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2007年2月12日 (月)

Bookcover 「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット) [a]
土井 隆義 / 岩波書店 / 2004-09-07
自己承認欲求の増大によって親密圏が肥大し対人関係がますます困難になっていく中,公共圏ではますます内発的衝動がそのまま表出されるようになっていく,云々。というような話であった。読んでから時間が経ったので忘れちゃったけど。
 この本は学校教育についての本ではないのだが,最後にちらっと,「心のノート」が批判的に言及されている。「そこには『自分の心に向き合い,本当の私に出会いましょう』といった文言が盛り込まれています。『自分の心』とは,『私』が『向き合う』客体であって,『本当の私』とは,そこで『出会う』先験的な実在とみなされているのです。しかし,私たちは,そのおかしさに早く気づくべきです。人間の成長を期待するものが教育である以上,それは『個性を生かす』ものではなく,『個性を伸ばす』はずのものだからです。」
 なるほどそりゃそうだね,と思う半面,仮に学校で配られる教科書に「個性とは社会化の過程において成立するものであって,他者を排除した『本当の私』など虚妄にすぎんのです」なんて書いてあったら,あらゆる同調圧力がそれによって正当化されるような気がして,それはそれでなんだか嫌な感じではある。要するに,どう書いてあったって,それなりに迷惑だ。
 まあどうでもいいや。関係者の方々には申し訳ないけど,いずれにせよ道徳教育というものは,大人の側の夢と欲望を反映した不毛な代物にならざるを得ないのだろう。

心理・教育 - 読了:02/12まで (P)

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