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2008年6月 3日 (火)

Gromping, U. (2007). Estimators of Relative Importance in Linear Regression Based on Variance Decomposition. The American Statistician 61, 139-147.
 相対的重要度についての論文。著者はRのrelimpというパッケージの作者でもある。
 Kruskal流のall subset regressionと,それを改善したというFeldmanのProportional marginal variance decomposition(PMVD)というアプローチを比較する。X1がX2を経由してYに影響しているとき(SEM風にいえば,X1に間接効果があって直接効果がないとき),X1はKruskal的な重要度は持つが,Feldmanのアプローチだと重要度が0になるのだそうだ。それはまあ,なんというか,良し悪しですわね。
 数学にはからきし弱いもので,Feldmanの提案の中身についてはさっぱりわからない。webで説明を公開しているが,査読論文ではない(この論文で引用されているのもdraftみたいなやつだ)。Feldmanさんに直接問い合わせてみたが(どうもありがとうございました),現時点でもそうらしい。これじゃ引用されにくいだろう,もったいないなあ,と思ったが,この方は自営の統計コンサルタントらしく,webには「PMVDによるヘッジファンドの分析をご提供します」などとハナヤカなことが書いてあるから,全然もったいなくないんだろうな。
 この論文には後にMenardという人がコメントを寄せていて,いわく,all subset regressionだのPMVDだのと大変な計算をしなくても,単に偏回帰係数×相関係数なりなんなりを重要度とみなせばいいじゃん,運悪く偏回帰係数が負になっちゃったら絶対値にすればいいじゃん,とのことであった。いやいや,いまそういう話をしてないでしょう,と笑ってしまったが(著者もコテンパンな感じの返答をしている),この人とてプロのstatisticianなわけであって。。。要するに,想定している課題状況がちがうんじゃないかと思う。

論文:データ解析(-2014) - 読了:06/03まで (A)

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