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2006年1月 8日 (日)
日本人の歴史意識―「世間」という視角から (岩波新書)
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阿部 謹也 / 岩波書店 / 2004-01-20
数年前に半分ほどで放り出していた本。なんだか偉い学者の道楽のような気がしたし,よくある日本人特殊論の一変形としか思えなかったのである。今回読み直してもその印象は残っているんだけど,でもとても面白かった。年を食うと日本人論が好きになるというのは一般的傾向だと思うので,ひょっとすると俺も年を取ったのやも知れぬ。
Grausという人はこう書いているのだそうだ。歴史学は歴史的神話(過去を絶対化して歴史と自己とを関連づけようとする試み)に対して敗北を重ねてきた。しかし子細にみるとそこには分業があった。歴史学はその独自な戦場で,歴史神話に対してその要素が誤りだということを示し,いっぽう「歴史的神話もその活動分野を限定し,学校で教えられる知識を馬鹿にして歴史学者に事実の探求を任せ,歴史神話は歴史家がなおざりにしてきた歴史の追体験に集中し,証明も批判もなしに歴史を追体験し,感情に訴え,過去にある種の意味を与え,歴史の中でいつかは真実が勝利するようにと願う人々の関心に答えている。」(なるほどなるほど。身につまされますね。)「人々がしばしば歴史的神話の虜になるのは愚かさのためではなく,歴史の意味を確かめようとする心からの要請があるからなのである」。だから歴史学は(そして他の社会科学は),事実の位置づけだけに留まっていてはならず,個人や社会に意味を与えるという貢献をすべきだ。
話はここから,Grausのいう歴史学とはちがう,日本の歴史学の構想へと向かっていくのだが,そっちのほうは,うーん,わかるようなわからないような感じだ。もう何冊かきちんと読んでみたいんだけど,この先生の本は山のようにあるので困る。
ワイルドグラス―中国を揺さぶる庶民の闘い
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イアン ジョンソン / 日本放送出版協会 / 2005-12
昨日の帰りに読了。農民の集団訴訟,北京のフートンの破壊,法輪功への弾圧の話。面白かった。
囲い込み症候群―会社・学校・地域の組織病理 (ちくま新書)
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太田 肇 / 筑摩書房 / 2001-12
出版時(2001年)にほぼ読了していたのだが,最近読み直していた。さきほど読了。
ノンフィクション(-2010) - 読了:01/08まで (NF)