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2009年7月13日 (月)
アフリカ 苦悩する大陸
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ロバート ゲスト / 東洋経済新報社 / 2008-05
アフリカの政治の惨状についてのノンフィクション。必要なのはとにかく自由貿易なのだ,という,いかにもエコノミストの記者らしい主張であった。ううむ。
人間を撮る―ドキュメンタリーがうまれる瞬間
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池谷 薫 / 平凡社 / 2008-05
数年前に,「延安の娘」という題名の,文革期の下放青年たちのその後を描いたドキュメンタリー映画を観て感銘を受けたことがあった。この本はその監督による手記。
この監督さんは「蟻の兵隊」という映画でも評判になった。観たいんだけど,レンタルビデオ屋にはないだろうなあ。。。
「延安の娘」で一番印象に残っているのは,下放先の延安に残留した人々の一人である,ある貧しい男の一人住まいの住宅内にカメラが入る場面だ。それは薄暗い洞窟のような,心まで冷え込むような殺伐とした住まいなのだが,不似合いな大きな木箱があって,中にはマルクスなどの専門書が積み重ねられている。それはいまとなっては何の役にも立たない,彼の青春の遺物なのだ。
で,この辺からうろ覚えなのだが,この人の住まいをもう一度訪ねると,誰かにもらったとかで,DVDプレーヤーつきの小さなテレビが据え付けられている。男は孤高の哲学者のような口調で言う。「音楽はいい。人を解放してくれる」 いったいどんな高邁な音楽を聴いているのか,と思いきや,それがなんというか。。。ドン・キホーテで500円のラジカセを買ったらおまけについてきた,というような,きわめて安っぽいポップス調のベートーベンなのである。あれには本当に参った。
ノンフィクション(-2010) - 読了:07/13まで (NF)