2005年度講義サポートページ > 武蔵大学「情報科学」 >

資料探索の手引き

2005.05.15更新

■ テーマを絞り込む

短い時間で有意義な内容を発表するためには,テーマをある程度絞り込む必要があると 思います。自分の関心と資料の集めやすさを勘案して,より具体的なテーマを 設定するとよいと思います。

「インターネットとマスメディア」という問題について考えてみましょう。 たとえば「多くの新聞社がインターネット上で ニュースを無料配信しています」という事柄を報告するだけでは, あまり有意義ではないと 思います。しかし,「インターネット上での無料ニュース配信の普及によって, 現代のジャーナリズムがどのような影響を受けているか」という問題は, 非常に重要で興味深い事柄だと思います。 このように,テーマを具体的なものに絞り込むことで, より有意義な発表ができるようになります。

[Advice] テーマを絞り込む作業は,資料探しと並行して進めていけばよいと思います。 非常に面白いテーマでも,資料がないと,発表は難しいからです。

■ 資料を探す

今回の発表は,単に「調べてきて発表する」という趣旨のものです。自分のオリジナルな 見解も,新しい実証的データも求められていません。ですから,よい資料を手に入れることが 発表の成否を決めます。

どのテーマも,日本語でよい参考書籍が手に入るものばかりです。できるかぎり網羅的な 探索を心がけて下さい。多くの場合,それぞれのテーマには,重要な文献が存在します。

たとえばオープンソース運動について知るには,エリック・レイモンド『伽藍とバザール』 は必読です。また,ニューラル・ネットワークについて少しでも調べたなら, ラメルハート他『PDPモデル』という本が重要であることがすぐにわかります。 この本を読むかどうかは別にして(『PDPモデル』は難しいので,もっと入門的な本を探した方が いいと思います),この本の存在自体を知らないというのは問題外です。

必要な資料を一度にかき集めるのは大変ですし,役に立たない情報ばかりが集まってしまい, かえって困るかもしれません。 手に入れた資料にごく簡単に目を通し,そのなかで紹介されている 資料を探す,というように,芋づる式に探していくとよいと思います。

[Advice] 資料の探索は,学問研究に限らず,社会人にとっても基本中の基本です。 はじめて経験する方のために,ごく簡単なアドバイスをお贈りします。
  • 本屋で探す...近所の中小規模の書店で探してもらちがあきません。 電車代がかかっても,品揃えのよい大きな書店を数軒回るのが,結局は早道です。
  • 図書館で探す...もっとも便利なのは大学図書館です。でなければ,都立中央図書館 のような大規模な図書館が助けになります(国立国会図書館は,書籍の探索にはあまり 向いていないので,おすすめできません)。多少専門的な事柄について調べる場合には, 近所の図書館はあまりあてにできません。
  • ネットで探す...いまやネット上の情報の検索は,資料探索に不可欠な武器となっています。 私がよく利用しているサイトには,次のようなものがあります。