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2007年8月 9日 (木)

 仕事のメールに対して家から律儀に返信したら,呆れた上司様いわくrelax, the most important thing is you come back looking like 18 years old againとのこと。いくらなんでもそりゃ難しいが,努力しましょう,という言い訳の下,休み中に読むはずであった本も論文も放り出し,講義とその準備のほかはひたすら脱力して過ごしている。
 webを眺めていたら,今年のカンヌ国際広告祭の結果が発表されているのに気が付いた。別に広告業界と御縁があるわけではないのだが,webページで一定期間だけ公開されるフィルム部門受賞作を眺めるのが例年の楽しみである。いくつか見落としてしまい後悔することが多いので,今年は頑張って,きちんと端から順に全部観た。ああ,これが俺の夏休みなのか。。。

 今年のグランプリはUnilever Doveの,美女の顔が作成されていくやつ。俺でさえ勤め先の同僚に転送したくらいだから,これはずいぶん有名なものにちがいない(youtubeでの再生回数は400万回を超えている)。しかし,てっきりクチコミのみのキャンペーンなのかと思っていたので,フィルム部門での入賞はちょっと意外であった(このキャンペーンはサイバー部門でもグランプリを取っている)。考えてみれば,バイラルビデオとTV放映用CFを厳密に区別するのは難しいわね。
 自販機の内側で悪夢的ファンタジーが広がる奴がグランプリになるのではないかと思っていたのだが,こちらは銀賞であった。
 日本の受賞作は,松下電工(学生が乾電池で有人飛行機を飛ばす。博報堂)しかないようだ。それが悪いことかどうかはわからないけど。この世界の花形はもはやフィルムではないのかもしれないし。

 いつも感心するのは,広告にあらわれる彼我のちがいである。たとえばDoveのビデオにしても,その面白さはわかるけれども,Unileverがこのキャンペーンを行うことの社会的な意味が,いまひとつ実感できないのである。美の感覚がマスメディアによって作られている,というのはわかる。でも,その対概念としてのreal beautyというのがよくわからないし,それをDoveブランドが称えるというところがもっとわからない。
 資生堂TSUBAKIの「日本の女性は美しい」だって,なぜいまそんな話になるのか,アメリカ人にはさっぱりわかるまい。グローバル化にも限りがあるというべきか,それともグローバル化によって些細な違いが大きく見えるというべきか。まあどうでもいいけどさ。

雑記 - ああ夏休み・広島死闘篇

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