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2005年10月10日 (月)

順序変数yが個人特性ηを測定しているとしよう。 ηのもとでyがc番目のカテゴリより上に落ちる確率P(y≧c|η)は, 比例オッズモデルなら
  P(y≧c|η) = F[(カテゴリcの下側の閾値)+(傾き)×η]
と表現するところだし,IRTなら
  P(y≧c|η) = F[(識別力)×(個人特性η-(カテゴリcの困難度))]
と表現するところだが,いったん連続的な潜在反応変数
  y* = (切片ν) + (因子負荷λ)×(個人特性η) + (誤差ε)
を考えてやって,
  P(y≧c|η) = F[(y* - カテゴリcの下側の閾値τ_c) / (誤差εのSD)]
と表現しても同じことである。ここでy*は,yの背後にある実質的に意味のある変数だと考えてもいいし,ただの計算上の道具だと割り切ってもかまわない。
 y*は潜在変数だから,平均0,分散1と考えるのが普通だ。その場合は
  (切片 ν) = 0
  (因子負荷 λ の二乗) × (ηの分散 ψ) + (誤差の分散 θ) = 1
となる。でも,別にy*の分散は1でなくてもいいわけで,たとえばθが1だと考えたっていい。そこで,
  Δ = 1 / (y*のSD)
をスケール・ファクタと呼ぶことにする。スケール・ファクタは,λとψとθをコミにしてあらわしたものである。単群の分析であれば,どんな値に決めても構わない。ここまでは,まあいいや。
 これが多群の分析となると,話がややこしくなってくる。群によってλだかψだかθだかがちがってくる,と考えないといけないからだ。そこで,ふたつの路線が登場する。ひとつは,ある群のy*の分散を(つまりスケール・ファクタΔを)1にして,ほかの群のΔを推定する,という考え方で,これをdelta approachという。このアプローチの背後には,どうせ誤差分散θは群間でちがうんだからどうでもいいや,という考え方がある。いっぽう,誤差分散θがちがうかどうかに関心がある場合には,ある群のθを1にして他の群のθを推定する,という考え方もできる。これをtheta approachという。
 モデルの推定上は前者のほうが都合が良いんだそうな(簡単だからだろうか)。

以上,Mplus Web Notes #4 より。カテゴリカル変数をつかったSEMについてわかりやすく説明したものが見つけられなくて困っていたのだが,これを読んでやっと少しだけ理解できた。Muthenさんの説明はなんでこんなにわかりやすいのだろうか。お菓子でも送りたい気分だ。

雑記:データ解析 - カテゴリ変数をつかったSEMでの多群分析