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2009年9月 7日 (月)
ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場
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フィリップ・デルヴス・ブロートン / 日経BP社 / 2009-05-21
ハーバードビジネススクールの体験記。類書はほかにもありそうだが,これは著者がジャーナリストを廃業した男であるというところが面白い。イギリスの記者がアメリカ資本主義の総本山に向けるシニカルな視線と,ともに悩み苦しむ仲間たちへの共感とが入り交じっている。なかなか表に出ない世界を紹介した読み物として面白いだけではなく,社会の一断面への批評として,日本にも通じる普遍的な意義を持っていると思った。。。こう書くとなんだか堅苦しいけど,とにかく,一気に読ませる本でした。
それにしても,英語がしゃべれるってイイですね。読んでてだんだん落ち込んできたぞ。
同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック)
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森 功 / 講談社 / 2009-09-04
関西の同和利権の帝王と呼ばれた男・小西邦彦の半生を,その腹心であった三和銀行行員の証言に基づいて描いたノンフィクション。
男は山口組組員から解同の活動家に転じ,関西の同和行政に深く食い込み,その最盛期には政財界,芸能界,国税局,警察にまで影響力を持った。その一方で,男は老人ホームの運営を生き甲斐とする,情に厚い好人物でもあった。この魅力的なアンチ・ヒーローぶりに,書き手も惚れ込んでいるように思える。
証言者である銀行員・岡野さんは,小西担当になった当初,直接に声を掛けることも許されない。ノイローゼ寸前にまで陥った若い銀行員は,意を決して単身小西の部屋に乗り込み,ソファに勝手にドンと腰を下ろして話しかける。『支部長,阪神強いですな』 意外にも,闇の世界のドンは怒るどころか,『おう,飯でも食うか』
誰もが怖れる男との間に密接なコネクションを築き上げた銀行員は,ノンキャリアながら行内政治を勝ち抜いた。晩年,小西は失脚し孤独な死を遂げる。その後行われたインタビューに答えた,元銀行員の台詞がちょっと泣かせる。あなたは汚れ役として,三和銀行という組織に利用されたのではないかと問われて,元銀行員はこう答える。「それは私にとって最大の賛辞です。そのために身体を張ってきたのですから。小西担当になった当初,ほんまにノイローゼになり,気が狂いそうになった。そのときもう銀行を辞めようと思って,開き直って小西さんと向き合ったのです」「『おまえ,誰に口きいとるや』。そう言われるのを覚悟していましたし,それで担当を外され,銀行を追われる羽目になってもいい,と思っていました」「そのあと,小西事務所に行くと,見慣れない真新しい青色の電話機が小西さんの机に置いてある。『岡野,これお前の専用電話やで』という。うれしかったですね。以来,彼と心が通じるようになった。『おい,岡野,電話が鳴っとるがな』とよく叱られました。私は"汚れ役"として,銀行に利用されたことに悔いはありません」
図説 日本建築の歴史 (ふくろうの本/日本の文化)
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玉井 哲雄 / 河出書房新社 / 2008-11-22
本屋で見かけて,無性に読みたくなった本。ときどきこういう浮世離れした本とともに過ごしたくなるのです。写真がいっぱい入っているとなおよろしい。
著者によれば,日本の伝統建築を見る際のキー・ポイントは「組物」なのだそうだ。組物とは,ええと,お寺や神社の軒下を見上げたとき,柱と屋根の間にあるごちゃごちゃした奴のこと。歴史的事情により,寺社建築には組物があり,住宅建築(お城や土蔵などを含む)には組物がない,のだそうだ。へえええー。
ところで,奈良の正倉院はアゼクラヅクリだ,と小学校のときに訳もわからず習ったものだが,柱を使わず木材を井桁状に組み上げた建物のことを板倉造,その木材が板ではなく,断面が三角形になっている場合を校倉造,そしてその木材が丸太の場合をログハウスという,のだそうである。。。この本は学部一年生向けの講義内容が元になっているそうだが,きっと人気講義だっただろうな。
ネトゲ廃人
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芦崎治 / リーダーズノート / 2009-05-01
ノンフィクション(-2010) - 読了:09/06まで (NF)