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2011年7月11日 (月)

Bookcover 消費社会の魔術的体系 (明石ライブラリー) [a]
ジョージ リッツア / 明石書店 / 2009-04-09
リッツァという人は,社会科学分野で大ヒットした「マクドナルド化」という概念とともに生きる,なんというか一発屋的な社会学者なのかと思っていたのだが,実はエライ人だったんですね。存じ上げませんでした。
 この本はそのリッツァさんが書いた,現代消費社会論概説といった感じの本。マルクスにウェーバー,ボードリアールにギ・ドゥボールまで,使える理論はなんだって使いますという折衷的な態度で,平易に書かれた本であった。
 先日読んで感銘を受けたジュリエット・ショアの消費社会批判について,過剰な消費について人々に反省を促しても世の中変わりゃしないでしょう,人々を消費に駆り立てる構造に目を向けなければ... と書いている。確かにそれはそうなんだけど,でも,社会分析としての正しさと社会変革の駆動力とはちょっと別の問題で,世の中を変えるのは往々にして構造が見えてない人の声なんじゃないか,とも思う。「アンクルトムの小屋」は奴隷解放問題に大きな影響を与えたそうだが,ストウ夫人がアメリカ南部の社会構造に深く思いを致していたかどうかはわからない。その場に冷静な社会学者がいたら,いや奴隷制度はこの社会に深く組み込まれているのであり,そこだけ取り出して批判してもしょうがないですよ... などといったのではなかろうか。

哲学・思想(2011-) - 読了:「消費社会の魔術的体系」

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