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2007年10月21日 (日)
君たちに明日はない (新潮文庫)
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垣根 涼介 / 新潮社 / 2007-09-28
ここんところいろいろしんどいことが多いので,気晴らしに手に取った。リストラを題材にした会社員小説。この著者の本ははじめて読んだのだが,話の進め方や会話の描写が実に手馴れていて,きっと他の本もハズレがないだろうな,という感じである。
言い寄ってきた年下の男にちょっぴり心揺らいでいるキャリアウーマンが,きっとこいつの車はスポーツカーだろうなあ,なんて密かに品定めしていたら,実際にはダイハツのナントカという変わった車で,ちょっと意表をつかれて。。。とか。あるいは,待ち合わせ場所に歩いてくる相手の服装をチェックし,男の性格についてあれこれ考えるあたりとか。
小説でこういう描写にさしかかるたびに,世の中の人はこういうことを考えて暮らしているのか,きっと彼ら・彼女らからみれば俺はさぞやマヌケなアホなんだろうなあ,と感じ入る。誰がどんな車に乗っていたって俺には全然区別できないし(あ,ハンドルが右ですね,外車ですか。ってなもんだ),相手がどんなおしゃれをしていようが,悪いけど俺には全く弁別できない。ふとした立ち居振る舞いや口調に隠された情報を人々が敏感に捉えているとき,俺は「ここにいる全員が一斉に屁をこいたら引火して危険かなあ」などと考えているのである(実際俺はそういうことで始終考え込む)。この小説でいえば,対人スキルゼロ,ひたすら開発中の製品のことだけ考えているおもちゃメーカーの技術者が出てくるが,俺はかなり彼に近いと思う。おかしいなあ,いったいどうしてこんなことに。。。
フィクション - 読了:10/21まで (F)