのコミュニティを短期訪問して紹介した本。ディズニーがつくった町,刑務所の町,LAのゲーテッド・コミュニティ,ボストンのダウンタウン,などなど。これはとても面白い本だった。
 「現代のアメリカにおける個人主義について考えるとき[...]民主主義と平等化の帰結というよりは,むしろ,社会統合の困難さの帰結としての側面がより強いように思える。トクヴィルは自発的結社を「公」と「私」を仲介(ないし緩衝)する中間組織と位置づけた。自発的結社のそうした機能については私も認めるが,今日の自発的結社には,個人の孤立ないし浮遊への反動としての側面がますます看過できなくなっている印象をうける。」 なるほど。日本で地域再生が唱えられるときも,この二つの側面があるのかもね。

 日曜日の昼下がり,ぼんやりとアクセスログの集計を眺めていて気が付いたのだが(暗い人生だなあ),(1)出版社が自社出版物の書名を検索ワードにしてこのブログにたどり着いているケースが,最近かなり増えている。新刊の評判を調べているのであろう。大変だなあ。(2)同業他社様からのアクセスがなぜか急増している。。。なにか目立つことでもしたかしらん。すみませんすみません,隅のほうで大人しくしてますんで,どうか見逃して下さい。

読了:12/02まで (NF)

2007年11月23日 (金)

Bookcover NHK未来への提言 ロメオ・ダレール―戦禍なき時代を築く [a]
ロメオ ダレール,伊勢崎 賢治 / 日本放送出版協会 / 2007-09
R.ダレールさんとは,ルワンダ虐殺の時に国連PKO司令官だった人(映画「ホテル・ルワンダ」におけるニック・ノルティですね)。カナダに帰国後PTSDで大変な目にあったというところまでは聞いたことがあったのだが,その後回想録が大ベストセラーとなり,いま国会議員である由。
 インタビューを読んでいると,日本でもカナダでも似たようなものね,と苦笑する部分と(アメリカの悪口が一種の気晴らしになっている,とか),ずいぶんレベルがちがうなあ,と思わされる部分とがある。まあ,俺がいくら政治を憂いてもしょうがないんだけどさ。

Bookcover 増補 敗北の二十世紀 (ちくま学芸文庫) [a]
市村 弘正 / 筑摩書房 / 2007-11

Bookcover 勝手に絶望する若者たち (幻冬舎新書) [a]
荒井 千暁 / 幻冬舎 / 2007-09
今年一月の朝日新聞の連載記事の紹介に10頁(著者は記者でもなんでもない。ただ,こんな面白い記事がありました,という主旨である)。記事に対するネットや知り合いの反応で4頁。東洋経済に載ったとあるコンサルタントへのインタビューの紹介が8頁,それを読んだ自分の感想で6頁,という案配である。これを水増しと呼ばずしてなんと呼ぶか? まあいいや,ことによるとなにか独創的な提言があるのかもしれないし,と我慢して読み進めたのだが,もちろんそんなことがあるわけもない。若い人はやりたいことにこだわらず社会における自分の居場所を探せ,社内でフリートークができる会社を目指せ,だってさ。
 こんな世間話で本を一冊出してしまう著者様の偉大さに敬服すべきであろう。消費者としては買う本を選んで自衛するしかない。反省。

読了:11/23まで (NF)

2007年11月18日 (日)

Bookcover エンドレス・ワーカーズ―働きすぎ日本人の実像 [a]
小倉 一哉 / 日本経済新聞出版社 / 2007-11
著者は昔の労働研究機構(いまの名前なんだっけ)の人。労働時間に関する大規模調査を紹介した本。
誠実な良い本だったけど,そこはちょっと表を読み込みすぎじゃないか,と思うところもあって。。。定量調査の結果に基づく実質科学的推論というのは,どのへんまで許されるものなのだろうか。難しいなあ。
文中にヘックマンの二段階推定というのが出てきて,恥ずかしながら初耳だったのだが,google様によれば要するに打ち切りデータの分析方法で,計量経済学の分野で有名らしい。勉強しておこう。

Bookcover うつ病―まだ語られていない真実 (ちくま新書) [a]
岩波 明 / 筑摩書房 / 2007-11
うつ病が「心のかぜ」だなどというのは世迷い事である由。うつについての専門家のうち,心理学科の教員は要注意である由(医者であっても臨床から遠ざかっているから)。そういうもんですか。

Bookcover インドの衝撃 [a]
NHKスペシャル取材班 / 文藝春秋 / 2007-10

Bookcover この国の品質 [a]
佐野眞一 / ビジネス社 / 2007-10-31
最近の講演やエッセイをまとめたもの。

読了:11/18まで (NF)

2007年11月15日 (木)

Bookcover ゆうちょ銀行 [a]
有田 哲文/畑中 徹 / 東洋経済新報社 / 2007-09-07

Bookcover 「計画力」を強くする―あなたの計画はなぜ挫折するか (ブルーバックス) [a]
加藤 昭吉 / 講談社 / 2007-05-18
残念,これは俺にとっては得るところなかった。
 たとえば風呂を沸かして,良い案配の湯加減だと思って足を突っ込んだら底の方が水だったとき,俺が最初に考えるのは,ああこんなことだから人生に失敗したのかなあ,ということである。一日に十回はそういうことを考える。これはべつに俺が悲観的な思考回路を持っているからではなく,客観的にみて明確に,疑いようもなく人生をしくじっているからであって,だから自己評価を下げる材料は事欠かないのである。そんな次第で,こういう本を読んで計画を成功に導くそれ以前の問題として,そもそも俺はもう計画を立てることができない。なにを考えてもそれは実現できないような気がするし,実際にも決して実現できないに違いない。どうしたもんですかね。

Bookcover トヨタの闇 [a]
渡邉 正裕,林 克明 / ビジネス社 / 2007-11-07
他業種に比べて低めだと紹介されている正社員の年収が,しかし俺にとっては目もくらむような高給である。実名で書いているブログにこういうことを書くのは勇気が要るけれど,本当に深刻な問題は失業と非正規雇用であって,終身雇用の慣行に守られた大企業の正社員が,過労死しようが自殺しようが。。。ご家族に同情はするけれども,連帯は期待しないでほしい。

読了:11/15まで (NF)

2007年11月11日 (日)

Bookcover E.L.カニグズバーグ (現代英米児童文学評伝叢書) [a]
横田 順子 / KTC中央出版 / 2006-10
児童文学作家カニグズバーグの評伝。評伝の「伝」のほうの内容は充実しているが,「評」のほうについていえば,実におっとりとした,どうでもいいような内容であった。国語科の教材研究みたいというか,なんというか。。。業界の人にとってはなにか意味があるのかもしれない。ついつい清水真砂子「子どもの本のまなざし」と比較してしまうのだが,あのような批評性を期待してはいけないのだろう。

Bookcover 組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書) [a]
畑村 洋太郎 / 講談社 / 2006-12-19
高名な研究者だけあって,面白い本だったんだけど,ではどこが面白かったかというと,これが難しい。たとえば,技術を伝えるためのポイントとして挙げられているのは,実体験させること,はじめに全体像をみせること,相手のレベルにあわせること,などなのだけれど,さてこのように項目にまとめてしまうと,どれも皆当たり前の事柄に思えてしまう。なぜだろう? 「神は細部に宿る」からだろうか,それとも単に事例が面白いだけで,実はごく平凡な内容の本だからなのだろうか?
 むしろこういう本を読むときは,要点を掴もうと思ってはダメで,読みながらあれこれ細かい教訓を学ぶべきなのかもしれない。そういう観点からみて面白かった部分を抜き書きしてみると:
- 作業指示書の裏に,もしその正しいやり方に従わないとどういう目にあうかを書いておくとよい
- 失敗事例を伝えるときには,原因と結果を述べるだけでは駄目だ。そのときに何が原因だと思ったか,どんな対処をしたか,総括と教訓,そして後日談や四方山話が大事である
- 図面はいわば表の知識だが,その裏にある暗黙知を伝達するために,設計過程を裏図面として残しておくと良い
- 世の中には別に伝達しなくてもよい,消えちゃった方がいい技術もたくさんある (はははは)

読了:11/11まで (NF)

2007年11月 8日 (木)

Bookcover 神社の見方―歴史がわかる、腑に落ちる (ポケットサライ) [a]
/ 小学館 / 2002-07
現実逃避の一環として,なんとなく手に取った。団塊向け雑誌「サライ」のムックを買ってるようじゃ,俺も終わってるなあ。
 鳥居は大きく神明鳥居と明神鳥居に分類され,さらに細かく分けていくと何十種類にもなるんだそうだ。ご丁寧に分類木まで載っている。では,鳥居のちがいは神社とどのような関係があるのか,社格なり神様なりと関連しているのかと思ったら,別に関係ない,単に寄進者や職人の趣味の問題なんだそうだ。うーん,おおらかにも程があるぞ。

Bookcover 赤い春 私はパレスチナ・コマンドだった [a]
和光 晴生 / 集英社インターナショナル / 2007-10-26
著者は日本赤軍のメンバーで,クアラルンプールの大使館占拠の実行犯(日本の服役囚を「超法規的措置」で解放する羽目になった,あの有名な事件ですね)。そういえば,重信房子が大阪で捕まった前後に,この人が強制送還されてきたというニュースを目にした覚えがある。いま東京拘置所にいるんだそうだ。
 本の内容は日本赤軍の話ではなく,その後パレスチナ解放人民戦線に移ってレバノンで兵士として過ごした日々の回想。もちろん生死を賭けた毎日ではあるのだが,案外どこにでもありそうな話題も多く,なんというか,読んでいて奇妙な気分であった。ゲリラ戦の研修のため海外出張させてもらえるエリートコマンドと叩き上げコマンドの反目とか。いずこも同じですね。

Bookcover 日本の怨霊 [a]
大森 亮尚 / 平凡社 / 2007-09
古代史上の有名な怨霊として,井上内親王と早良親王という人がいるんだそうで,この二人を中心に日本の怨霊のありかたについて考察する,という内容の本であった。なんでこんな本を読んでんだ俺,と思わないでもないが,本屋で手にとって,ひょっとするとこれは面白いかも,と虫が知らせたのである。
 著者は民俗学者で,内容は学者らしくきちんとしているんだけど,書き方がどこか人を食っていて,妙におかしい。突然小説風になったり,むやみな推測を拡げてみたり,「怨霊ツアー」と称して史跡巡りをはじめたりするのである。

Bookcover バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書) [a]
郷 富佐子 / 岩波書店 / 2007-10-19
別にニュース中毒というわけではないけれど,この記者のクレジットがはいっていたら必ずチェックする,という人が二人いて,ひとりはアメリカ公共ラジオのSylvia Poggioliという人,もうひとりは朝日新聞の郷富佐子という人である。この郷さんという人が書いた本なので迷わず手に取ったのだが,略歴をみるとまだ若い人なのであった(1966年生まれ)。高校からイタリアに留学していた由。
 あいにく俺は世間が狭いもので,カトリックの世界の事情について聞かされても,いまいち実感できないのだけれど。。。面白い内容ではあった。

読了:11/08まで (NF)

2007年10月28日 (日)

Bookcover 高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) [a]
水月 昭道 / 光文社 / 2007-10-16
俺はいわば当事者なので,この問題について冷静に考えることができない。正直なところ,もうどうでもいいや。自分のことで手一杯だ。
 ともあれ,佐藤達哉さんが出てきたのにはびっくり。すごいなあ,どこで名前に出くわすかわからない。
Bookcover 自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫) [a]
阿部 謹也 / 筑摩書房 / 2007-09-10

読了:10/28まで (NF)

2007年10月21日 (日)

Bookcover ニュース・ジャンキー--コカイン中毒よりもっとひどいスクープ中毒 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ) [a]
ジェイソン・レオポルド / 亜紀書房 / 2007-09-02
マスメディアの内部告発本かと思ったら,毀誉褒貶半ばする有名記者の自叙伝であった。大学中退でヤク中で前科持ちであることを隠したまま,ダウ・ジョーンズのロサンゼルス支局長にまでなったのだそうだ。
 面白い本ではあるけれど。。。真摯な告白の最中にさえついつい話を面白くしてしまうタイプの人がいるものだが,この著者はそういう人なんじゃないかと思う。
 本筋とは関係ないが,なにより驚いたのは,かの有名な馬鹿映画「アタック・オブ・ザ・キラートマト」の脚本家が登場するくだり。彼はカリフォルニアの上院議員になっていて,エンロン事件で重要な役回りを演じるのである。ええええ,嘘だああ。

 「アタック・オブ・ザ・キラートマト」は寒い寒いギャグが詰まったどうしようもない駄作で,しかも「駄作を狙って作っています」というクササがまた正視に耐えないのだが,困ったもので,たった一度しか観ていないのにふと思いだしてしまうことがある。こないだ会社で,数人でどやどやと会議スペースに入ったとき,ふいにこの映画の会議室のギャグ(将軍たちが会議室に集まるが,部屋にくらべて机が大きすぎるせいで身動きがとれなくなる)を思いだして一人で笑い転げてしまい,理由を説明するのに苦労した。

読了:10/21まで (NF)

2007年10月17日 (水)

Bookcover ザ・コンサルティングファーム―企業との危険な関係 [a]
ジェームズ オシーア,チャールズ・マーティン マディガン / 日経BP社 / 1999-12
コンサル企業についてのノンフィクション。俺の人生とはあまり縁のない話だが,勉強になった。業界トップの某社は,世界中の優秀な学生を片っ端から攫う→クライアントに新人をどっさり送り込み,ばんばんチャージして儲ける→数年でやめさせる→でも若者たちも勉強にはなるし,今後も人脈が大事だから文句は言わない。という仕組みを確立しているそうである。なるほど,なぜあんなに若い社員が多いのか,やっとわかった。

Bookcover 被差別部落の青春 (講談社文庫) [a]
角岡 伸彦 / 講談社 / 2003-07-15
被差別部落出身で地元の保母さんになった女性の話が大変面白かった。部落のおばちゃんは子どもへの怒り方が頭ごなしだ,あれは良くない,というのである。子育てにおける制限コードの優越が,子どもの社会適応を妨げている,という話だろうか。言語使用のスタイルをどうにかしようというんだから,先の見えない戦いだなあ。

読了:10/17まで (NF)

2007年10月14日 (日)

Bookcover 捨てられるホワイトカラー―格差社会アメリカで仕事を探すということ [a]
バーバラ エーレンライク / 東洋経済新報社 / 2007-09
他の読みかけの本を中断して,昼休みと帰りの電車で一気読み。
 ホワイトカラー求職者に扮した職探し体験記。しかし予想に反し,職探しそのものというよりも職探しビジネス探険記と呼ぶべき内容であった。なにしろ,結局どこにも就職できずに終わってしまうのである。
 ジョブ・コンサルタントの質がさまざまだったり,下らない性格検査漬けに音を上げたり,無闇なポジティブ・シンキングにうんざりしたり,セミナーが宗教活動そのものだったり,どれもごく身近な話ばかりで,一頁ごとに身につまされる思いであった。
 前作「ニッケル・アンド・ダイムド」はブルーカラーに扮して職探しするという体験取材で,貴重な証言だとは思ったけれど,これがお国のベストセラーか,ふうん,という印象だった。要するに,なんだか他人事に感じられたのである。今度は印象が全然違う。一体なぜだろう? ひとつには,俺がたまたま外資系企業に勤めるホワイトカラーだからなのだろうけれど,それだけでは説明がつかないように思う。仮に日本のブルーカラー非正規雇用の労働者が「ニッケル・アンド・ダイムド」を読んでも,社会的状況が違いすぎて,ここまで共感はできないのではないだろうか。労働や雇用を巡る諸条件は,ホワイトカラーから先にグローバル化が進む,ということかしらん。
 些末な感想だけれども,こういう内容を扱うときこそユーモアが大事だなあ,と痛感した。著者は一念発起して,自分が契約したジョブ・カウンセラーに「私を雇いなさい」と猛烈な売り込みを掛ける(人が悪い。。。)。するとカウンセラーが逆に弱音を吐き始め,すっかり立場が逆転してしまう。噴き出さずにはいられない名シーンである。
 
 「中流という階級」がよく引用されるせいで,著者のエーレンライクは社会学者だと思っていたのだが,どうやらジャーナリズムが本拠地でアカデミズムにも出張,というような立場の人らしい。日本でいうと誰にあたるのかなあ。

読了:10/14まで (NF)

2007年10月 5日 (金)

Bookcover 国のない男 [a]
カート ヴォネガット / 日本放送出版協会 / 2007-07-25

Bookcover 「負け組」の戦国史 (平凡社新書) [a]
鈴木 眞哉 / 平凡社 / 2007-09

読了:10/05まで (NF)

2007年9月12日 (水)

Bookcover ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書) [a]
樫村 愛子 / 光文社 / 2007-08
精神分析的社会学者の本。独特の言い回しに疲れた。

Bookcover 官邸崩壊 安倍政権迷走の一年 [a]
上杉 隆 / 新潮社 / 2007-08-23
安倍首相とその側近たちが,いかに愚かな失敗を繰り返しているか,という内容。参院選にぼろ負けしたのを確かめた上で出た本だから,水に落ちた犬を叩いているような面もあるんだけど,たしかに教育再生会議をめぐるドタバタは,素人目にもあんまりな笑劇だった。頭の良い人を集めても,なかなかうまくいかないものですね。
昨日の帰りの電車で読んだら,本日首相が辞任表明してしまった。。。

Bookcover 「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55 [a]
古市 幸雄 / マガジンハウス / 2007-06-21
本屋であれこれ反省したり後悔したりするものだから,ときどき血迷ってこういう本を買ってしまうのである。よいカモだ。

読了:09/12まで (NF)

2007年8月30日 (木)

Bookcover 流通王・中内功とは何者だったのか [a]
大塚 英樹 / 講談社 / 2007-08-24
中内さんの最晩年は,銀行に身ぐるみ剥がれて困窮していたのだそうだ。うーん。革命家の最後としては,いっそふさわしい姿だったかも知れないけれど。
Bookcover イノベーション 悪意なき嘘 (双書 時代のカルテ) [a]
名和 小太郎 / 岩波書店 / 2007-01-11
エライ人に特有の,面白いけど取り留めのないエッセイであった。
Bookcover 日本孤立 [a]
船橋 洋一 / 岩波書店 / 2007-07-20
週刊朝日の連載をまとめたもの。読んでいるとだんだん,ああどうでもいい話だなあ,と馬鹿馬鹿しくなってくる。日本人はこれからかくあるべしかくあるべしと説かれても,それは日本の看板を背負って国際的に活躍している人の話で,俺の日々の生活とは関係ない。その意味では,「トンネル工学のこれから」「盆栽産業の最前線」といった本を読んでいるのと大差ない。
Bookcover 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) [a]
米原 万里 / 角川学芸出版 / 2004-06-25
ずいぶん評判になった本。なるほど,声価を高める要素が詰まっている。友人一家の遍歴が父の人生への思いと重なるあたり,年配の方にはたまらないだろう。
Bookcover 音の影 (文春文庫) [a]
岩城 宏之 / 文藝春秋 / 2007-08

読了:08/30まで (NF)

2007年8月18日 (土)

Bookcover 日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書) [a]
飯尾 潤 / 中央公論新社 / 2007-07
やたらに堅い題名だが,戦後の行政と議会について比較政治学の観点から解説した本。
Bookcover ルポ 最底辺―不安定就労と野宿 (ちくま新書) [a]
生田 武志 / 筑摩書房 / 2007-08
著者は釜ヶ崎で支援運動をやっている人。関係者にとってはありふれた話でも,俺のような門外漢にとっては,いちいち驚きの連続である。結核感染率が1割だとか,生活保護を申請させ上前をはねるビジネスがあるとか。 
 新宿駅から都庁に通じる地下通路の,奇妙なかたちをしたホームレス除けオブジェをみるたびに,大した文明国に暮らしているものだなあと悲しくなるのだが,といって10年くらい前の強制排除のときに反対運動をしたわけでもなし,支援団体に寄付するわけでもなし。どうしたものだろうか。

読了:08/18まで (NF)

2007年8月12日 (日)

Bookcoverウォルマートに呑みこまれる世界[a]
チャールズ・フィッシュマン / ダイヤモンド社 / 2007-08
原題は"Wallmart Effect". ウォルマート批判のための本ではなく,ウォルマートが世界にどのような影響を及ぼしているか,その光と影を描いたノンフィクション作品。これは良い本であった。
 ウォルマートは邪悪な組織というわけではなく,ある意味で正直な企業文化を持っている。ある町にウォルマートが参入し,他の小売業者をことごとく潰して独占状態に入ったとしても,そこで価格を吊り上げたりするわけではない。ウォルマートは自社の価値観(EDLP)を徹底しつづけているだけだ。問題はこの企業があまりに巨大化してしまい,その影響力を誰もコントロールできなくなってしまっているという点にあるのだ。云々。なるほどなあ。
 ウォルマートに関する経済学的研究について紹介するくだり(6章),レベルを下げることなくかみ砕いていて,なかなかこうは書けないものだ,と感心した。2006年にMarketing Scienceに載った論文は,競合小売業者のID-POSデータを分析し,ウォルマートの参入によって売上高が減少するのは客数の減少によること,鞍替えする客は一度にたくさん買い物する人であること(逆に生鮮を良く買う客は鞍替えしにくい),自宅から店までの距離は無関係であること,などを明らかにしているそうである。うわあ,面白い。。。いつかPOSデータの分析をやってみたいものだ。

 前からずっと不思議なんだけど,ウォルマートはなぜ日本で成功していないのだろうか。西友の組織改革が困難だからだろうか? 経営権を握ってからもう5年経っているのに。それともEDLPが日本人にあわないのだろうか? オーケーストアはEDLPで急成長しているのに。ほんとに不思議だ。

読了:08/12まで (NF)

2007年8月 9日 (木)

Bookcover 民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書) [a]
佐々木 毅 / 筑摩書房 / 2007-08

読了:08/09まで (NF)

2007年8月 2日 (木)

Bookcover 経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書) [a]
大竹 文雄 / 中央公論新社 / 2005-12
著者はただいま大活躍中の経済学者。格差社会をめぐる論争では,どっちかといえば政府寄りの,いわば悪役を引き受けている学者だと思う。
 この本はなんだか品のないタイトルなので,いまいち手が出なかったのだが(前著も読みかけだし),評判になっているようなので読んでみた。
 いやあ,これは面白い本だった。著者のいう「センス」とは,観察に基づく因果推論のことなのである。経済学の入門書としてどうなのかは判断できないが,これは調査データの解釈についての素晴らしい教科書だと思った。
 各章が短くてとっつきやすいし,親しみやすい事例が選び抜かれているし,人に勧めたくなるタイプの本である。なるほど,これは売れるわけだ。

読了:08/02まで (NF)

2007年7月29日 (日)

Bookcover 「非国民」のすすめ (ちくま文庫) [a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2007-07

Bookcover テレビニュースは終わらない (集英社新書) [a]
金平 茂紀 / 集英社 / 2007-07-22

Bookcover ロストジェネレーション―さまよう2000万人 [a]
朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班 / 朝日新聞社 / 2007-07-06

読了:07/29まで (NF)

2007年7月22日 (日)

Bookcover シャドーワーク―知識創造を促す組織戦略 [a]
一條 和生,徳岡 晃一郎 / 東洋経済新報社 / 2007-02
先週の通勤本。ここでいうシャドーワークとは,家事や子育てのことではなくて,従業員が自発的にやるインフォーマルな仕事のこと。面白い本だったが,事例が多いのでついつい納得してしまうところが,この種のビジネス啓蒙書の怖いところだ。よく考えると,どうもわからない点もある。
 大企業の社員を対象にした調査をやって,社内協働的なシャドーワークが多いか,社外とのパートナーシップに基づくシャドーワークが多いか,という2軸で4象限にわける。で,その企業の競争力とのクロス表をとると,競争力が高い企業ほど,4象限のうち2軸両方がプラスである「プロデューサー型社員」の割合が大きいという。
 なるほど,面白い調査だなあ,とは思うが,ではプロデューサー型社員の割合を高めれば企業の競争力が高くなるのかどうか,その辺に疑問を感じる。第一に,社員が異業種との接点を持とうにも,それなりの会社に勤めてないと相手にされないだろう。業界で地位を占めているとか,独自の資源を持っているとか,そういう看板があるからこそ,社外とのネットワークを築けるのだ。ということは,社外的シャドーワークは競争力の源泉ではなくて,その会社の競争力の高さの結果なんじゃなかろうか。
 第二に,そもそも業務内容からして社外と接点を持っても仕方ない,という場合があると思う。単純労働集約的な業務内容で,技術革新によるイノベーションが難しく,ただQCだけが求められている,とか。でもって,そういう業務を主としている会社の競争力は,数字上は低くなるんじゃないかしらん。
 とこうして書き出してみると,経営方面の知識の乏しさに我ながら呆れてしまうのだが,そこをあんまり卑下してもしょうがない。ともあれ,社内協働と個人的スキルアップとのバランスをどう保つかという問題は,俺のような木っ端サラリーマンにとってさえ,いささか切実なのである。

Bookcover 指揮のおけいこ (文春文庫) [a]
岩城 宏之 / 文藝春秋 / 2003-01

Bookcover 人材コンサルタントに騙されるな! (PHP新書) [a]
山本 直治 / PHP研究所 / 2007-07-14
著者は74年生まれで,人材コンサルタントに転職後,2年目でこの本を書いた由。いい度胸だ。。。まあ勉強になったからいいけどさ。

Bookcover 何も起こりはしなかった―劇の言葉、政治の言葉 (集英社新書) [a]
ハロルド ピンター / 集英社 / 2007-03

読了:07/23まで (NF)

2007年7月15日 (日)

Bookcover 仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~ [a]
大久保 幸夫 / 日経BP社 / 2004-05-20
本棚にあったので,ざっとめくった。成功をつかむには云々,なんていわれても,俺はキャリア形成に完全に失敗しちゃっているので,全然関心が持てないのである。なんでこんな本買ったんだ? きっとなにか気が滅入るようなことがあって,本屋で気が迷ったのであろう。
著者はリクルートのえらい人。あるときに,よし俺はこれから雇用問題の専門家になろう,と思って,実際にそれを実現させたのだそうである。すごいすごい。立派立派。人に説教できて楽しいだろうなあ。
なんでも,キャリアカウンセラーの認定試験みたいなものが,日本に11個もあるんだそうだ。生産性本部のとか,いかにも天下り先っぽい団体のとか,民間のとか。ははは。まあどうでもいいや。

読了:07/15 (NF)

2007年7月 8日 (日)

Bookcover イラク戦争の深淵―権力が崩壊するとき、2002~2004年 [a]
国末 憲人 / 草思社 / 2007-06-26
朝日の記者の取材日記。

 あれこれいろいろ疲れることがあって,土曜の午後から日曜一杯,ひたすら寝たり本読んだりして過ごした。ぼんやりしているとろくな事を考えない。俺はなにをやってるんだろうか,自尊心ばかり高くて少しも努力しない,そりゃあダメだよな,今回の人生は失敗だったなあ。などと思うとますます疲れが溜まっていく。離れ島で魚でも釣って暮らしたいところだが,自分と向き合う時間が長い分だけ,もっと大変だろう。離れ島にはきっとコンビニも本屋もないだろうし。
 上の本を読んでいたら,立派な人が立派なことばかりいうので,どんどんページをめくる速度が速くなってしまったが,毎日新聞の記者の話のところで手が止まった。不発弾をお土産に持ち帰ろうとして,アンマンの空港の手荷物検査で爆発事故を起こした記者の話(あったなあ,そういう話が)。著者によれば,この事故を起こすまで,毎日は朝日よりもずっと貧しい陣容で,それでも良い記事を送っていたのだそうだ。
 でも,ついつい気を取られてしまうのは,この記者のその後のことだ。イラク特派員といえば,きっと社内でも花形だったのだろう。逮捕されて,釈放されて,帰国して懲戒解雇されて,その後この人はなにをしているのだろうか。やりがいのある仕事,約束された人生を棒に振ってしまったことを,この人は一生悔やみつづけて,眠れない夜を過ごすだろうか。それとも,どうにかしてそれを乗り越えて,次の人生の目標を見つけちゃってたりするのだろうか。

読了:07/08 (NF)

2007年7月 7日 (土)

Bookcover マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実 [a]
西岡 研介 / 講談社 / 2007-06-19
JR東の革マル派問題を暴いて評判になった,週刊現代の連載を書籍化したもの。索引がついている。。。気合い入ってるなあ。。。
Bookcover 強いリベラル [a]
加藤 紘一 / 文藝春秋 / 2007-06
現役の政治家の本はあまり手に取る気にならないんだけど,この人の本はつい読んでしまう。主な内容は市場原理主義批判と地域再生の話。学校選択制には大反対。著者略歴にまで「小,中,高と地元の公立学校に通い続け」とあって,ちょっと笑ってしまったが,こういうの,これからの政治のひとつの軸になるのだろう。
地元の山形で小規模の集会を繰り返していると,出席者のなかに知識があって弁の立つ人がいたりして,ついその人と話してしまうのだが,実はそういう人は地域であまり人望がなく,まとめ役は黙っていることが多くて,実はそういう人が自民党の基盤である由。うーん,なんだか目に浮かぶような話だ。
Bookcover 反転―闇社会の守護神と呼ばれて [a]
田中 森一 / 幻冬舎 / 2007-06

読了:07/07まで (NF)

2007年6月17日 (日)

Bookcover 麗しき男性誌 (文春文庫) [a]
斎藤 美奈子 / 文藝春秋 / 2007-06
アエラ連載。当代一流の辛口評論家が,雑誌を通して世の男性たちを斬る,はずの内容なのだが,ついつい矛先が鈍ってしまうところが可笑しい。出版という斜陽産業への愛が邪魔をしているのだろう。

Bookcover 職場いじめ―あなたの上司はなぜキレる (平凡社新書) [a]
金子 雅臣 / 平凡社 / 2007-03
著者は都の労働相談に従事していた人。前著の岩波新書の内容が良かったので期待したのだが,こちらは経験譚と世間話であった。ずいぶんと年寄りめいた教訓を書く人だなあ,1943年生まれなのに,と不思議に思ったが,よく考えてみると43年生まれなら60代半ばだ,そりゃ仕方ないですね。

読了:06/18 (NF)

2007年6月16日 (土)

Bookcover 消費社会から格差社会へ―中流団塊と下流ジュニアの未来 [a]
上野 千鶴子,三浦 展 / 河出書房新社 / 2007-04
後半は上野千鶴子が聞き手で,三浦展の昔話。パルコ時代はよかった,とかなんとか。正直いって,どうでもいいや。

読了:06/16 (NF)

2007年6月15日 (金)

Bookcover 認知社会学の構想―カテゴリー・自己・社会 [a]
片桐 雅隆 / 世界思想社 / 2006-07
あれもこれも全部カテゴリー化の問題として捉えてみよう,という本。社会学についての基礎知識に欠けるもので,その価値はよくわからないが,頭の体操として面白かった。
 Taylorという人の"Sources of the self"という本はなんだか面白そうだ。自己概念の歴史についての本である由。ずいぶん芸域の広い学者だなあと驚いたが,いま調べてみたら,この人は心理学者じゃなくて(Taylor&FiskeのTaylorじゃなくて),カナダの政治家にして有名な思想家だそうだ。それはそれでまた忙しそうですね。

Bookcover ワーキングプア―日本を蝕む病 [a]
/ ポプラ社 / 2007-06

読了:06/15まで (NF)

2007年6月12日 (火)

Bookcover 郊外の社会学―現代を生きる形 (ちくま新書) [a]
若林 幹夫 / 筑摩書房 / 2007-03
数ヶ月前に読んだ本。書くのを忘れていたみたいだ。

読了:06/12まで (NF)

2007年6月 3日 (日)

Bookcover 現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書) [a]
岩田 正美 / 筑摩書房 / 2007-05
貧困という概念はそれ自体が価値判断を含んでおり,社会によって「あってはならない状態」として再発見されるべきものである。日本では,貧困の救済基準,つまり生活保護基準が貧困の定義としての役割も果たしている。だから,「保護基準の引き下げがなされた場合でも,多くの人は生活保護を利用している世帯だけにその影響が現れると思っている。が,実は全国民の貧困ラインが引き下げられた,と理解すべきなのである。」
 なるほど,気が付かなかった。そんなこんなで,この本は勉強になりました。

読了:06/03まで (NF)

2007年5月27日 (日)

Bookcover あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実 [a]
ピエトラ リボリ / 東洋経済新報社 / 2006-12
アメリカの経済学者が書いた,グローバリゼーションについての啓蒙書。一枚のTシャツを手がかりに,テキサスの農家,中国の工場,そしてアフリカの古着業者に至るまでを辿り,市場がいかに非-市場的か,経済がいかに政治と切り離せないかを描いていく。大変面白い内容で,思わず膝を打つ箇所が多かった。
 なんであれ社会現象の実態を詳細にみていくと,なにが善でなにが悪なのか,次第にはっきりしなくなるものらしい。著者はタンザニアの古着市場について,ここには真の自由市場がある,実に爽快だ,という(めずらしく価値判断を含んだ)書き方をしているけれども,かの国の人々にだって「アメリカ人の古着を着るなんて民族の恥だ」という感覚があるわけで,いまはそれが経済を動かすファクターとなりえないとしても,先々のことはわからないと思う。うーん。
Bookcover 同盟変貌―日米一体化の光と影 [a]
春原 剛 / 日本経済新聞出版社 / 2007-05

読了:05/27まで (NF)

2007年5月13日 (日)

Bookcover 偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43) [a]
朝日新聞特別報道チーム / 朝日新聞社 / 2007-05-11
朝日新聞の偽装請負キャンペーンは,大手紙によるここんところの最大のヒットであろう。新聞代払ってんのも悪くないな,と思わせてくれた。
 大きな会社には大抵,社訓だか社是だかがあるものだが,あれを作る意味合いってのは,いったいなんなんだろか。組織に基本理念が必要であることはとてもよくわかるのだが,なんらかの言葉を社員に徹底すればそれが基本理念になるのかというと,どうも怪しい。この本によれば,「産業報国,公明正大。。。」で有名なかの松下だって,社員を請負会社に短期間だけ大量出向させるという方法で,正社員から請負労働者への直接の指示を禁じる法の網の目を潜り,さらには不正すれすれのやり方で自治体から補助金をせしめているのである。
Bookcover 花と爆弾―人生は五十一から〈6〉 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2007-05

読了:05/13まで (NF)

2007年5月 3日 (木)

Bookcover 小泉政権―「パトスの首相」は何を変えたのか (中公新書) [a]
内山 融 / 中央公論新社 / 2007-04

Bookcover 少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書) [a]
山田 昌弘 / 岩波書店 / 2007-04-20

俺はなにか?岩波新書マニアかなにかか?
こうやって新書ばかり読んで,いったいなにをどうしたいのだろうか?

読了:05/03まで (NF)

2007年4月28日 (土)

Bookcover 乾隆帝―その政治の図像学 (文春新書) [a]
中野 美代子 / 文藝春秋 / 2007-04
清朝全盛期の皇帝である乾隆帝は,晩年に「我が国が五百年二十五代に渡って続きますように」と書いているそうである。千代に八千代に,じゃなくて。
 ここんところ仕事に関係した本やら面倒な本やらを読んでいるもので,昼休みにわざわざノーパソ持ってコーヒーショップに行っても,ついつい気楽な新書をめくって時間を過ごしてしまう。ダメだなあ。

読了:04/28まで (NF)

2007年4月20日 (金)

Bookcover 自省録 (岩波文庫) [a]
マルクスアウレーリウス / 岩波書店 / 2007-02-16
古代ローマの皇帝が,自分に向けて書いた覚え書き。
 そもそも言葉の意味さえよくわからない部分があるので(指導理性ってなによ?),内容をよく理解したとはいえないのだが,それでも時折,はっとさせられるような断章がある。時代も文化も立場もこれほどまでにかけ離れた人なのに,なにか胸打たれるものを感じるのだから,全く不思議なものだ。
 「健全な眼は,なんでも見える物を見るべきであって,『私は緑色のものが見たい』などというべきではない。これは眼を病む者のいうことだ。同様に健全な聴覚と嗅覚は,聴きうべき,また嗅ぎうべきあらゆるものにたいして用意がなくてはならない。[...] さらにまた健全な精神もあらゆる出来事にたいして用意がなくてはならない。ところが『私の子供たちが助かりますように』とか『私がなにをしようとも皆の者に賞賛されますように』などという精神は緑色のものを要求する眼であり,柔らかいものを要求する歯である。」

読了:04/20まで (NF)

2007年4月 3日 (火)

Bookcover 死に至る会社の病―ワンマン経営と企業統治 (集英社新書) [a]
大塚 将司 / 集英社 / 2007-03
頑張って勉強して書きました,という感じの本。ぱらぱらめくっただけだけど,読了にしちゃおう。

読了:04/03まで (NF)

2007年3月31日 (土)

Bookcover サラ金崩壊―グレーゾーン金利撤廃をめぐる300日戦争 [a]
井手 壮平 / 早川書房 / 2007-03
著者は共同通信の若い記者。なんでこの版元から出るのかわからない。
 去年,グレーゾーン金利の話が新聞を賑わせていたのだが,話がややこしくてついて行けなかった。だから上限金利が引き下げられたのには驚いた。消費者金融業界はもちろん銀行・財界に至るまで,金持っている人が揃って反対する法案が,まあよくも通ったものだ。
 この本によれば,貸金業法の成立は数々の偶然の産物ではあるものの,金融庁の一部の官僚たちの奮闘も重要だったし,政治家では与謝野馨・後藤田正純の役割が大きかったらしい。ふうん。
 最新号の日経ビジネスによれば,大手消費者金融が店舗を大幅に減らすせいで,オフィス賃貸の業界で異変が起きているのだそうだ。派手な看板で街々を埋め尽くし,衰退など考えられないように思えた業種が,あっというまに斜陽となるのである。普段はあまり意識しないけれど,政治の力とは本当に大きいものだ。
Bookcover <スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書) [a]
磯村 健太郎 / PHP研究所 / 2007-03-16

読了:03/31まで (NF)

2007年3月28日 (水)

Bookcover 迷いと決断 (新潮新書) [a]
出井 伸之 / 新潮社 / 2006-12-14
えらい人はいかに大変かという話。「クオリア」ブランドをやめたのはいまでも心残りである由。ふーん。

読了:03/28まで (NF)

2007年3月25日 (日)

Bookcover かたき討ち―復讐の作法 (中公新書) [a]
氏家 幹人 / 中央公論新社 / 2007-02
著者は江戸の社会文化についての読み物を書きまくっている人。
 江戸中期からは武士の敵討ちが減り,入れ替わりに庶民の敵討ちが増えるのだそうで,三田村鳶魚は当時の庶民に「どこまでも武士をいいものと思いこんで,武士の真似をする気持」があったと述べているそうだ。日本の精神は武士道である云々という藤原先生流の世迷い事は,旧日本軍から来ているのかと思っていたのだけれど,こうしてみると,案外根の深いものであるらしい。
Bookcover ギリシアとローマ (世界の歴史) [a]
桜井 万里子,本村 凌二 / 中央公論社 / 1997-10
ひょんなことから手に取ったのだが,面白いものでつい最後まで読んでしまった。こういうのは老後にとっておくつもりだったんだけど。まあ考えようによっては,いまが老後なのかもしれないし。

読了:03/25まで (NF)

2007年3月23日 (金)

Bookcover 新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書) [a]
河内 孝 / 新潮社 / 2007-03
毎日の元経営幹部が,新聞社の経営について書いた本。知らなかった話が山盛りで,大変勉強になった。
 日産のゴーン改革のあおりで,ビデオリサーチの新聞閲読調査(J-READ)が大きな影響力を持つようになり,その結果がABC調査とかなりちがうので,広告主の新聞広告不信を招いている由。そもそもABC調査は実配部数を調べるものではないんだそうで,公査部数には押し紙(販売店が買って配らず捨てる分)も含まれており,真の実配部数は新聞社にさえわからないんだそうだ。おそろしい世界だなあ。
Bookcover ブッシュのホワイトハウス(上) [a]
ボブ・ウッドワード / 日本経済新聞出版社 / 2007-03-07
Bookcover ブッシュのホワイトハウス(下) [a]
ボブ・ウッドワード / 日本経済新聞出版社 / 2007-03-07
ここのところの通勤本。ウッドワードのブッシュ政権リポートのなかで,第三弾のこの本が一番印象にのこった。ベスト・アンド・ブライテストな高官たちが人生を賭けて取り組むイラク政策が,なぜかことごとく失敗していく様子は,なんだか古典悲劇のようでさえある。
 イラクの戦後運営を任された退役将校のガーナーは,官僚主義と政治的暗闘に翻弄されたあげく事実上更迭されてしまうのだが,後任のブレマー特使が深刻な過ちを犯していると考え(たとえばイラク軍の解体),上司のラムズフェルドにその旨諫言するものの,まったく聞き入れられない。で,退任のあいさつにホワイトハウスを訪れ,大統領と歓談する機会を得るが,そのときに自分の意見を口にすることはなかった。なぜそうしなかったのかと後に問われていわく,「わたしは大統領の部下ではなかった」「ラムズフェルドの部下だった。わたしは軍人なんだ」
 なんだかどこかで聞いたような話だ。仮にこれが日本のエピソードなら,タテ社会に埋もれて真実をおろそかにする,これこそ日本人の典型的な欠点だね,と誰もがいうだろう。ここにあるのは文化の問題ではなく,組織というものが普遍的に抱えている宿痾なのだと思う。

読了:03/23まで (NF)

2007年3月18日 (日)

Bookcover ヒルズ黙示録―検証・ライブドア [a]
大鹿 靖明 / 朝日新聞社 / 2006-04

読了:03/18まで (NF)

2007年3月 4日 (日)

Bookcover 職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書) [a]
荒井 千暁 / 筑摩書房 / 2007-02
産業医のエッセイであった。
Bookcover 経済学の考え方 (岩波新書) [a]
宇沢 弘文 / 岩波書店 / 1989-01-20
いささか浮世離れした人生航路を辿ってきたもので,経済のケの字もわからん次第だが,せっかく虎ノ門で会社員やってんのに,さすがにちょっとまずいかしらんと反省し,ここしばらくの昼飯時にめくっていたのであった。そういう動機に照らせば,この本を手に取ったのはまさに見当違いであった。どうみても素人向けの内容ではない。正直いって,内容の1割も理解できなかった。
 ま,経済学って面白そうだなあという漠然とした印象を持つことができたので,それでよしとしよう。一般均衡理論のところまでは数式をきちんと追いかけて読んだのだが,うまいこと考えるもんだなあ,と感心した。
 俺ですら名前を知っている歴史的大学者の本だけあって,好き嫌いが遠慮会釈なく表明されていて,そういうところも面白かった。70年代の反ケインズ経済学は「理論的前提条件の非現実性,政策的偏向性,結論の反社会性を持ち,いずれも市場機構の果たす役割に対する宗教的帰依感を持つもの」であり,「紙数を割くのに忍びない」とまで仰る。いいなあ。十分な知識があればもっと感興深く読めただろうに,残念だ。

読了:03/04まで (NF)

2007年2月26日 (月)

Bookcover テロルの真犯人 [a]
加藤 紘一 / 講談社 / 2006-12-19

Bookcover ねにもつタイプ [a]
岸本 佐知子 / 筑摩書房 / 2007-01-25

読了:02/26まで (NF)

2007年2月19日 (月)

Bookcover コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった [a]
マルク・レビンソン / 日経BP社 / 2007-01-18
久々のハードカバー。このたびインフルエンザで寝込んでしまったのだが,熱が下がってきたのをいいことに布団を被って読んだ。予想に違わず,大変面白かった。重要だったのはコンテナの発明ではなく,ロジシステム自体のコンテナ化であった由。なるほどなあ。
Bookcover それってどうなの主義 [a]
斎藤 美奈子 / 白水社 / 2007-02

読了:02/19まで (NF)

2007年2月14日 (水)

Bookcover 中世日本の予言書―“未来記”を読む (岩波新書) [a]
小峯 和明 / 岩波書店 / 2007-01-19

読了:02/14まで (NF)

2007年2月12日 (月)

Bookcover きのうの雫 [a]
平田 俊子 / 平凡社 / 2001-10

読了:02/12 (NF)

2007年1月30日 (火)

Bookcover 報道被害 (岩波新書) [a]
梓澤 和幸 / 岩波書店 / 2007-01-19

Bookcover 善と悪―倫理学への招待 (岩波新書) [a]
大庭 健 / 岩波書店 / 2006-10-20

Bookcover 報道されない重大事 (ちくま文庫) [a]
斎藤 貴男 / 筑摩書房 / 2007-01

Bookcover グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501) [a]
佐々木 俊尚 / 文藝春秋 / 2006-04

Bookcover 次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書) [a]
佐々木 俊尚 / 光文社 / 2007-01-17

読了:01/30まで (NF)

2007年1月 9日 (火)

Bookcover 能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書 [a]
藤本 隆宏 / 中央公論新社 / 2003-06-24
自動車産業の組織能力についての分析。とても勉強になった。この先生の本は片っ端から読まねばならん,と改めて決意した。
内容のメモをとっておきたいのだが,ちょっと暇がない。ここ数ヶ月の通勤電車本だったので細切れに読んでしまい,少し読み飛ばしているところもある。もったいないなあ。どうにかならないものだろうか。

先日,昼休みにふと思いついて数えてみたら,2006年に読んだ本はフィクション43冊,ノンフィクション123冊,コミックス140冊であった。驚いたことに,2005年に読んだ本はフィクション42冊,ノンフィクション123冊,コミックス139冊であり,ほとんど増減がない。適当に読み散らかしているつもりでも,長期的には一定のペースを保っているということだろうか。不思議だ。
今年もそれだけしか読めないということか。つくづく,人生は長いようで短い。これからは読む本も選ばないといけないなあ。

ほんとはこんなメモを取っている場合ではないのだが。。。もうすぐ夜が明けてしまうよ。。。

読了:1/9まで (NF)

2007年1月 7日 (日)

Bookcover 消費資本主義のゆくえ―コンビニから見た日本経済 (ちくま新書) [a]
松原 隆一郎 / 筑摩書房 / 2000-09
ここんところの風呂の友であった。少しずつ読んでいると流れがつかめなくなってしまう。困ったものだなあ。
戦後日本における消費は,(1)社会的価値への同調&公開的(70年代まで),(2)個人的欲望への同調&公開的(80年代),(3)個人的欲望への同調&閉鎖的(90年代),(4)社会的価値への同調&閉鎖的(21世紀),という具合に二次元空間をぐるっと一巡したんだそうだ。ふーん。

読了:1/7まで (NF)

2007年1月 2日 (火)

Bookcover カエルを食べてしまえ! [a]
ブライアン トレーシー / ダイヤモンド社 / 2002-03

読了:1/2まで (NF)

2006年12月30日 (土)

Bookcover ニッポン欲望列島 [a]
本橋 信宏 / 創出版 / 2006-12

読了:12/30まで (NF)

2006年12月21日 (木)

Bookcover 小泉官邸秘録 [a]
飯島 勲 / 日本経済新聞社 / 2006-12

Bookcover 就職迷子の若者たち (集英社新書) [a]
小島 貴子 / 集英社 / 2006-09

Bookcover チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く現代 (中公文庫) [a]
中村 紘子 / 中央公論社 / 1991-11
ひょっとすると再読かも。

(1)昼飯時(2)帰りの電車(3)夕飯時(4)風呂の中,でしか本が読めないので,どうしても文庫と新書に偏ってしまうし,あまりこみ入った内容の本は頭に入らない。腰は痛いし目は霞むし。自分の人生じゃないみたいだ。

読了:12/21まで (NF)

2006年12月17日 (日)

Bookcover キャリアの常識の嘘 [a]
金井 壽宏,高橋 俊介 / 朝日新聞社 / 2005-12
バランスのとれた良書なんだろうと思うけど,この分野の本を読んでいると,後悔と諦念に押しつぶされて死にそうになってしまう。

読了:12/17まで (NF)

2006年12月13日 (水)

Bookcover 朝日vs.産経ソウル発―どうするどうなる朝鮮半島 (朝日新書) [a]
黒田 勝弘,市川 速水 / 朝日新聞社 / 2006-12

読了:12/13まで (NF)

2006年12月 6日 (水)

Bookcover ヒルズ黙示録・最終章 (朝日新書) [a]
大鹿 靖明 / 朝日新聞社 / 2006-11
月曜の帰りの電車でめくった。

読了:12/06まで (NF)

2006年11月30日 (木)

Bookcover シーア派―台頭するイスラーム少数派 (中公新書) [a]
桜井 啓子 / 中央公論新社 / 2006-10

読了:11/30まで (NF)

2006年11月21日 (火)

Bookcover 性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書) [a]
鈴木 透 / 中央公論新社 / 2006-09

読了:11/21まで (NF)

2006年11月18日 (土)

Bookcover 風俗嬢、その後。 [a]
酒井 あゆみ / 河出書房新社 / 2006-11-16
この人の本を読むのは二冊目なのだが,ノンフィクションといいつつ,本質的には自分語りなのである。好みが分かれるところであろう。

読了:11/18まで (NF)

2006年11月12日 (日)

Bookcover ブランドの条件 (岩波新書) [a]
山田 登世子 / 岩波書店 / 2006-09-20
ルイ・ヴィトン,エルメス,シャネルの成立史。
この本はどうせつまらないだろう,とちょっと食指が動かなかった。成功している企業についての本は「勝者をそれが勝者であることを理由に讃える」内容になりがちだと思う。
それでも試しに読んでみたところ,歴史読み物として面白かったし,ただのヨイショ本には留まらない真っ当な内容であったけれど(職人による少量生産というのは要するに量産の一形態である由。なるほど),「ブランドの条件」「ブランド文化論」というのはやはり誇大コピーだと思った。ブランドの成立と維持のメカニズムについて教えてくれる本ではない。もっとも,アクチュアルな問題への直接的な解答を歴史に求めるのは,魚屋で大根を探すようなものなのかもしれない。
Bookcover 入社3年までに習慣づけるスケジュール&時間管理 (仕事の基本) [a]
松尾 梓司 / 日本能率協会マネジメントセンター / 2006-09-22
失敗続きで弱気になっていたので,ついふらふらと買ってしまった。本屋に人生の解を求めるのは,良くない癖だなあ。
で,うちで寝転がって手にとってみたら,著者は1978年生まれであった。そんな青年に手帳の使い方を教わるのもなあ,とげんなりしてしまう,これも悪い癖である。ぱらぱらめくっただけだけど,読了ということで。

読了:11/12まで (NF)

2006年11月 5日 (日)

Bookcover 労働ダンピング―雇用の多様化の果てに (岩波新書) [a]
中野 麻美 / 岩波書店 / 2006-10-20

Bookcover 脱米潮流 [a]
毎日新聞取材外信部 / 毎日新聞社 / 2006-09

永沢光雄さんが亡くなった。47才。読み手の心に静かに残る文章を書く,ちょっと不思議な書き手だった。

読了:11/05まで (NF)

2006年10月30日 (月)

Bookcover ザ・ペニンシュラ・クエスチョン―朝鮮半島第二次核危機 [a]
船橋 洋一 / 朝日新聞社 / 2006-10
朝日を代表する大スター記者による,ウッドワード流の時事ノンフィクション。予算と人手をたっぷり費やし,これでもかというくらいの綿密な内容を盛り込んだ大著であった。読みながら,なぜかちょっと落ち込んでしまった。あんまり凄いものをみると,同業者はたまったものじゃないだろうなあ,つらいだろうなあ,などと想像してしまうのである。

読了:10/30まで (NF)

2006年10月22日 (日)

Bookcover 昭和モダン建築巡礼 西日本編 [a]
磯 達雄 / 日経BP社 / 2006-10-28
まだ表示されないかも知れないが,書名は「昭和モダン建築巡礼/西日本編」。文章よりイラストのほうが面白いと思った。

読了:10/22まで (NF)

Bookcover 密漁の海で―正史に残らない北方領土 [a]
本田 良一 / 凱風社 / 2004-06
2004年刊,著者は道新記者。冷戦期のレポ船から宗男スキャンダルに至るまで,政治に翻弄される根室の人々を描いたドキュメント。とても良い本だった。いっちゃなんだが,大きな出版社から出ていたら大評判になっていたのではなかろうか。それとも俺が知らなかっただけだろうか。
Bookcover スターリニズム (ヨーロッパ史入門) [a]
グレイム ギル / 岩波書店 / 2004-11-19
スターリニズムには,経済面での「上からの革命」,文化革命,社会的流動,テロルの4つの側面があって,まず30年代初頭に経済面で開始され,30年代末からの恐怖政治によって完成をみたのだそうだ。なるほど,今年からいきなりスターリニズム,ってわけではないんだなあ。

読了:10/22まで2 (NF)

2006年10月16日 (月)

Bookcover 中国・アジア・日本―大国化する「巨龍」は脅威か (ちくま新書) [a]
天児 慧 / 筑摩書房 / 2006-10

Bookcover 気分はもう、裁判長 (よりみちパン!セ) [a]
北尾 トロ / 理論社 / 2005-09

Bookcover 戦争大統領―CIAとブッシュ政権の秘密 [a]
ジェームズ ライゼン / 毎日新聞社 / 2006-09-01
米国務長官のパウエルさんが国連で「イラクはトレーラーに研究設備を詰め込んで生物兵器を開発している」と演説したことがあったが(2003年2月),実はこの情報はCIA内部では疑問視されていて,担当官はテレビで演説をみて呆然とした由。そんなことをいま云われてもなあ。

読了:10/16まで (NF)

2006年10月10日 (火)

Bookcover 格差社会―何が問題なのか (岩波新書) [a]
橘木 俊詔 / 岩波書店 / 2006-09-20

なんにもしていないのに,どんどん時間だけが経っていく。いったいどういうことだろうか?

読了:10/10まで (NF)

2006年10月 3日 (火)

Bookcover 累犯障害者 [a]
山本 譲司 / 新潮社 / 2006-09-14
著者は元国会議員で,実刑判決を受け獄中記を書いて評判になった人。前著もそうだが,この本も大変勉強になった。
手話には日本語対応手話と「日本手話」があって(後者は日本版ASLのようなものらしい),ろう者が聴者の日本語対応手話を理解するのは,大変に疲れるものなのだそうである。専門家でも20分が限界だそうだ。知らなかった。
Bookcover 階級社会 (講談社選書メチエ) [a]
橋本 健二 / 講談社 / 2006-09-09
格差関連本は雨後の筍のような案配だが,この本はプロの社会学者の本で,しっかりした内容であった。SSM調査などのデータを元に,社会階層を(1)資本家階級 (2)労働者階級 (3)新中間階級 (4)旧中間階級の4つに分類する。どうもマルクス主義の影響が強い人らしい。
機会の不平等に注目する立場(佐藤俊樹など)とは異なり,結果の格差そのものを問題視する立場。最終章の教育関連の議論にはちょっと納得いかないところがあったけど。ともかく面白い本であった。
うろ覚えだが,労働時間と他者への一般的信頼感との相関をとると,資本家階級・旧中間階級では正の相関があり,労働者階級・新中間階級では負の相関がある由であった。長時間労働が信頼感を奪い階級闘争を困難にする,という説明である。筋は通っているが,信頼感が奪われるそのメカニズムが知りたいところである。
うーん,読んだらすぐにメモを取らんといかんな。
Bookcover 裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫) [a]
北尾 トロ / 文藝春秋 / 2006-07
さきほど読了。巻末の裁判傍聴マニア座談会に爆笑。

読了:10/03まで (NF)

2006年9月24日 (日)

Bookcover 検証「国策逮捕」 経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか [a]
東京新聞特別取材班 / 光文社 / 2006-09-16

読了:09/24まで (NF)

2006年9月18日 (月)

Bookcover 下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書) [a]
須田 慎一郎 / 筑摩書房 / 2006-09
下世話な題名だが,消費者金融業界の内幕についてきちんと説明した良書であった。
Bookcover 児童虐待―現場からの提言 (岩波新書) [a]
川崎 二三彦 / 岩波書店 / 2006-08-18
児童相談所の一時保護にはなんで令状がいらないんだろうか,と前々から不思議に思っていた。この本によると,現場としても責任が重すぎて困るのだそうである。保護者には殴られちゃうし。本当に大変な仕事だ。
Bookcover 株式会社に社会的責任はあるか [a]
奥村 宏 / 岩波書店 / 2006-06-20

Bookcover パラサイト・ミドルの衝撃サラリーマン― 45歳の憂鬱 NTT出版ライブラリーレゾナント016 [a]
三神 万里子 / NTT出版 / 2005-10-13
45歳サラリーマンは危機にさらされている,という売り文句の本だが(一種の恐怖喚起ビジネスですね),なんで45歳なのかの説明は,かなりおおざっぱな世代論に留まっている。要するに,これからの知的労働はかくあるべしかくあるべしかくあるべし!という本。
「おまえらこうしろ,でないと乗り遅れるぞ」という調子で,どこかに監禁されて説教を聞かされている気分になり,斜め読みするだけで大変疲れた。正直,この種のご託宣にはもううんざりである。

読了:09/18まで (NF)

Bookcover わたしが見たポル・ポト―キリングフィールズを駆けぬけた青春 [a]
馬渕 直城 / 集英社 / 2006-09
75年のプノンペン陥落時に居合わせたという古参ジャーナリストの本。反ベトナム,親ポル・ポト派の色合いが強く,クメール・ルージュによる組織的虐殺には否定的。へええ。

読了:09/18まで2 (NF)

2006年9月12日 (火)

Bookcover 日本共産党 (新潮新書) [a]
筆坂 秀世 / 新潮社 / 2006-04-15
著者は先日セクハラ疑惑で除名された,共産党の偉い人,もちろん共産党批判なのだが,そこここに党への愛情(というか,執着というか)がかいま見えて,ちょっと泣かせる。
Bookcover 9人の児童性虐待者 [a]
パメラ・D. シュルツ / 牧野出版 / 2006-08
興味本位の読み物かも,と警戒していたのだが,それどころか,あまりにアカデミックな内容であった。本題に入る前に,社会構成主義アプローチについての説明が延々と続く(読み飛ばしてしまった)。博士論文かなにかかもしれない。

読了:09/12まで (NF)

2006年8月31日 (木)

Bookcover ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実 [a]
B.エーレンライク / 東洋経済新報社 / 2006-07-28
ジャーナリストが低賃金生活を実体験するという,前に読んだ「ハードワーク」と同じコンセプトの本。「『中流』という階級」を書いた人だけあって,さすがに読ませる内容であったが,海の向こうの話なので,つい気楽に捉えてしまう。
Bookcover 外交敗北−日朝首脳会談と日米同盟の真実 [a]
重村 智計 / 講談社 / 2006-07-04
田中均は極悪で安部晋三は正しかった,云々,という本。その主張の是非はともかく,とにかく雑な内容の本であった。
 この本の著者によれば,日本外交についての記事は政治部の担当で,おかげで外交のイロハも踏まえぬ有り様なのだそうだが,そういいつつ得々と書いているのは「突然の訪朝で米高官が怒っていた」「高官の誰々が真意を説明しやすいように記者会見でわざと質問してあげた」という種の話にすぎないわけで,失笑してしまった。著者は毎日新聞出身の学者だが,前に読んだ「米朝対立」(書いたのは日経の記者)と比べると,同じ問題を扱っていても,議論の深さがまるっきりちがう。要するに,人による,ということなのだろう。
 それにしても,天下の大新聞の論説委員だった人が,なんでこんな本を出しちゃうんだろう。小刻みに話が逸れては戻るところや,自慢話が多いところをみると,本人が手で書いた本ではないのかもしれない。
Bookcover 子ども兵の戦争 [a]
P.W. シンガー / 日本放送出版協会 / 2006-06

Bookcover アメリカの原理主義 (集英社新書) [a]
河野 博子 / 集英社 / 2006-07-14

Bookcover 「不利益分配」社会―個人と政治の新しい関係 (ちくま新書) [a]
高瀬 淳一 / 筑摩書房 / 2006-08
政治家に大事なのは政治力だ,という観点からの議論。そりゃそうかもしれないけど,そういう議論ばっかりだと,勝てば官軍ということになるのではなかろうか,と不安である。
Bookcover 小泉政権―非情の歳月 (文春文庫) [a]
佐野 眞一 / 文藝春秋 / 2006-08

Bookcover 論争 格差社会 (文春新書) [a]
/ 文藝春秋 / 2006-08
総合雑誌に載った文章のアンソロジー。社会科学のありかたについて自省する佐藤俊樹の文章に深く納得し,ほとんど感動しつつページをめくったら,次の章はいきなり「いま日本で,中流が崩壊して社会が二極化することを不安視する声が広がっています。二極化を批判するこのような勢力はかつての左翼に多い。左翼は完全に負けたにもかかわらず[...]不安を煽っている。まことに盗人猛々しい。では彼らがあこがれていたソ連の社会はどうであったか」云々云々。以下,昔の上流階級は良かったなあ,という与太話が延々と続くのである。目眩がした。書いているのはもちろん,渡部昇一大先生。
Bookcover 壊れる男たち―セクハラはなぜ繰り返されるのか (岩波新書) [a]
金子 雅臣 / 岩波書店 / 2006-02-21
著者は東京都の労働相談担当者らしい。もちろんまじめな本なのだけど,紹介されている事例があまりに生々しくて,小説を読んでいるような気分になってしまった。

読了:08/30まで (NF)

2006年8月 6日 (日)

Bookcover 咬ませ犬 (岩波現代文庫―社会) [a]
後藤 正治 / 岩波書店 / 2005-11-16
スポーツノンフィクション集。良い本であった。
Bookcover 心脳コントロール社会 (ちくま新書) [a]
小森 陽一 / 筑摩書房 / 2006-07
なんぼ正当な主張であっても,これではただの世間話である。読む本は選ばねばいかんなあ。
Bookcover 誰のための会社にするか (岩波新書) [a]
ロナルド ドーア / 岩波書店 / 2006-07-20
ドーア先生の本にしては,ちょっと薄めの内容。

読了:08/06まで (NF)

2006年7月23日 (日)

Bookcover 出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」 (ちくま文庫) [a]
塩山 芳明 / 筑摩書房 / 2006-07
前から気になっていた本が,このたびめでたく文庫化。罵倒の嵐。筑摩書房もいい度胸だなあ。
Bookcover 日本語ぽこりぽこり [a]
アーサー・ビナード / 小学館 / 2005-02-28
軽いエッセイ集。適当な順序でめくったので,全部読んだかどうか定かでないのだが,読み終えたことにしておこう。
Bookcover イメージ・ファクトリー―日本×流行×文化 [a]
ドナルド リチー,ロイ ガーナー / 青土社 / 2005-08
著名な映画評論家が書いた,いかにもインテリが喜びそうな日本文化論(パチンコは座禅に通じる,とか)。どこまで真面目でどこからアイロニーなのかが分からず,ちょっと困惑。
Bookcover 日本という国 (よりみちパン!セ) [a]
小熊 英二 / 理論社 / 2006-04
理論社の野心的なYA向けシリーズの一冊,なんだけど,実際の読者は主にオトナだと思う。
Bookcover 中国映画―百年を描く、百年を読む [a]
藤井 省三 / 岩波書店 / 2002-07-25
観てない映画の話を聞かされても。。。という感じだが,ジャ・ジャンクーという人の映画は観てみたいと思った。

読了:07/23まで (NF)

2006年7月19日 (水)

Bookcover 赤ちゃんの値段 [a]
高倉 正樹 / 講談社 / 2006-06-20

Bookcover 社長の椅子が泣いている [a]
加藤 仁 / 講談社 / 2006-06-16
ヤマハから転じてダイエーのV革を指導しリッカーの再建にあたった経営者,河島博の評伝。ふうん。

読了:07/19まで (NF)

2006年7月10日 (月)

Bookcover 日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021)) [a]
毛里 和子 / 岩波書店 / 2006-06-20

Bookcover ニヒリズムの宰相小泉純一郎論 (PHP新書) [a]
御厨 貴 / PHP研究所 / 2006-06

Bookcover 子どもを貪り食う世界 [a]
クレール ブリセ / 社会評論社 / 1998-11

Bookcover フラット化する世界(上) [a]
トーマス・フリードマン / 日本経済新聞社 / 2006-05-25
Bookcover フラット化する世界(下) [a]
トーマス・フリードマン / 日本経済新聞社 / 2006-05-25

Bookcover メディアは知識人をどう使ったか―戦後「論壇」の出発 [a]
大井 浩一 / 勁草書房 / 2004-02
興味深い内容なんだけど,なんだか論旨が整理されていなくて空転している箇所があるような気がした。(偉そうだね,おい)

読了:07/10 まで (NF)

2006年6月26日 (月)

Bookcover 日本の個人主義 (ちくま新書) [a]
小田中 直樹 / 筑摩書房 / 2006-06
 大塚久雄に依拠しつつ,個人の自律について考える,という本。
 内容の良し悪しについてはよくわからないし,いずれにせよ勉強にはなったのだが(だいたい大塚久雄なんて読んだこともない),ちょっと後味がわるい。途中で認知科学の話が引き合いに出される箇所が2つあり,どちらも論旨展開上かなり重要な位置を占めていて,しかもどちらもなんだか怪しげなのである。
1) ポスト近代主義者は「日常生活はミクロな権力の網の目のなかに埋め込まれつつその網の目をつくり出しているのであるからして,個人の自律など幻想にすぎない」と主張する(フーコーを引用)。しかし認知科学の知見によれば(ピンカーを引用),脳の生理的な活動が主体性を産むのだそうだ。その主体性が自律的にアイデンティティをつくり出すわけだから,個人の自律という現象は存在するのである。ゆえに大塚久雄は時代遅れではない。云々。
 このくだり,なにがなんだかさっぱりわからない。世間で云うところの「個人の自律」に対応する特定の神経科学的プロセスが実在するとしよう(神経科学が与えてくれるのはそういう知見だ)。しかしそのことと,社会科学を「自律した個人」という概念で基礎づけることが妥当かどうかという問題は,あまり関係がないだろう。いま仮に,世間で云うところの善行を人が施すときその時に限って活性化する「善行細胞」が発見されたとしても,そのことは性善説の証拠にはならない。
 自然科学へのファンタジーを剥ぎ取ってしまえば,この人がいっているのは結局「個人の自律と呼ばれている現象があるから個人の自律という現象が存在する」ということに過ぎないと思う。
2) 反パターナリズム論者やポスト近代主義論者は,大塚のいう他者啓蒙という概念を強く批判する。しかし認知発達の研究によれば(三宮真智子を引用),メタ認知促進の鍵はコミュニケーションにあるのだそうだ。つまり,個人の自律には他者啓蒙が重要なのである。ゆえに大塚久雄は時代遅れではない。云々。
 ここんところ,(1)まず前後の議論との関係がよくわからない。ポスト近代主義者は他者啓蒙に潜む権力性や他者啓蒙の帰結を問題にしたのであって,個人の自律に他者が必要だということを否定したわけではないだろう。(2)さらに,局所的にみてもなんだか変である。ここでは,「個人の自律」が「メタ認知」に,「他者啓蒙」が「メタ認知促進」に重ね合わされているようだが,このアナロジーと「メタ認知促進の鍵はコミュニケーションにある」という知見から引き出される示唆は,「他者啓蒙には他者が必要だ」ということに過ぎないはずだ。
Bookcover 最強ヘッジファンドLTCMの興亡 (日経ビジネス人文庫) [a]
ロジャー ローウェンスタイン / 日本経済新聞社 / 2005-11
他の読みかけの本を放り出し,この二日で一気読み。98年のLTCM破綻についてのドキュメント。大変面白かったのだが,正直,内容の半分も理解できていない。懇切丁寧に説明されているのだが,こっちは想定読者層をはるかに下回る世間知らずなので,スプレッドとかレバレッジとかっていわれても途方に暮れてしまうのである。このまま一生わからんまま過ごすんだろうな,きっと。
 この事件は,数理モデルを信じた学者たちの大失敗,という皮肉めいた論調で紹介されることが多かったと思うのだが,この本によれば,多分にマネジメントの失敗という面があったらしい。ふうん。
 二人いたノーベル経済学賞受賞者のうち,一人は「ブラック・ショールズ・モデル」のショールズ(俺でさえ名前は聞いたことがある。すごい),もう一人はマートンという偉い学者で,この人は知識社会学のR. マートンの息子である由。へー。
Bookcover 東洋文庫ガイドブック 2 [a]
/ 平凡社 / 2006-05-18
こういうのを読んでいると,読みたい本がどんどん増えてきて,困ってしまう。

読了:06/26まで (NF)

2006年6月18日 (日)

Bookcover 黒田悪党たちの中世史 (NHKブックス) [a]
新井 孝重 / NHK出版 / 2005-07-30
なぜか買ってしまった本。ぱらぱらとめくっただけだが,なかなか興味深い箇所もあった。日本史の知識があればもっと面白かっただろう。
Bookcover 社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書) [a]
見田 宗介 / 岩波書店 / 2006-04-20
超えらい先生だけに許される,雲をつかむようなエッセイ。それはそれで面白かったけど,それは俺が門外漢だからであって,専門知としての社会学に通じている人であればあるほど,ちょっと引き気味になっちゃうんじゃないかと思う。

大学院に入り立ての頃,若手の社会心理学者として売り出し中の先輩が,後輩の院生を馬鹿にして,あいつは研究者って柄じゃない,「なにしろ見田宗介も知らねえんだよ」,と呆れて見せたのを思い出す。その人が時折みせる,そういうペダンチックなところが俺は好きだったけれども,しかし今にして思うに,見田宗介を読んでいなくても社会心理学者にはなれるだろう。研究者は自分の研究だけうまくやってれば良いのであって,広範な教養に支えられた深い学識など,ただの幻影に過ぎない。たぶんずっと昔からそうだったのだ。
その先輩はいまや高名な研究者であり,後輩の院生のほうも,大学に安定した職を得て幸せな家庭を築いている。俺はといえば,この年で転職を繰り返したあげく,慣れない単純作業に埋もれる日々である。長い長い夢を見ているような気分だ。

読了:06/18まで (NF)

2006年6月12日 (月)

Bookcover メディア危機 (NHKブックス) [a]
金子 勝,アンドリュー・デウィット / NHK出版 / 2005-06-30
要約:(1)世の中間違っとる。(2)メディアが悪い。(3)メディアリテラシーを欠いているおまえら大衆も悪い。

読了:06/12 (NF)

2006年6月 9日 (金)

Bookcover レクサスのジレンマ [a]
金子 浩久 / 学研 / 2005-09-13
仕事の関係で借りて読んだ。車に関心がないどころか,免許さえ持っていない俺には,遠い国の習俗についての話を聞いている気分だ。
Bookcover 問題解決のための「社会技術」―分野を超えた知の協働 (中公新書) [a]
堀井 秀之 / 中央公論新社 / 2004-03
社会技術研究ナントカというのがあって,どーんと予算がついているのだが,その宣伝本であった。ざっとめくっただけ。

読了:06/09まで (NF)

2006年6月 7日 (水)

Bookcover 監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆 [a]
アナ ファンダー / 白水社 / 2005-10

Bookcover とにかく目立ちたがる人たち (平凡社新書) [a]
矢幡 洋 / 平凡社 / 2006-01-12
ミロンという人(DSM-IVをつくった人だそうな)の人格理論をすごく俗っぽく紹介した本。別に読むことなかった。いったい俺はなにをやっているのだろうか?

読了:06/07まで (NF)

2006年5月28日 (日)

Bookcover 危ないお仕事! (新潮文庫) [a]
北尾 トロ / 新潮社 / 2006-05-30

Bookcover 戦国鉄砲・傭兵隊―天下人に逆らった紀州雑賀衆 (平凡社新書) [a]
鈴木 真哉 / 平凡社 / 2004-08
歴史好き向けに書かれた本で,よくわからんかった。
Bookcover 首相支配-日本政治の変貌 (中公新書) [a]
竹中 治堅 / 中央公論新社 / 2006-05-24
著者は法眼晋作の孫である由。

どうにも展望が持てず,こんな本ばかり読んでいる。こんなことなら,毎晩ナイター観てビール飲んで寝た方が,なんぼか気が利いているなあ。

読了:05/28まで (NF)

2006年5月24日 (水)

Bookcover 大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本 (岩波新書 新赤版 (960)) [a]
矢作 弘 / 岩波書店 / 2005-07-20
大型店規制派の立場から書かれた本。アメリカでの事情が2/3くらい。
バーンステイブル市(というのはボストン近郊らしい)での推計によれば,なにかの商業開発があったとき,それが自治体の財政に与える影響は,専門店ではプラス,レストラン・ショッピングセンター・ビッグボックス店ではマイナス,ファーストフード店では極端なマイナスになるらしい(90平米あたり-5000ドル)。こういう調査は日本でもやってるんだろうか?
Bookcover 江戸時代とはなにか―日本史上の近世と近代 (岩波現代文庫) [a]
尾藤 正英 / 岩波書店 / 2006-04-14

読了:05/24まで (NF)

2006年5月15日 (月)

Bookcover カラシニコフII [a]
松本 仁一 / 朝日新聞社 / 2006-05-03

読了:05/15まで (NF)

2006年5月 7日 (日)

Bookcover ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日 [a]
エドワード・ドルニック / 光文社 / 2006-01-24
書くのを忘れてたけど,しばらく前に目を通した本。面白いけど,主役格の捜査官の視点があまりに強すぎて,ノンフィクションとしては底が浅いように思った。
Bookcover 新・中年授業 [a]
目黒 考二 / 本の雑誌社 / 2006-03-16
書評エッセイ集。ざっとめくっただけだけど,web連載時に全部読んでいたようなので,読み終えたことにしておく。収録されていない回にも良い文章があったと思うのだが(佐藤多佳子「黄色い目の魚」の回とか)。
Bookcover 狂気の偽装 [a]
岩波 明 / 新潮社 / 2006-04-20
「その心の病は大ウソだ!」「現役医師による告発レポート!」というのが帯の惹句だが(さすがは週刊新潮の版元だ),内容は比較的に地味なエッセイ。
Bookcover 日本宗教史 (岩波新書) [a]
末木 文美士 / 岩波書店 / 2006-04-20

読了:05/07まで (NF)

2006年4月27日 (木)

Bookcover にっちもさっちも―人生は五十一から〈5〉 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2006-04

Bookcover 最後の聖戦!?―ショッピングの女王FINAL (文春文庫) [a]
中村 うさぎ / 文藝春秋 / 2006-04

読了:04/27まで (NF)

2006年3月30日 (木)

Bookcover 倒産社長の告白 [a]
三浦 紀夫 / 草思社 / 2003-12-15

読了:03/30まで (NF)

2006年3月27日 (月)

Bookcover あほらし屋の鐘が鳴る (文春文庫) [a]
斎藤 美奈子 / 文藝春秋 / 2006-03-10
昔の軽めの時評集(「uno!」連載。やれやれ)。なんだか馬鹿馬鹿しくて流し読み。10年近く前の世相を斬るエッセイを今になって読むというのも,まあ乙なものだといえなくもないけど。

読了:03/27まで (NF)

Bookcover 大統領の陰謀―ニクソンを追いつめた300日 (文春文庫) [a]
ボブ ウッドワード,カール バーンスタイン / 文藝春秋 / 2005-09
風呂の中でちびちび読んでいたら,途中で登場人物の名前がごっちゃになってしまい,よくわからなくなってしまった。

読了:03/27まで2 (NF)

2006年3月12日 (日)

Bookcover 麻原彰晃の誕生 (文春新書) [a]
高山 文彦 / 文藝春秋 / 2006-02-20

読了:03/12まで (NF)

2006年2月17日 (金)

Bookcover アメリカは正気を取り戻せるか―リベラルとラドコンの戦い [a]
ロバート・B. ライシュ / 東洋経済新報社 / 2004-10
 「がんばれリベラルがんばれ民主党」という本。ふうん。
 机の横に積んである本の山のなかに発見して読んだのだが,いつこんな本を買ったのか,どうも思い出せない。「シンボリック・アナリスト」という言い回しの初出を知りたいと思っていたことはあったのだが(読んでいて思い出した),さすがにこの本が初出ではないよな。何を考えていたんだか。まあ面白かったからいいけどさ。

読了:02/17

2006年2月12日 (日)

Bookcover AOL+タイムワーナー 史上最大の合併 [a]
ニナ・ムンク,竹熊 誠 / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2006-01-15

読了:02/12 (NF)

2006年2月11日 (土)

Bookcover ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実 [a]
フィリップ ゴーレイヴィッチ / WAVE出版 / 2003-06
Bookcover ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実 [a]
フィリップ ゴーレイヴィッチ / WAVE出版 / 2003-06

読了:02/11まで (NF)

2006年2月 1日 (水)

Bookcover 手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録 [a]
シェリ フィンク / アスペクト / 2004-11

読了:02/01まで (NF)

2006年1月24日 (火)

Bookcover プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫) [a]
魚津 郁夫 / 筑摩書房 / 2006-01
W.ジェイムズからR.ローティまで。人物ごとに章立てした平板な記述で,なんだか大学の教科書みたいだなあ,と思いながらめくっていたら,放送大の教科書だった。なあんだ。
事実についての可謬主義は超越的な実在を前提とする。そこのところでローティは誤っている。云々。はあそうですか。

読了:01/24 (NF)

2006年1月23日 (月)

Bookcover 身分差別社会の真実 (講談社現代新書) [a]
斎藤 洋一,大石 慎三郎 / 講談社 / 1995-07-17
帰りの電車で一気読み。なんの気もなく手に取った本だったのだが,歴史に疎いこともあって,とても興味深い内容だった。
明治四年,えた・ひにんなどの呼称を廃する旨の布告が出たとき,この布告に反対し民衆が被差別部落を襲撃する事件が,西日本の各地で起きたのだそうだ。これを解放令反対一揆というのだそうである。
そのひとつ,美作で起きた一揆では(美作ってのは岡山の山のほうですね):
「さらぬだに興奮せる群衆は,いっそう殺気だちて,すさまじき勢いをもって押し進みければ,新平民等,初めの程はなかなか手強く抵抗したれども,多勢に無勢,とうていかなわずとや覚りけん,遂に同族中の富豪にて,巨頭たる宰務半之丞および手習い師匠朝日八郎【これは新平民にあらず】・松原治三郎ほか三名をして屈服・陳謝せしむ。...群衆は,これを加茂川の辺なる火葬場のかたわらなる一陣の内に押し入れ,最初に半之丞を引き出し,これを水留のなかに突き落とし,悲鳴をあぐるを容赦なく,槍にて芋刺しに串つらぬき,かつ石を投げつけて,これを殺したり。それより順次に,同一方法を用いて五人を殺し ... 同部落民の家に火を放ち,... 遂に全部落百余戸を灰燼に帰せしめ,また,悲鳴をあげて逃げ迷う,老少婦女を捕らえて,背に藁束を縛し,これに火を放ちて焼死せしむるなぞ,すこぶる残虐を極めたり。このとき,即死十八人,うち男十一人,女七人。」
Bookcover 依存症がとまらない (講談社文庫) [a]
衿野 未矢 / 講談社 / 2006-01
日曜夜の夕食後に読んだ。

読了:01/23まで (NF)

2006年1月17日 (火)

Bookcover 「野宿者襲撃」論 [a]
生田 武志 / 人文書院 / 2005-12
釜ヶ崎でホームレス支援活動をやっている人が書いた本。ちょっとわかりにくいところもあるけど,良い本だと思った。
 90年の西成暴動のとき,投石する人のなかに10代の少年が混じっていたんだそうで,その彼らとの連帯を築き得なかったことが悔やまれる由。「いまぼくたちが中学・高校で『野宿者問題の授業』をやっているのは,すくなくともぼくにとっては『釜ヶ崎についての内容と,いわば連帯の呼びかけのビラ』を10年遅れで撒く行為なのである」のだそうだ。
Bookcover 「ニート」って言うな! (光文社新書) [a]
本田 由紀,内藤 朝雄,後藤 和智 / 光文社 / 2006-01-17
著者三人の分担執筆。ニート概念は有用でないし,雇用側の問題を隠してしまうという弊害がある。必要なのは労働市場の再設計だ(本田)。ニート問題に代表される青少年へのネガティブ・キャンペーンはある種の全体主義だ(とかなんとかそういう話。内藤)。ニートにまつわる言説の整理と分析(後藤)。小杉礼子や玄田有史がばんばん批判されていて,本田由紀って人は労働研究機構の出身じゃないの?それって同僚批判じゃん,とびっくり。
 なんといってもこの本のハイライトは,後藤さんという東北大の学生が書いた章。サンデー毎日とアエラと読売ウィークリーでどうちがうかとか,朝日の「声」欄投書における年齢別ニート観とか。すごく面白かった。

 とはいえ,読んでいてちょっと複雑な気分にもなった。
 たとえば,「子どもの学力が低いのはその子の親のせいだ」という言い方が,もしも教育政策の文脈でまかり通るならば,それはまさに犯罪的だ。そのいっぽうで,たとえば学校の先生がPTAの会合で「みなさん,お子さんに学力を身につけさせるためにこれこれこういう配慮をしてくださいな」と言うとしたら,それにはそれなりの意義がある。その先生を捕まえて,あなたは学力差の背後にある諸問題を個人化することによって社会構造の変革から人々の目をそらせているんですよ,なんて糾弾しても仕方がない。
 ニート対策を巡る議論にも,社会構造に由来する問題を個人化・脱社会化してしまうという弊害が,なるほど確かにあるだろう。しかし,いま「うちの子がよう働かんような人になったらどないしよう」と焦る親御さんを目の前にしたら(焦らせたのは正当かという問題は横に置くとして),なにか個人レベルで実現可能な,多少なりとも役に立ちそうな方策について語らねばならんだろうなあ,と思う。そういう文脈では,たとえば中学生の職業体験をお薦めするというのは,まともな種類の議論だといえるのではなかろうか。

読了:01/17まで (NF)

2006年1月15日 (日)

Bookcover ニッポンの課長 (講談社文庫) [a]
重松 清 / 講談社 / 2006-01-13

Bookcover 死刑はこうして執行される (講談社文庫) [a]
村野 薫 / 講談社 / 2006-01-13

読了:01/15まで (NF)

2006年1月 8日 (日)

Bookcover 日本人の歴史意識―「世間」という視角から (岩波新書) [a]
阿部 謹也 / 岩波書店 / 2004-01-20
数年前に半分ほどで放り出していた本。なんだか偉い学者の道楽のような気がしたし,よくある日本人特殊論の一変形としか思えなかったのである。今回読み直してもその印象は残っているんだけど,でもとても面白かった。年を食うと日本人論が好きになるというのは一般的傾向だと思うので,ひょっとすると俺も年を取ったのやも知れぬ。
 Grausという人はこう書いているのだそうだ。歴史学は歴史的神話(過去を絶対化して歴史と自己とを関連づけようとする試み)に対して敗北を重ねてきた。しかし子細にみるとそこには分業があった。歴史学はその独自な戦場で,歴史神話に対してその要素が誤りだということを示し,いっぽう「歴史的神話もその活動分野を限定し,学校で教えられる知識を馬鹿にして歴史学者に事実の探求を任せ,歴史神話は歴史家がなおざりにしてきた歴史の追体験に集中し,証明も批判もなしに歴史を追体験し,感情に訴え,過去にある種の意味を与え,歴史の中でいつかは真実が勝利するようにと願う人々の関心に答えている。」(なるほどなるほど。身につまされますね。)「人々がしばしば歴史的神話の虜になるのは愚かさのためではなく,歴史の意味を確かめようとする心からの要請があるからなのである」。だから歴史学は(そして他の社会科学は),事実の位置づけだけに留まっていてはならず,個人や社会に意味を与えるという貢献をすべきだ。
 話はここから,Grausのいう歴史学とはちがう,日本の歴史学の構想へと向かっていくのだが,そっちのほうは,うーん,わかるようなわからないような感じだ。もう何冊かきちんと読んでみたいんだけど,この先生の本は山のようにあるので困る。
Bookcover ワイルドグラス―中国を揺さぶる庶民の闘い [a]
イアン ジョンソン / 日本放送出版協会 / 2005-12
昨日の帰りに読了。農民の集団訴訟,北京のフートンの破壊,法輪功への弾圧の話。面白かった。
Bookcover 囲い込み症候群―会社・学校・地域の組織病理 (ちくま新書) [a]
太田 肇 / 筑摩書房 / 2001-12
出版時(2001年)にほぼ読了していたのだが,最近読み直していた。さきほど読了。

読了:01/08まで (NF)

2005年12月30日 (金)

Bookcover ヨーロッパ中世の宇宙観 (講談社学術文庫 (999)) [a]
阿部 謹也 / 講談社 / 1991-11
論文・講演集。軽めの内容なんだけど,数頁めくるたびにあれこれ考えてしまって,なかなか前に進めなかった。

読了:12/30まで (NF)

2005年12月26日 (月)

Bookcover ラッセルのパラドクス―世界を読み換える哲学 (岩波新書 新赤版 (975)) [a]
三浦 俊彦 / 岩波書店 / 2005-10-20
昨夜の風呂でほぼ読了。そうやって気楽に読んでる分には楽しいが(なんというか,分析哲学の本には巧まざるユーモアのようなものを感じることが多い),頁を閉じて真面目に考えてみると,なんだかよくわからなくなる。
 特に,センスデータをめぐる議論にはもう全くついて行けない。心理学出身の人は皆そうなるんじゃないかと思うのだが,うーん,どうなんだろう。

読了:12/26 (NF)

2005年12月24日 (土)

Bookcover 西武事件 「堤家」支配と日本社会 [a]
吉野 源太郎 / 日本経済新聞社 / 2005-05-22
とても強い既読感があるのだが,なぜだろう。雑誌連載時に読んでいたのだろうか?
Bookcover 定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫) [a]
三戸 祐子 / 新潮社 / 2005-04-24
「フジタ未来経営賞受賞」。そんな時代もあったなあ,とためしに検索してみたら,この賞自体はまだ続いているらしい。へー。
Bookcover 丸山眞男の時代―大学・知識人・ジャーナリズム (中公新書) [a]
竹内 洋 / 中央公論新社 / 2005-11
丸山真男についての知識社会学的検討。面白くないわけがない,という内容である。この著者の前書(「日本の近代 vol.12」)に,丸山と吉本隆明の話がいささか不自然なくらいに長く取り上げられていて,不思議に思っていたのだが,こういう本を書くつもりだったのか。

読了:12/24まで (NF)

2005年12月 4日 (日)

Bookcover 人格障害をめぐる冒険 [a]
大泉 実成 / 草思社 / 2005-11
エッセイ。別に読まなくてもよかった。
Bookcover 新しき日本のかたち [a]
加藤 紘一 / ダイヤモンド社 / 2005-11-18
鬼面人を驚かすような主張もなく,平凡なくらいにまともな内容で,今やかえって価値があると思った。
Bookcover 津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫) [a]
筑波 昭 / 新潮社 / 2005-10

読了:12/04まで (NF)

2005年11月26日 (土)

Bookcover 悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982)) [a]
森 達也 / 岩波書店 / 2005-11-18

読了:11/26まで (NF)

2005年11月16日 (水)

Bookcover 刀狩り―武器を封印した民衆 (岩波新書 新赤版 (965)) [a]
藤木 久志 / 岩波書店 / 2005-08-19
面白かった。

読了:11/16 (NF)

2005年11月15日 (火)

Bookcover テレビの黄金時代 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2005-11-10
帰りの電車と大戸屋で読了。

読了:11/15 (NF)

2005年11月14日 (月)

Bookcover ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層 (角川文庫) [a]
産経新聞取材班 / 角川書店 / 2002-03

読了:11/14 (NF)

2005年11月13日 (日)

Bookcover ニッポンの単身赴任 (講談社文庫) [a]
重松 清 / 講談社 / 2005-10-14
この著者,質の高い仕事を量産し続けている。どうやって時間を作っているのだろうか。

読了:11/13まで (NF)

2005年11月10日 (木)

Bookcover 西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書) [a]
加藤 徹 / 中央公論新社 / 2005-09
昼休みと行き帰りの電車で読了。これは面白かった。良かった,助かった。

読了:11/10まで (NF)

2005年11月 6日 (日)

Bookcover 9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言 [a]
ジム・ドワイヤー,ケヴィン・フリン / 文藝春秋 / 2005-09-13

Bookcover 島原の乱 (中公新書) [a]
神田 千里 / 中央公論新社 / 2005-10
風呂で一気読み。島原でキリシタン勢力に荷担しない村は「日本宗の村」と呼ばれたそうだ。へえー。
Bookcover チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く [a]
横村 出 / 岩波書店 / 2005-07-29
書くのを忘れてた。確か先週読んだ本。

読了;11/06まで (NF)

2005年10月30日 (日)

Bookcover アウシュヴィッツ収容所 (講談社学術文庫) [a]
ルドルフ・ヘス / 講談社 / 1999-08-10
アウシュヴィッツ収容所の所長が絞首刑になる前に書いた手記(ナチス高官のヘスとは別人)。内容は異様だが,要するに官僚の苦労話であった。

読了:10/30 (NF)

2005年10月21日 (金)

Bookcover ハードワーク~低賃金で働くということ [a]
ポリー・トインビー / 東洋経済新報社 / 2005-07-14
イギリスのジャーナリストが貧乏人に化けて職探しした体験記。著者はガーディアンのコラムニストで,どうやらめっさ高名な人らしい。なんだか悪趣味だなあと思いながら読み始めたのだが(朝日新聞の記者が職歴を偽って職安に通うというルポを書くようなものだろう),なかなか良い本だった。文章からユーモアが失われていない点も大きいが,日本よりも社会階層が目に見えやすい国柄だからかもしれない。

読了:10/21まで (NF)

2005年10月17日 (月)

Bookcover プーチニズム 報道されないロシアの現実 [a]
アンナ・ポリトコフスカヤ / NHK出版 / 2005-06-25

読了:10/17

2005年10月16日 (日)

Bookcover こちら本の探偵です (ちくま文庫) [a]
赤木 かん子 / 筑摩書房 / 2005-09-07
ずっと気になっていた本だったのだが,このたびめでたく文庫化。ずいぶんポップな文章に驚いたが,もう20年も前の本なのであって,この人の今の文章とは違っていて当然だろう。
Bookcover 誘拐 (ちくま文庫) [a]
本田 靖春 / 筑摩書房 / 2005-10-05
読み始めてすぐに強い既読感が。文春文庫版の時に読んだんじゃなかろうか。やれやれ。
Bookcover アルジャジーラ 報道の戦争すべてを敵に回したテレビ局の果てしなき闘い [a]
ヒュー・マイルズ / 光文社 / 2005-08-24

読了:10/16まで (NF)

2005年10月 6日 (木)

Bookcover 階級!―社会認識の概念装置 [a]
渡辺 雅男 / 彩流社 / 2004-01
階級概念は必要だし有効だ。マルクスはえらかった。所有と支配の制度化が階級社会を制度化する。というような本。ふうん。勉強になりました。
Bookcover ナショナル・ストーリー・プロジェクト [a]
/ 新潮社 / 2005-06-29
ぱらぱら読んでいたので,全部読んだかどうか定かでないのだが,読んだことにしよう。
Bookcover 「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム [a]
松谷 明彦 / 日本経済新聞社 / 2004-05
この本は面白かった。人口構造の違いが世の中の仕組み自体を変えるという話。こういっちゃなんだが,大変にエキサイティングな内容であった。それにしても,都市は放棄され荒廃しかねないし,所得の二極分化は進むし,希望が持てる将来像にはみえないんだけど。

Bookcover 下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書) [a]
三浦 展 / 光文社 / 2005-09-20
書くのを忘れていた。マーケッターの人が書いた本。議論は雑だけど,なんだか面白いデータを持っている(階層意識と「自分らしさ志向」の関係が団塊と団塊Jr.で逆転する,とか)。せっかくだから,もうちょい見せ方を工夫した方がいいんじゃないかと思った。クロス表をグラフにするとか。

読了:10/06まで (NF)

2005年9月26日 (月)

Bookcover 噂の女 [a]
神林 広恵 / 幻冬舎 / 2005-09
「噂の真相」誌デスクの回想記。良いタイトルだ。
Bookcover はい、泳げません [a]
高橋 秀実 / 新潮社 / 2005-06-23
これは良い本であった。「中年男が水泳を習いに行く」というだけのエピソードが,なぜかとても面白いノンフィクションになっている。こういうユーモラスだけど抑制の利いた文章は,どうやったら書けるようになるのだろうか。

読了:09/26まで (NF)

2005年9月 4日 (日)

Bookcover 戦後責任論 (講談社学術文庫) [a]
高橋 哲哉 / 講談社 / 2005-04-09
内容の大半は加藤典洋「敗戦後論」への批判。論理的には説得されちゃうんだけど,「敗戦後論」から受けたまさに「腑に落ちる」ような感覚はいまだに強く残っていて,なんだか引き裂かれるような気分である。
Bookcover 靖国問題 (ちくま新書) [a]
高橋 哲哉 / 筑摩書房 / 2005-04
この本,売れているらしい。世の中捨てたものじゃないですね。
Bookcover 恨ミシュラン (上) (朝日文庫) [a]
西原 理恵子,神足 裕司 / 朝日新聞社 / 1997-10
Bookcover 恨ミシュラン (下) (朝日文庫) [a]
西原 理恵子,神足 裕司 / 朝日新聞社 / 1997-10
別に2005年になって読むほどの本じゃあないなあ。
Bookcover 鳥頭対談―何を言っても三歩で忘れる (朝日文庫) [a]
群 ようこ,西原 理恵子 / 朝日新聞社 / 2001-10

Bookcover 誤読日記 [a]
斎藤 美奈子 / 朝日新聞社 / 2005-07-15

Bookcover 響きと怒り―事件の風景・事故の死角 [a]
佐野 眞一 / 日本放送出版協会 / 2005-08

Bookcover 物情騒然。―人生は五十一から〈4〉 (文春文庫) [a]
小林 信彦 / 文藝春秋 / 2005-04

Bookcover 自民党を壊した男小泉政権1500日の真実 [a]
読売新聞政治部 / 新潮社 / 2005-06-16
新聞の政治欄を延々と読むようなもので,少し辟易した。

読了:09/04まで (NF)

2005年7月16日 (土)

Bookcover NHK――問われる公共放送 (岩波新書) [a]
松田 浩 / 岩波書店 / 2005-05-20
受信料拒否の広がりによって,NHKが築き上げてきた最良の部分までもが失われてしまうのは国民的損失である由。そりゃそうでしょうけど,一般市民にできることといったら,金を払わないことくらいだもんね。

読了:07/16

2005年7月 9日 (土)

Bookcover 希望―行動する人々 (文春文庫) [a]
スタッズ ターケル / 文藝春秋 / 2005-05

読了:07/09

2005年7月 8日 (金)

Bookcover ヒトラー 最期の12日間 [a]
ヨアヒム・フェスト / 岩波書店 / 2005-06-21
買ってきたその晩に一気読み。所詮趣味なんだから,こういう乱暴な読み方はもうやめたいんだけどなあ。

読了:07/08

2005年7月 6日 (水)

Bookcover 終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ (集英社新書) [a]
木村 元彦 / 集英社 / 2005-06-17

読了: 07/06 (NF)

2005年7月 1日 (金)

Bookcover 囚われの少女ジェーン―ドアに閉ざされた十七年の叫び [a]
ジェーン エリオット / ソニーマガジンズ / 2005-06

Bookcover 家計からみる日本経済 (岩波新書) [a]
橘木 俊詔 / 岩波書店 / 2004-01-20
この本はいつ読み終えたんだっけ? 数日前後するかもしれない。

読了:07/01

2005年6月29日 (水)

Bookcover 虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ [a]
高橋 伸夫 / 日経BP社 / 2004-01
成果主義は間違っている。動機づけの期待理論には説明力がない。大事なのは内発的動機づけだ。日本型年功制は素晴らしい。という本。
 ビジネス書の常として,自慢話あり無駄話ありのエッセイ風読み物に仕立てられているのだが,さすがに一線の研究者が書いただけあって,読み応えがあった。
 とはいえ,なにぶん不勉強なもので,いろいろ疑問も残った。(1)成果主義が全部間違っているというのはいいとしても,日本型年功制が一番正しいことにはならないのではないか。年功制への不満はすべて制度の運用の問題に帰着する(つまり,制度自体の問題ではない)んだそうだが,運用が大変な制度というのはそれなりの問題があるのではないかしらん。「上司は親身で丁寧な評価を心がけよう」というアドバイスでは,答えにならないと思う。(2)これはこの本にとっては本筋じゃないんだろうけど,正社員の雇用体系の話ばかり聞かされても,なんだかなあ,と思ってしまう。「見通し」があることが大事だといわれても,非正規雇用にはそもそも見通しなんてないわけだし。うーん,なんだか脱力してきた。

読了:06/29

2005年6月26日 (日)

Bookcover 北朝鮮「虚構の経済」 (集英社新書) [a]
今村 弘子 / 集英社 / 2005-06

読了:06/26 (NF)

2005年6月21日 (火)

Bookcover 幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来 [a]
児玉 博 / 日経BP社 / 2005-06-03
先ほど2時間弱で一気読みした本なので,細かいところはわからないが,どうもつくりが雑だ。なぜ同じエピソードが何度も繰り返されるのだろう?

読了:06/21

2005年6月18日 (土)

Bookcover 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて [a]
佐藤 優 / 新潮社 / 2005-03-26
これは大変に読ませる本だった。立派な仕事をしている人たちは大変ですね。

読了:06/18 (NF)

2005年6月15日 (水)

Bookcover 御家騒動―大名家を揺るがした権力闘争 (中公新書) [a]
福田 千鶴 / 中央公論新社 / 2005-03

読了:06/15まで (NF)

2005年6月11日 (土)

Bookcover 雨の日と月曜日は (新潮文庫) [a]
上原 隆 / 新潮社 / 2005-05

読了:06/11まで (NF)

2005年5月30日 (月)

Bookcover 声をなくして [a]
永沢 光雄 / 晶文社 / 2005-05-01

読了:05/30 (NF)

2005年5月29日 (日)

Bookcover 聖の青春 (講談社文庫) [a]
大崎 善生 / 講談社 / 2002-05-07
床屋に行った帰りに書原で買って,一気読み。参った。

Bookcover アマゾン・ドット・コムの光と影 [a]
横田増生 / 情報センター出版局 / 2005-04-19
ちょっと焦点が絞れていないような不思議な内容なんだけど,ひとつの証言として貴重だと思った。

読了:05/29 (NF)

2005年5月26日 (木)

Bookcover 将棋の子 (講談社文庫) [a]
大崎 善生 / 講談社 / 2003-05-15
大戸屋で晩飯を喰うついでに駅前で買い,家に帰ってから寝転がって読み進めていたのだが,途中から涙と鼻水で読めなくなってしまった。若い奴にはわかるまい。

読了:05/26

2005年5月25日 (水)

Bookcover ドキュメントヴェトナム戦争全史 (岩波現代文庫―社会) [a]
小倉 貞男 / 岩波書店 / 2005-04-15
中越紛争の時の人民解放軍は文字通りの人海戦術で,地雷原であろうが徒歩で押し寄せてくるもので,歴戦のベトナム兵が震え上がったそうだ。

読了:05/26 (NF)

2005年5月 5日 (木)

Bookcover 働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書) [a]
ロナルド・ドーア / 中央公論新社 / 2005-04-25
「学歴社会」を書いたあのドーア先生の講演録を元にした本。大変に勉強になった。途中でノート取ろうかと思ったくらい。
たとえば「労働市場の柔軟性は外部的柔軟性と内部的柔軟性とにわけて考えることができて云々」とか,「市場個人主義制度の下で人は市場個人主義者にならざるを得ない」なんて書いてあるのを読むと,いままでなんとなく感じていたことを整理してもらえたような,なんだか急に頭が良くなったような気がするのである。学問って素晴らしい。

しかし顧みるに,しょせん俺の読書はこれどまりなわけで,こういう街の「新書知識人」としてこれから生きていくのだなあ,と思うと,しみじみと切ない。ま,誰もがなりたいものになれるわけではないし,ありふれた話なのだが,それが自分の問題となると,また別である。

読了:05/05

2005年5月 4日 (水)

Bookcover 世界化するパレスチナ/イスラエル紛争 (新世界事情) [a]
臼杵 陽 / 岩波書店 / 2004-05-27
ながらく風呂の友としてめくっていたのだが,さきほど読了。

読了:05/04 (NF)

2005年5月 1日 (日)

Bookcover 最新版 法人資本主義の構造 (岩波現代文庫) [a]
奥村 宏 / 岩波書店 / 2005-01-18
経済とか会計とか皆目わからんので,半分理解できたかどうかも怪しいところだけど,それなりに得るところもあった。本来,株式会社はほかの会社の株を持ってはいかんものだったそうである。ふーん。
 こんな本を読んだのも,ホリエモンの件がきっかけである。ありがたいことだ。

読了:05/01

2005年4月28日 (木)

Bookcover センチメンタル ダイエット [a]
高橋 秀実 / アスペクト / 2005-04-26
駅前で買って,エクセルシオールで一気読み。こんなテーマでも,力のある人が書くと面白くなるのだ。

読了:04/28 (NF)

2005年4月25日 (月)

Bookcover 検証 経済暗雲-なぜ先送りするのか [a]
西野 智彦 / 岩波書店 / 2003-07-16
帰りの電車などで,何日かかけて読了。別に日本経済のことについて学んでも仕方ないんだけど,まあいいか。

読了:04/25

2005年4月24日 (日)

Bookcover セックスエリート―年収1億円、伝説の風俗嬢をさがして [a]
酒井 あゆみ / 幻冬舎 / 2005-03
元風俗嬢による,いわゆる"私"ノンフィクション。取材以前の問題があれこれ大変で,取材協力者の同居人に殴られたり空港で土下座させられたり,取材相手に深い憎悪を抱いたりなんだり。

読了:04/24

2005年4月 7日 (木)

Bookcover いのちの食べかた (よりみちパン!セ) [a]
森 達也 / 理論社 / 2004-11-19
たしかこの日に,書原で買ってその晩読了。

4/1の初出社以来,それなりに大変な毎日であった。ろくに本を読めないのも,まあしかたがない。

読了:04/07

2005年3月24日 (木)

Bookcover ドキュメント ダイエー落城 [a]
日本経済新聞社 / 日本経済新聞社 / 2004-12-07
頼む,順を追って説明してくれえ。

Bookcover それがどうした―静と理恵子の血みどろ絵日誌 (角川文庫) [a]
伊集院 静,西原 理恵子 / 角川書店 / 2005-03-25
晩飯に大戸屋へ出かけたついでに買って一気読み。ギャンブルのことは皆目わからんので,読むところがない。

読了:03/24

2005年3月23日 (水)

Bookcover ドキュメンタリーは嘘をつく [a]
森 達也 / 草思社 / 2005-03
昼間から布団に潜り込んで一気読み。もうできなくなるのね,こういうことも。。。

読了:03/23

2005年3月22日 (火)

Bookcover 怪しいお仕事!―儲けたいなら、頭を使え。 (新潮OH!文庫) [a]
北尾 トロ / 新潮社 / 2001-07
銀行に行ったついでに書原で買い,南大沢ドトールで一気読みした。
いちばん感心したのは,競馬予想会社のノウハウのくだり。(1)架空口座を準備した上でDMを出す。封筒・紙質・文面に細心の注意を払い,「拝啓,突然お手紙をお送りし云々...。JRAの馬主中心的体質に愛想を尽かしました。個人的にデキレースを告発したいのですが,別業種で仕事をはじめるための資金が欲しい。3万円でお教えします」この金額は割安感があるんだそうで,最初は400通打って50人客がついたそうだ。(2)で,ここが面白いのだが,客を4分割し,各群に異なる買い目を教える。(3)4つもあればひとつは当たる。当たった群の客はすっかり信じ込み,次のレースの情報には10万でも出す由。へええ。

読了:03/22

2005年3月20日 (日)

Bookcover みんな土方で生きてきました [a]
日野 勝美 / 新風舎 / 2005-02
疲れて眠れず,仕方なくめくっていて読了。土木作業がこんなに細分化されているとは知らなんだ。

Bookcover オブジェクト指向でなぜつくるのか―知っておきたいプログラミング、UML、設計の基礎知識― [a]
平澤 章 / 日経BP社 / 2004-06-03
これはしばらく前に読んだ。OOPの説明に比喩が乱用されている,という指摘が大層面白かった。

読了:03/19

2005年3月15日 (火)

Bookcover 淋しきカリスマ堤義明 [a]
立石 泰則 / 講談社 / 2005-01
会計の話になると,もうさっぱりついて行けない。こんなことでこれからやっていけるのかしらん。

読了:03/15 (NF)

2005年3月14日 (月)

Bookcover トラウマの国 [a]
高橋 秀実 / 新潮社 / 2005-02-15
絶対に面白い!と虫が知らせて,急いで手に入れた本。果たしてとても面白かったけれども,表題作は表層的なスケッチに終わっていて,ちょっぴり肩すかし,という感じだった。

Bookcover 超激辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?―中央公論買収の裏側、三一書房ロックアウトの真相 [a]
井家上 隆幸,安原 顕,永江 朗 / 編書房 / 1999-06
中公の身売りと三一争議を中心にした,出版界裏話。品がないなあ,などとつぶやきながら,楽しく読了。安原顕という人は,さぞや敵が多い人であったことだろう。

Bookcover オーケストラの職人たち (文春文庫) [a]
岩城 宏之 / 文藝春秋 / 2005-02
それはそれで面白いんだけど,昔のエッセイと比べると,年を取ったなあ,と感じる。

読了:03/14まで (NF)

2005年2月23日 (水)

Bookcover クリプキ―ことばは意味をもてるか (シリーズ・哲学のエッセンス) [a]
飯田 隆 / 日本放送出版協会 / 2004-07
クリプキの紹介ではなく,「ウィトゲンシュタインのパラドクス」の紹介であった。 それにしても,この人の書く本はどうしてこんなにわかりやすいんだろう。

Bookcover 安心のファシズム―支配されたがる人びと (岩波新書) [a]
斎藤 貴男 / 岩波書店 / 2004-07-21

Bookcover 与太郎戦記 (ちくま文庫) [a]
春風亭 柳昇 / 筑摩書房 / 2005-02-09
文庫化されなかったら読まなかったなあ。有り難いことだ。 続編があるらしいぞ。

Bookcover 大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか [a]
高木 徹 / 文藝春秋 / 2005-01-15
案の定面白かったのだが,情報源が主に日本人で,そのへんに偏りがあるかもしれない。

読了:02/23まで (NF)

2005年2月14日 (月)

Bookcover 靖国 [a]
坪内 祐三 / 新潮社 / 1999-01
ちょっとがっくり。どうも,アカデミックな分析のない本には点が辛くなってしまう。一種の病気かもしれない。
Bookcover 新宿歌舞伎町 マフィアの棲む街 (文春文庫) [a]
吾妻 博勝 / 文藝春秋 / 1998-09

読了:02/14まで (NF)

2005年2月 4日 (金)

Bookcover エリック・ホッファー自伝―構想された真実 [a]
エリック ホッファー / 作品社 / 2002-06
買ったきり積んでいた本。いやいや,このようにありたいとは思うが,ちょっと俺には無理だなあ。

Bookcover 信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書) [a]
谷口 克広 / 中央公論新社 / 2005-01

Bookcover 黙って行かせて [a]
ヘルガ・シュナイダー / 新潮社 / 2004-10-28
うーん。これは良い本なのかなあ。

Bookcover 中華曼陀羅(チャイナ・マンダラ)―変わる中国、変わらない中国 (岩波現代文庫) [a]
辻 康吾 / 岩波書店 / 2004-12-16
軽い読み物。

Bookcover A2 [a]
森 達也,安岡 卓治 / 現代書館 / 2002-03

Bookcover セックスボランティア [a]
河合 香織 / 新潮社 / 2004-07-01

Bookcover 『仁義なき戦い』をつくった男たち―深作欣二と笠原和夫 [a]
山根 貞男,米原 尚志 / 日本放送出版協会 / 2005-01
ちょっと水増し感があるけど,笠原和夫のノートの写真だけで満足。

Bookcover ブレアのイラク戦争―イギリスの世界戦略 (朝日選書) [a]
梅川 正美,阪野 智一 / 朝日新聞社 / 2004-12

Bookcover ある首斬り役人の日記 (白水Uブックス) [a]
フランツ・シュミット / 白水社 / 2003-12-11

読了:02/04まで (NF)

2004年12月23日 (木)

Bookcover はたらく若者たち―1979~81 (岩波現代文庫) [a]
後藤 正治 / 岩波書店 / 2004-11-16

Bookcover 代官の日常生活 (講談社選書メチエ) [a]
西沢 淳男 / 講談社 / 2004-11-11

Bookcover 武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書) [a]
伊勢崎 賢治 / 講談社 / 2004-12-18
この本はとても面白かった。

Bookcover 愛か、美貌か―ショッピングの女王〈4〉 (文春文庫) [a]
中村 うさぎ / 文藝春秋 / 2004-12

Bookcover ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか [a]
杉山 春 / 小学館 / 2004-11

Bookcover 19歳―一家四人惨殺犯の告白 (角川文庫) [a]
永瀬 隼介 / 角川書店 / 2004-08

Bookcover 物は言いよう [a]
斎藤 美奈子 / 平凡社 / 2004-11-10
読み終えてから延々と考えたんだけど,一言でいうと,啓蒙というスタイルは戦略として間違っていると思う。さようなら斎藤美奈子。いつかまたファンに戻れる日も来るだろう。

読了:12/23 (NF)

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