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2012年10月 3日 (水)

Haaijer, R., Kamakura, W., Wedel, M. (2001) The 'no-choice' alternative in conjoint choice experiments. International Jounal of Market Research, 43(1), 93-106.
 離散選択型コンジョイント・モデルで「どれも選ばない」選択肢をどう扱うか、あれこれ考えていたらだんだん混乱してきちゃったので、頭を整理するために他のを脇にどけて急遽読んだ。基礎ができていないと、これだから、もう。

 著者らいわく、「どれも選ばない」の扱い方には2種類ある。

後者のモデルはむやみにややこしくなっちゃうんじゃないかと思ったが、案外そうでもない。まず、「どれか選ぶ」ネスト内のモデルは通常の選択モデルと変わらない。「どれも選ばない」ネスト内の選択モデルはいらない。ネスト n の選択確率は,ネストn' 内の全選択肢の効用の総和をV_{n'}として、
 P(n) = exp(\lambda V_n) / \sum_{n'} exp(\lambda V_{n'})
となる。\lambdaをdissimilarity coefficientと呼ぶ由 (これが 1 ならば通常の多項ロジットモデル)。というわけで、パラメータは 1 つしか増えていない。「どれも選ばない」つき多項ロジットモデルと同じである。

 2つの実データセットについて、「どれも選ばない」つき多項ロジットモデル、入れ子型多項ロジットモデル、ふつうの多項ロジットモデル(「どれも選ばない」選択肢はすべての属性のダミー変数を 0 にして表現する)、の3つを比較。当然ながら、ふつうの多項ロジットモデルは歪む (線形推定している属性があるときは特に)。どちらのデータセットでも、「どれも選ばない」つき多項ロジットモデルの適合度が良かった由。

 著者らいわく、「どれも選ばない」つき多項ロジットモデルがよいか、入れ子型多項ロジットモデルがよいかは、回答者が「どれも選ばない」選択肢を選んでいる理由によって決まる。回答者がまずどれか選ぶかどうかを決め、次にどれを選ぶかを決めている場合は、入れ子型多項ロジットモデルがよい。いっぽう、回答者がどれも魅力に感じないせいで「どれも選ばない」を選んでいる場合には(もしくは、選ぶのが難しくて「どれも選ばない」に逃げている場合には)、「どれも選ばない」つき多項ロジットモデルがよい。逆に言えば、両方のモデルを当てはめて適合度を比較すれば、回答者がどっちの方略を用いているのかについての示唆が得られる。。。とのこと。
 うーむ、筋は通っているけど、ちょっと思弁的な感じがする。それって実証できる話じゃないですかね。選択課題とプロトコル分析を組み合わせるとかで。

論文:データ解析(-2014) - 読了:Haaijer, Kamakura & Wedel (2001) 選択型コンジョイント分析における「どれも選ばない」選択肢の扱い方

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