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2007年6月17日 (日)
売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門 (新潮新書)
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山本 直人 / 新潮社 / 2007-06
仕事の足しになるかと思って,マーケティング論やらブランド論やらの本を買い込んではめくってみるのだが,その質の高低に関わらず,さっぱり面白みを感じないのである。そんなの別にどうでもいいじゃん,良い商品をつくっていればいずれは売れるよ,なんてついつい白けてしまう。これは俺の側に問題があって,要するに,自社の売り上げに一喜一憂した経験がないからであろう。
そんなこんなで最近は,その種の話題にいい加減うんざりしていて(いいのかそんなことで),この本も全く期待せずに買った。著者は広告代理店から独立したばかりの40代で,そのへんも期待を引き下げる要因であった(フリーになったばかりの人が書いた本はくだらないことが多いと思う。ただの営業上の名刺にすぎないからだろう)。
ところが予想に反し,これはなかなか面白い本であった。中身は薄くて,30分で読めてしまうけれど,ただの自慢話ではなく,各章の主旨が明確で,筋がとおっている。著者は博報堂の研究開発にいたひとだそうで,なるほど,会社員を舐めてはいけない。
アサヒビールの「ビールは鮮度」キャンペーンの時期に,「あなたはビールを選ぶときに鮮度を重視しますか?」「では,世間の人は鮮度を重視していると思いますか」という調査を縦断でやったら,まず後者の問いにYesと答えたひとが増え,次に前者で増えたのだそうだ。うーん,シブイ調査だ。ここから著者らは,購入時重視点ではなく,もっと動的な「争点」という概念を提案した由。マスメディアによるagenda-settingのことを言っているのであろう。
マーケティング - 読了:06/18 (M)