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2015年1月14日 (水)

Chen, M. & Bargh, J.A. (1999) Consequences of automatic evaluation: Immediate behavioral predispositions to approach or avoid the stimulus. Personality and Social Psychology Bulletin, 25(2), 215-224.
 潜在態度測定のひとつにapproach-avoidance test (AAT)っていうのがある。誰も指摘していないから不安になるんだけど、あれって身体化認知そのものだと思うのである。というわけで、AATの元の研究を探しているのだけど、いまいちはっきりしない。たぶんこれだと思うんだけど...

 態度-行動の関係についての研究は山ほどあるが、行動の側は意識的に選択されていると想定してきた点で共通している[←そうなんですか...?]。本研究は非意識的な態度が非意識的な行動に影響すると提案する。
 対象を与えるだけで態度が自動的に活性化されることはすでに指摘されている。puppyをプライムにして形容語へのgood判断を速くする、とか。自動的態度活性化が弱い態度でも生じるかという点については議論があって、私らは意識的関与が低い課題なら弱い態度でも生じると考えておる[略... Barghという人はもともとこういう研究をしていたらしい。へー]。思うに、自動的態度活性化というのは刺激の評価が意識的に処理されていないときの適応的バックアップなのではないか。
 さて、自動的評価が影響するものといえばなんでしょう。そう、接近回避傾向ですよね[←そういわれても...]。昔は態度ってのは行動傾性だといわれたものです[...と、古い話が延々続く。略]。というわけで、自動的態度が接近回避傾向に影響すると考えるのは筋が通ってます。
 先行研究として、腕の運動が刺激への態度に影響するという実験はある(Cacioppo, Priester, & Berntson, 1993JPSP; Forster & Strack, 1996JPSP)。本研究はその逆です。また、大昔にOsgoodの弟子のSolarzという人が、単語が好きかどうかの判断をレバー操作でやると、好き反応は引く操作、嫌い反応は押す操作で速い、と報告している[←へええええ! Solarz(1960JEP)]。本研究はその追試からはじめます。

 実験1. 学生42名。画面にモノの名前を提示し、good/badをレバーでなるべく速く答えさせる。92試行。要因はレバー押しの方向:good-badが{pull-push(一致), push-pull(不一致)}、被験者間操作。結果:不一致のほうが遅い (270msくらい差がある)。態度の強度(刺激を事前に分類してある)との交互作用はない。
 実験2. こんどは評価の側を非意識的にする。学生50名。とにかく単語が出たらバーを倒させる[非単語を入れたりはしてないらしい。ちゃんと読んでくれているんだろうか]。92試行。要因はレバー押しの方向:{pull,push}、被験者内操作(前半と後半で切り替える)。結果: positive刺激はpull, negative刺激はpushで速い。刺激強度との交互作用はない[←図をみるとすごく交互作用がありそうなんだけど、強度が弱い方で一致性の効果が大きいので、強度に媒介されているわけではない]。

 論文を通して、態度と運動の一致性の効果を態度の強度が媒介しているかどうかと云う論点に何度も触れている。この話がどういう意味を持つのかいまいちよく理解できていない。研究上のいきさつがある模様。

論文:心理 - 読了:Chen & Bargh (1999) あなたの態度は腕に出る

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