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2009年8月12日 (水)

Bookcover 最新・新宗教事情―カルト・スピリチュアル・おひとりさま [a]
島田 裕巳 / 勉誠出版 / 2009-07
元アイドル歌手が覚醒剤で捕まって。。。というニュースが世間を騒がせたが,失踪中の彼女が身を隠していたのは新宗教団体・真如苑の施設だ,という噂が流れ,施設の前にはテレビカメラが詰め掛けて大変だったそうである。ことの真相よりも,真如苑の名前がこういう文脈でマスメディアに流れた,という点に興味を引かれる。俺の印象では,この教団が日産の広大な工場跡地を取得したときも,国宝級の仏像を競り落としたときも,意外なほどに報道が少なかったように思う。これに限らず,新宗教の話はマスメディアではなかなか取り上げられないし,刑事事件にでもならないかぎり,腫れ物を触るような扱いだ。きっとオウム事件の影響が続いているのだろう。
 帯に真如苑の名前が挙げられていたので読んでみた。信者数は八十四万八千人,これは公称だが相当信頼できる数字だそうだ。施設の雰囲気は大学のキャンパスと似ており,「接心」と呼ばれる修行はスピリチュアル・カウンセリングのようなものなのだそうで,信者同士の交流があまりみられない,いわば「おひとりさま」宗教であるとのこと。へえー。

Bookcover 叙情と闘争―辻井喬+堤清二回顧録 [a]
辻井 喬 / 中央公論新社 / 2009-05
読売新聞で連載していたらしい。60年代以降の個人史。いっちゃなんだけど,エピソードがいちいち面白すぎるような気がして。。。公平な伝記作家による評伝を読んでみたいものだ。
 90年にフランクフルトのブックフェアにパネリストとして参加し(詩人・辻井喬としてであろう),別の企画に参加していた大岡信と,お互いに知人を連れてきて食事しようということにした結果,大岡信,大江健三郎,堤清二,そして宮沢喜一の四人でテーブルを囲むことになったそうだ。最初は話題に困ったが(そりゃそうでしょうね),宮沢さんが近代の俳句に詳しいことがわかり,和やかなひとときを過ごした由。うわあ。事情を知らない日本人がこの四人を見かけたら,さぞや驚いたことだろう。

ノンフィクション(-2010) - 読了:08/12まで (NF)

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