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2006年3月 2日 (木)

Bookcover 夕べの雲 (講談社文芸文庫) [a]
庄野 潤三 / 講談社 / 1988-04-04
諸般の事情により,実生活にとって有益なものを読むのはやめにして,これからは小説だけを読むことにしたいと思う。とりあえず,昭和30年代デビューのいわゆる"第三の新人"あたりの作家の本を集中的に読んでみたい。というわけで,その第一弾。
 大変にのんびりした身辺雑記小説。なあんにも起こらない。息子の夏休みの宿題の話だけで数頁使う勢いである。
 今回の発見は,読む場所を選ぶ本というものがあるのだなあ,という点である。帰りの電車でシートに腰を下ろして読んでいる分には大変素晴らしい小説で,なんだか身体の芯から温められるような豊かさ(そして,時制がいまいちはっきりしないというかすかな気味の悪さ)に身を浸すことができる。しかし,つり革にぶら下がって揺れながら読んでいると,もう大変にイライラさせられるのである。あなた要点はなんですか,さっさと述べてください,と。
 周りを見回すと,電車の中で人々が読んでいる本は,司馬遼太郎,池波正太郎,宮部みゆきがベストスリーである。うーん,確かに。満員電車でも楽しく読めそうだ。
 しかし考えてみると,ある物語がちょっとした状況の違いで楽しめたり楽しめなかったりする,というのは妙なものだ。どっちみち電車の中なんだがら,認知的資源に大きな違いがあるわけではない。どういうことだろうか。

Bookcover 笹まくら (新潮文庫) [a]
丸谷 才一 / 新潮社 / 1974-08-01
第二弾,のつもりで買ったのだが,結局は並行して読んでしまった。
 きっと衒学的で長々しくて辛気くさくて旧かなづかいの長編小説だろう,と息を詰めるようにして読み始めたのだが,清新で鮮烈な,超一級のエンターティメントであった。いやあ,本は読んでみないとわからない。
 感心してばかりでも癪に障るのであれこれ考えるわけだが,昭和41年に書かれたこの小説を現代にずらすとすると,主人公にとっての徴兵忌避はなにに置き換えることが出来るだろうか。なにかきっとうまいアイデアがあると思うのだが(そういう普遍的な問題だと思うのだが),思いつかない。

フィクション - 読了:03/02まで (F)

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