2008年3月 9日 (日)
Little, R.J.A., Vartivarian, S. (2005) Does weighting for nonresponse increase the variance of survey means? Survey Methodology, 31(2), 161-168.
いま手元にないのであいまいなのだが。。。無回答の補正のためになんらかの補助変数をつかってウェイトバックしたとき,統計量の偏りは減るが分散は大きくなる,と一般に考えられているが,一概にそうとはいえません,という内容であった。偏りが除去できるかどうかは補助変数と無回答との関連性によって決まり,分散がどうなるかは補助変数と集計対象の変数との関連性によって決まる,とのことである。なるほど,そうだろうなあという話だが,きちんと数式とシミュレーションで示してくれているので,勉強になった。
ここ数ヶ月,ずうっと調査データのウェイティングのことについて考えていた。あれこれ読みかじって改めて痛感したのは,俺には数学のスキルが圧倒的に足りない,ということであった。正直,これではいくら勉強したって埒があかない。これからどうやって生きていけばいいんでしょうかねえ。
いくら文献を読み漁ってもきりがないので,もうこれはこの辺にして別のことを考えよう,と金曜夜に決意した。散乱した資料を整理するついでに,あとで読むつもりだったこの論文に目を通した。雑誌はカナダの学会誌で,マイナー誌なので後回しにしていたのである。これを先に読んでおけばよかったなあ。
ウェイティングは偏りの除去のためにある,というのが直観的な理解だが,「集計対象の変数と強く関連しているが無回答とは関連しない」補助変数でウェイティングすると,無回答による偏りは除去できないが統計量の分散を小さくすることができるわけだ。実際の調査では,非回収誤差はしょうがないけど分散は小さくしたい,という不思議な状況も少なくない(トラッキング調査とか。とにかく経年で不安定なのが困る)。そんなとき,「ウェイティングによって非回収誤差を取り除きましょう」などと云いつつ,良さそうなデモグラフィック属性でツルッと事後層化ウェイティングを掛けてしまう,という方法も可能なわけだな。
この論文も含め,このたびウェイティングをめぐる議論を読んでいて不思議だったのは,みんな特定の調査変数の統計量を真値に近づけることばかり考えているという点だ。実際の集計では,ウェイト値はいったん決めたらすべての変数に対して用いるわけで,どの変数でもMSEがそこそこ小さい,というようなウェイト値が望ましいのではないかと思うのだが。。。まあそれは,俺の視野がそういう多目的的な調査に向いているからかもしれない。
論文:データ解析(-2014) - 読了:03/09まで (A)
ドリーミング・オブ・ホーム&マザー
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打海 文三 / 光文社 / 2008-02-21
昨年急逝した打海文三さんが,ブログで連載していた小説。
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)
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河合 太介,高橋 克徳,永田 稔,渡部 幹 / 講談社 / 2008-01-18
ノンフィクション(-2010) - 読了:03/09まで (NF)
エマ (3) (Beam comix)
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森 薫 / エンターブレイン / 2003-11-25
エマ (4) (Beam comix)
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森 薫 / エンターブレイン / 2004-05-26
エマ (5) (ビームコミックス)
[a]
森 薫 / エンターブレイン / 2005-03-31
エマ (6) (Beam comix)
[a]
森 薫 / エンターブレイン / 2005-08-31
エマ (7) (Beam comix)
[a]
森 薫 / エンターブレイン / 2006-05-25
すっかりはまってしまった。別にメイドさんに関心はないのだが,「無口で美人で眼鏡で照れ屋」というのは,かなりキますね。。。
ビームコミックス エマ 8巻(通常版)
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森 薫 / エンターブレイン / 2007-03-26
エマ 9巻 (BEAM COMIX)
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森 薫 / エンターブレイン / 2007-09-25
この二冊は番外編であった。
2008年3月 2日 (日)
あろうことか,このブログを経由した買い物が,先月はなんと5件も。いったいなにが起きたんだ。この分では,手数料収入で大金持ちになってしまう日も遠くない。
記念に,先月購入された品物を掲載しておこう。
Q&Aで知る統計データ解析―DOs and DON’Ts (心理学セミナーテキストライブラリ)
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繁桝 算男,森 敏昭,柳井 晴夫 / サイエンス社 / 2008-02
なんと2冊もお買いあげがあった。名著ではあるけれど,なぜにこの本が。このブログ,いったい誰が読んでいるのかしらん。
Rで学ぶデータマイニング〈2〉シミュレーションの視点から
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熊谷 悦生,舟尾 暢男 / 九天社 / 2007-10
Rによるデータサイエンス - データ解析の基礎から最新手法まで
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金 明哲 / 森北出版 / 2007-10-13
だれかがRの勉強をしようと決意したようだ。Rか。。。俺は数年前から毎日毎日,鬼のような勢いでSASを走らせているが,いまやユーザ数はRのほうが多いだろう。いずれはRに乗り換えねばならん日がくるのだろうか。面倒くさいなあ。
Kalita コーヒーミル KH-3 ... 不思議でしょうがないんだけど,なぜamazonでコーヒーミルを買うのかなあ? 実物を見なくてもかまわないのだろうか?
どなたか知りませんが,小銭を恵んで下さり恐縮です。amazonでマンションを買う人とかいないかしらん? その場合はぜひこのブログ経由で,ひとつよろしくお願い致します。
見よ、飛行機の高く飛べるを
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永井 愛 / 而立書房 / 1998-10
明治の女子師範学校を舞台に,女学生たちの青春の一断面を描いた戯曲。
近所に演劇科のある学校があって,ときどきそこの学生さんたちが公演をやっている。客席を埋めているのは父兄や友人や商店街の人々やらで,そののんびりした雰囲気がなかなかよい。どの子も概して下手なのだが,なにしろ二十歳かそこらの娘さんたちなので,よしよしがんばってね,などと暖かい目で見てしまう。やれやれ,年をとったなあ。そもそも「どの子も」と書いてしまう段階で非常におじさんくさい。
先日は永井愛のこの作品を演っていて,夕飯のついでに見に行ったのだが,これが意外にも(と,いっては失礼だが)大変に面白い芝居で,感銘を受けた。ストライキを企て挫折する下級生を演じた人の好演もあったのだが,これはやはり戯曲の力だろうと思い,単行本を手に入れて余韻に浸っている次第である。
読み返してみるとこれは奇妙な仕組みの話で,賢くて人望があって美しい娘がヒロインなのだが,終わってみると強く心に残るのは,変わり者の下級生のほうである。終盤で焦点が入れ替わってしまう。不思議だなあ。あとがきによれば,この物語は著者の祖母と市川房枝の交流から着想を得た由である。
女学生たちを抑圧する側の大人として,何人かの男性の教師が登場するのだが,どの男もそれぞれの葛藤や鬱屈を抱えている。彼らの浅ましさやせせこましさやいい加減さは,そのまま俺の姿でもある。学生さんたちの舞台では,教師たちは思い切りヒステリックだったり情けなかったり,完全に戯画化された姿で登場し笑いを誘っていた。ああいうところが,若さの持つ残酷さだなあ,と思う。
ビッグ・タウン (ハヤカワ ポケット ミステリ)
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ダグ・J. スワンソン / 早川書房 / 1996-02
ダラスを舞台にした犯罪小説。前半はちょっとロス・トーマスのようで,会話が生き生きとしていて面白かったが,途中でちょっと失速する感じだ。
悪魔という救い (朝日新書 (098))
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菊地 章太 / 朝日新聞社 / 2008-02-13
宗教史の先生による,カソリックでいう悪魔憑きについての読み物。悪魔払いの肯定的側面について思い入れが強すぎて,ちょっと引いてしまった。
ノンフィクション(-2010) - 読了:03/02まで (NF)
ドロヘドロ 11 (BIC COMICS IKKI)
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林田 球 / 小学館 / 2008-02-29
おさんぽ大王1 (ビームコミックス文庫)
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須藤 真澄 / エンターブレイン / 2008-02-23
おさんぽ大王2巻 (ビームコミックス文庫)
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須藤 真澄 / エンターブレイン / 2008-02-23
エンターブレイン(旧アスキーのエンタメ部門)がコミックスの文庫を創刊,その第一弾。
エマ (1) (Beam comix)
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森 薫 / エンターブレイン / 2002-08-26
エマ (2) (Beam comix)
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森 薫 / エンターブレイン / 2003-02
数年前に大ヒットしたマンガ。ついに手を出してしまった。考えてみたら,これもエンターブレインの雑誌だ。やるなあ。
強気な小心者ちゃん リターンズ!
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鈴木ともこ / メディアファクトリー / 2008-01-17