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2007年12月 9日 (日)
中国戦線はどう描かれたか―従軍記を読む
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荒井 とみよ / 岩波書店 / 2007-05-11
林芙美子を中心に,従軍作家の文章について論じた本。著者はもう退官した先生らしくて,本のスタイルは研究書というよりエッセイに近い。軍部のチアリーダーと化した林芙美子に対して,しかし複雑な共感を隠さないところが興味深かった。
最終章はまさにエッセイという感じの内容で,朝日新聞の投稿歌壇のとある常連さんの作品に心惹かれ,その人が従軍の記憶を歌った投稿作を日々メモし続けたあげく,ついに新聞社を通じてその人(佐藤文夫さんという人)に連絡をとってしまうのである。その作例:「帰還してやさしかりしは久里浜の砂なり老いて踏みにゆきたり」
日本近現代史 - 読了:12/09まで (CH)