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2007年2月12日 (月)
しばらく終電が続いたという程度だから,客観的にはたいしたことがないのだが,主観的にいえば,ここんところ大変忙しく,大変疲れた。
なにが疲れるといって,喋れない英語で無理矢理喋らなきゃいけないのが疲れる。普段の倍,いや三倍は疲れる。周囲は皆喋れる人ばかり,英語話せずんばヒトにあらずという雰囲気の会社なので,ちょっとあなたたち!ワタシの苦労がわかんないでしょう!と八つ当たりしたくもなる。高野陽太郎の外国語効果の論文を配布し読ませたい心境である(外国語を使っているときは普段よりアタマが悪くなるのだそうです。英語でのミーティング中にワタシが馬鹿なことをいっても,それはワタシのせいではありません)。
とはいえ,カタコトで食ってかかってくる部下を持ったネイティブ・スピーカーのほうも随分な災難であろう。ずっと前に,日本語があまり上手くない中国人留学生となにか話さないといけない用事があって,その言葉遣いのめちゃくちゃさ,コミュニケーションの困難さに疲労し,本当に気持ちが悪くなったことがある。俺もきっと人々を混乱の淵に叩き込んでいるに違いない。いやいや,誠に申し訳ないことです。
SF映画などでは,首の後ろにジャックがついていて,そこにフランス語のメモリスティックを刺すと途端にフランス語が喋れるようになったりする(ウィリアム・ギブソンあたりが初出だろうか)。夢の機械だが,生きているうちには手に入らないだろう。
なんだか悲しくなってくるので,行き帰りの電車では詩集を読んでみたりして,この味わいは日本語話者でなければわかるまいなどと自分を慰めるのだが,考えてみればロシア人のナボコフは英語で「ロリータ」を書いたのだし,日本にもアーサー・ビナードのような詩人がいるわけで,やっぱり気が休まらない。
雑記 - カタコトの悲劇