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2009年6月 8日 (月)
マンボウ恐妻記 (新潮文庫)
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北 杜夫 / 新潮社 / 2004-12-22
なんとなく手に取った。平成13年刊のエッセイ。出てくる人出てくる人,みんな故人で,存命なのは佐藤愛子くらい。なんだか胸が沈んでしまった。
俺はいまいち集中力に欠けるところがあって,個人全集を全部読んだといえるのは北杜夫と須賀敦子くらいだ。その北杜夫にしたところで,中学校の図書室にあった新潮社版・北杜夫全集は,いま調べたら77年刊らしいから,以後の作品は全く読んでいないことになる。よい読者とは言い難い。
「楡家」は別格として,いちばん好きなのは「白きたおやかな峰」なのだが,著者の回想によれば,これは躁の時期に書かれた失敗作なのだそうだ。良い小説だと思うんだけどなあ。
独断流「読書」必勝法 (講談社文庫)
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清水 義範,西原 理恵子 / 講談社 / 2009-05-15
これは別に読まなくてもよい本であった。。。
失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学
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メアリー・C・ブリントン / エヌティティ出版 / 2008-11-28
日本の高卒就職についての実証研究。著者は日本研究で有名な社会学者とのこと。
それほど親しいわけではない知人とのつながりが社会関係資本としては馬鹿にできないのだ,という文脈で,そういった中遠距離の関係のことを「ウィークタイズ」と呼ぶことがあるようだが,これはマーク・グラノヴェターという社会学者の論文から来ている言葉なのだそうだ。で,著者によれば,若者の職探しでウィークタイズが効くというのはアメリカの話であり,日本ではむしろストロングタイズや制度的ネットワーク(学校推薦とか)のほうが重要である由。ふうん。
農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書)
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高橋 五郎 / 朝日新聞出版 / 2009-02-13
上海新風―路地裏から見た経済成長
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谷口 智彦 / 中央公論新社 / 2006-09
著者が上海に数ヶ月滞在した経験をつづったエッセイ。
かつてはこういう本があったよなあ,と思う。著者は別に中国経済が専門でもなければ,中国語ができるわけでもない。このような極私的見聞録が出版されるのは,ただ著者が高名な著述家であるという一点にかかっているのだ。それはそれで面白い内容ではあったけれども,海外情報がアタリマエとなってしまった昨今では,珍しいタイプの本だなあ,と思った。
ノンフィクション(-2010) - 読了:06/08まで (NF)