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2014年11月19日 (水)
村山航 (2012) 妥当性:概念の歴史的変遷と心理測定学的観点からの考察. 教育心理学年報, 51, 118-130.
ちょっと用事があって目を通した。かなり前に(前の前の勤務先の頃)、テスト学会のイベントで、著者による妥当性についての講演を拝聴したことがあって、大変勉強になったのだが、たぶんあの講演の論文化だと思う。
いくつかメモ:
- 妥当性のtrinitarian view (「妥当性には基準関連妥当性、構成概念妥当性、内容的妥当性の3つの側面があります」説)への対抗として、Messickの「妥当性ってのは構成概念妥当性だ」説が出てきたのだが、この観点からいえば、たとえば測定結果が他の集団に一般化できるかというような側面も構成概念妥当性のひとつなわけで、つまり信頼性も妥当性の証拠のひとつになる。
- いわゆる帯域幅-忠実度ジレンマに直面して、「多少信頼性が低くなっても幅広く項目を集めようぜ」ということがあるけど(あるある)、因子分析モデルに照らして考えるとおかしい。だって独自性を除去して共通分散だけみるわけだから。この手続きが悪いってわけじゃないけど、それを正当化するロジックを考えるのが難しいのである(←うむむむ...??? そうなのか...)。かんたんな解決策はないけど、構成概念は事前にできるだけ明確に定義しておいた方がいい。
- たいていの調査項目はメトリックがarbitraryで、構成概念と回答がどう対応してるのかはっきりしない(「満足だ」と「やや満足だ」がどうちがうのか誰にもわからない、という話である)。ってことは、たとえば交互作用がみつかってもそれは特性曲線のせいかもしれんわけである。こうした尺度の不定性の問題も妥当性のひとつの側面である(←あー、なるほど...)
Borsboomさんという、Messick流の構成概念妥当性概念をきつーく批判している人がいるけど(この人、なかなか面白いのだ)、2009年のSEM誌に"Educationnal Measurement" 4th ed. の書評という形で批判を書いているらしい。ちょっと読んでみたい。いや、待て、その後に出た著書が積んだままになっているような気が...
論文:データ解析(-2014) - 読了:村山 (2012) 妥当性研究レビュー