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2008年2月10日 (日)
昭和天皇 (岩波新書)
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原 武史 / 岩波書店 / 2008-01-22
昭和天皇の,特に祭祀を司る王としての側面に焦点を当てた本。面白かった。ビックス「昭和天皇」を読んでいたときにも思ったのだけど,税金払っているわりには,我々は天皇について案外なにも知らないものだ。
貞明皇太后(昭和天皇の母)は大変に宮中祭祀を重視しており,第二次大戦の戦況悪化とともにますます神懸かり,天皇はそれに反発しながらも引きずられていったのだそうだ。天皇の自然科学者としての側面と祭祀への熱意とはいっけん矛盾するようだが,著者によれば,生物学者が宗教に関心を持つのは珍しい事ではない由。
昭和天皇独白録では,講和を目指した理由として,伊勢神宮・熱田神宮が米軍の制圧下におかれたら三種の神器が守れなくなると思ったから,と述べられている箇所がある(臣民を救う,なんていうのは二の次である。もちろんそういうものであろう)。戦後すぐに伊勢神宮に参拝した際の皇后の記録には,参拝して「親しく事のなりゆきをわびさせられ」。。。というくだりがあるのだそうだ。昭和天皇は戦争について,結局は誰にも謝罪しなかったといわれているが,ご先祖に対してはまた違ったんですね。
日本近現代史 - 読了:02/10まで (NF)