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2009年2月10日 (火)

Temme, D. (2006) "Assessing measurement invariance of ordinal indicators in cross-national research." in Diehl, S., & Terlutter, R. (eds.) "International Advertising and Communication: Current Insights and Empirical Findings." pp. 455-472. Gabler.
 仕事の都合で読んだ。順序変数が指標になっているモデルの測定不変性を検討する方法について悩んでいたら,sem-netでまさにその質問をしている人がいて,Millsap&Tein(2004)とともにこの論文がお勧めされていた。とても急いでいたので,購入申請を出し,この章だけPDFを買い,プリンタが吐き出してくるその横で大急ぎで読んだ。論文を見つけてから読み始めるまで5分足らず。あっちこっち図書館を探したりするのが馬鹿馬鹿しくなってしまう。

 多母集団のSEMで測定不変性を検討する手順としては,まず因子負荷に群間等値制約を置いたモデルと置かないモデルを比較するのが普通だと思う。前者が勝って(metric invariance)なおかつ因子平均を比較したいときになってはじめて,項目の切片に群間等値制約を置こうかどうしようか(scalar invariance)という話になる。んじゃないでしょうか。
 指標が二値変数や順序変数のときは,項目の切片のかわりに閾値が登場するが,metric invarianceの検討にあたっては,因子負荷と閾値の両方について考えないといけない。MplusのマニュアルやサポートBBSを読んでいると,かのMuthen導師は閾値と負荷は常にタンデムで扱うべきだと強硬に主張しておられる。等値制約するんなら両方そうしなきゃいけないし,自由推定するんなら両方そうしなきゃいけない,ということだ。カテゴリカルSEMの日本語の解説はなかなか見当たらないんだけど,豊田本(疑問編)の説明もそんな風な感じだった。
 IRTでいうところの項目曲線は,SEMでいうところの閾値と負荷のどっちかが変わるだけで変わってしまうわけだから,まあそういうもんかなあ,という気もする。しかし,これはなかなか不便な話だ。プラクティカルにいえば,完全な測定不変性が確保できなくても,特定の項目について部分的に等値制約を緩め,なんとかpartial invarianceに辿り着きたいというのが人情である。その際,緩和するパラメータはなるべく少なく済ませたい。それに,もし閾値だけ等値なまま負荷だけ自由推定できたら,群間での負荷のちがいについて解釈しやすいではないか。
 導師夫妻には怒られちゃうかもしれないけど,この論文によれば,そういう手順もアリなんだそうである。ただし直観に反して,まず負荷に群間等値制約を置いて閾値の不変性を検討し,次に閾値に群間等値制約を置ける項目について負荷の不変性を検討する,という順序が良いのだそうだ。実際の分析例でも,閾値も負荷も群間等値な指標,閾値が群間等値で負荷がちがう指標,閾値がちがって負荷が群間等値な指標の3つが混在したCFAモデルをつくってみせている。へー。
 ともあれ,Muthen&Asparouhov(MplusのWeb Note 4),Millsap&Tein(2004), Glockner-Rist&Hoijtink(2003),あたりがこの話題の基本文献であることがわかった。読まないといけないなあ。たぶん読まないけど。

 あれこれ悩んだせいで締め切り間際になってしまい,会社に泊まりこむ羽目になってしまった。その後の週末にたっぷり寝たんだけど,なんだか疲れが取れない。そういうお年頃なのである。

論文:データ解析(-2014) - 読了:02/10まで (A)