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2007年11月 1日 (木)

Bookcover 沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫 [a]
/ 新潮社 / 1999-07-28

Bookcover 知られざる証言者たち―兵士の告白 [a]
太平洋戦争研究会 / 新人物往来社 / 2007-07

Bookcover 枢密院議長の日記 (講談社現代新書) [a]
佐野 眞一 / 講談社 / 2007-10-19

 ちょうど大本営参謀・瀬島龍三についての本を読んでいるときに風邪を引いた。鼻水,寒気,それから頭痛。
 俺は特に強健でも病弱でもないが,熱を出して寝込むとものすごい悪夢をみるという特徴があって,だから風邪のなにがコワイといってあの長い長い夜が怖いのである。たしか最初の経験は学生時代で,卒論提出の数日前の夜,チョムスキーがホワイトボードの前に立ち,お前の卒論はくだらない,本当にくだらない,犯罪的にくだらないからその激しい頭痛は決して治ることがないし朝も決してやってこない,いますぐ根本的に反省し生まれたあたりからやりなおしなさい,と論理的に説明してくれた(日本語で)。明け方になって,ちがうこれは妄想だ,頭が割れそうなくらいに痛いのは風邪を引いているからだと気が付いたときには,安堵で身体中が溶けそうになった。
 妄想の内容はそのとき考えていることに強く影響される。だから戦中戦後史の本を読んでいるときに風邪を引くのはいかにも具合がわるい。掛け布団を重ねて寝込んだところ,旧満州でソビエト軍に追われながら女性と子どもを次々に刺し殺し,最後は自分も。。。という夢を見始めて,これはいかん,いま寝るわけにはいかん,と青ざめた。
 で,布団に潜り込んでかわりに手にとったのが「知られざる証言者たち」という本で,これは戦中体験の聞き書きではあるものの,ちょっとくだけた内容なので(戦艦大和ではいかに男色が多かったか,とか),具合がいいんじゃないか,と思ったのである。間違っていました。ガダルカナル島の密林を舞台にした,ちょっとここでは文字に出来ない,とんでもない内容の夢をみました。
 運悪く,枕元に積んであるのはたまたま現代史の本ばかりだった。そのなかでは最も気楽そうな,記録魔の宮内官僚が残した膨大な日記についての本を読んだ。面白い本だったが,学習院大のキャンパスで家柄の良い青年たちに取り囲まれ,徹底的に馬鹿にされる夢をみた。
 本棚から探すとしても,アカデミックな本やビジネス書はもちろん論外である。布団に座り込み途方に暮れた末,思い切って起き出して,四コママンガの傑作「OL進化論」(既刊27冊)を手当たり次第に読みまくり,ようやく短い眠りを得た。秋月りすさんに心から感謝。お歳暮でも送りたい心境である。
 

日本近現代史 - 読了:11/01まで (CH)

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