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2010年6月 2日 (水)

Bookcover 全体主義 (平凡社新書) [a]
エンツォ・トラヴェルソ / 平凡社 / 2010-05-15
2001年にフランスで刊行された全体主義研究のアンソロジーの序文を膨らませたものが,イタリアで一冊の本となり,これはその翻訳だそうだ。近代の政治思想における「全体主義」概念の変遷を辿る,という内容であった。
 第二次大戦前後,欧米の反ファシズム運動はスターリニズムを批判できなかった(ジョージ・オーウェルや,トロツキストや,空気を読まない少数の例外を別にして)。しかし,ソビエト体制への「盲目の隷属状態という罪を負わされた反ファシズムをまえにして,全体主義への真のアンチテーゼとして,政治的に明快で歴史的に無垢な自由主義を対置させることは,1945年以降の堅固な西欧民主主義を戦間期に投影する回顧的な幻想でしかない。」「ムッソリーニやヒトラーの独裁がかつての自由主義的秩序から生じたのであれば,どうして自由主義をかかげて闘うことができるだろう。」「王党派,ブルジョア,さらに多くに知識人をふくめた[...]イタリア自由主義の主要な流れは,すべてファシズムの側に立ったことを忘れてはいけない。ウィンストン・チャーチルやアメリカの自由主義者が,ムッソリーニを賞賛していたことを[...]忘れてはいけない。プロシアのエリートたちが,1930年から33年にかけて,簡単に彼らの自由主義を投げ捨て,ヴァイマールの民主主義を破壊し,ヒトラーの手に権力をにぎらせたのを忘れてはいけない。1938年のミュンヘン会談の妥協と,スペイン内戦傍観の政策もまた忘れてはいけない。」「ヨーロッパ大陸の自由主義政党のもとでは,ナチズムにたいしてどのような大衆運動も実質的な抵抗も望めないがゆえに,スターリニズムを批判することが控えられたのである。」 なるほど。。。

ノンフィクション(-2010) - 読了:「全体主義」