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2014年11月19日 (水)

LaBarbera, P.A., Mazursky, D. (1983) A longitudinal assessment of consumer satisfaction/dissatisfaction: The dynamic aspects of the cognitive process. Journal of Marketing Research, 20(4), 393-404.
 顧客満足(CS)の生成とその効果を、複数回の購買にわたって縦断で調べた研究。いまなんでこんなの読んでんだかわかんないんだけど、かなり前に途中で忙しくなって中断したままになってた奴で、整理がつかないので、仕方なく。

 CS研究の先達Oliverさんいわく、満足ってのはexposure前後の(たとえば購入前後の)態度変容のメディエータである、と。では、その満足ってのはどうやって決まるか。80年代、Oliverさんは心理学の順応水準理論でもって満足を説明しようと提案した。過去の経験が順応水準を形成しているというわけである。(←順応水準!! なんとまあ、懐かしい... 私が学部生のときでさえ、いまなんでこんな勉強をせねばならんのかと思った話題だ。古色蒼然、なんていったら叱られちゃうかしらん)
 満足を説明する別の枠組みとしては比較水準理論がある(←Thibaud & Kelley. 社会的交換理論ってやつね。またもや古い話を...)。満足は結果と比較水準の乖離から発生し、比較水準を修正する、というわけである。

 (以下、怪しげな数式風表記が頻出して頭が痛くなってくるのだが...)
Oliverさんなり、Howard&Shethモデルなりに基づいていえば、時点 t における態度水準を ATT_t, 消費における満足の水準を SAT, 再購入意向を I_t として、
 I_t = f(I_{t-1}, SAT, ATT_t)
である。しかしSATとATTが区別できるかどうかについては諸説あるので、ここではもっと単純に、次のように考えよう。購買行動を表すカテゴリ変数をP_tとして、パス図は
 I_{t-1} → P_t → SAT → I_t → P_{t+1}
つまり
 P_{t+1} = f(I_t, SAT, P_t, I_{t-1})
意図の変化は満足の関数で、満足は事前の意図の関数なので
 I_t = g_1 (I_{t-1}, SAT)
 SAT = g_2 (I_{t-1})
ブランドのリピート購買者を P_{t+1} = RP, スイッチ者をP_{t+1} = SWとする。前者のほうが再購入意向も満足も高かろう、よって
 \bar{I}_t | RP > \bar{I}_t | SW
 \bar{SAT}_t | RP > \bar{SAT}_t | SW
 \bar{I}_t | RP > \bar{I}_t | SW
再購入意図はRPで高くなりSWで低くなるだろう、よって
 \bar{I} | RP > \bar{I}_{t-1} | RP
 \bar{I} | SW > \bar{I}_{t-1} | SW
再購入意図の差はどんどん開くだろう、よって
 (\bar{I}_t | RP) - (\bar{I}_t | SW) > (\bar{I}_{t-1} | RP) - (\bar{I}_{t-1} | SW)

 消費者を電話でリクルートし、5か月間にわたって隔週で調査を掛ける。当然どんどん脱落していくわけで、180名からはじめて最後まで残ったのは87名。各調査では、ティッシュ、コーヒー、洗剤など日雑24カテゴリのうち3つについて、現使用ブランドとか満足とか再購入意向とかを訊いた。うちマーガリン、コーヒー、トイレットペーパー、ペーパータオル、マカロニについて分析。同一カテゴリを2期連続で購入した2568ケースを分析する(←ヒトは無視するのか... 荒っぽい手口だ...)。
 結果。ブランドスイッチ者よりもリピート購買者のほうが、再購入意向、満足、一期前の再購入意向が高い。再購入意図はリピート購買者で上がりブランドスイッチ者で下がる(果てしなく t 検定を繰り返しておられる...昔はよかったねえ)。で、カテゴリごとにパスモデルを組んだり、なんだり...。
 ほか、満足が購買に効くかといった分析をやっているけど、嫌になっちゃったのでパス。
 考察。満足は意図や行動の変化のメディエータになっている。云々。

 いやー、つくづく体質に合わないタイプの研究であった。とにかく仮説の立て方が気色悪くて、途中でついていけなくなった。せっかくのパネルデータなのに、なぜretrospectiveな仮説(結果で原因を条件づけた仮説)を立てるのだろうか。素直に、「満足度が高いとリピート購買確率は上がるか」と云う風に問えばいいじゃん? 行動が違う群を一緒にするわけにはいかない、という発想なのかもしれないけど...
 そんなこんなで、読んだとは到底言い難いのだが、すいません、ご縁がなかったということで。

論文:マーケティング - 読了:LaBarbera & Mazursky (1983) 顧客満足の縦断研究