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2010年5月 5日 (水)
現代中国女工哀史
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レスリー・T. チャン,伊藤 正 / 白水社 / 2010-02
原題は"Factory Girls"で,女工哀史という邦題とはかなり遠い内容。シンセンの隣の東莞という都市を舞台に,ビデオテープを早送りしているような激動の環境の中に生きる様々な若者たちを描いたノンフィクション。著者は中国系アメリカ人で,WSJの特派員として中国に長く滞在し,さらにこの本を書くために会社を辞めて東莞に滞在したのだそうだ。
これまでに現代中国についてのノンフィクションを何冊か読んだことがあって,どれも読んでいて面白かったんだけど,その面白さの一部は,かの国の社会の矛盾やひずみを対岸の火事として眺める気楽さに支えられていた面があったかもしれない。いっぽうこの本は,登場人物の情熱や絶望や苦闘を深く捉えていて,ステレオタイプ的な面白がり方を許してくれない。良いノンフィクションとは,読んでいてつらいものだなあ,と... ようやく読み終えてほっとした。掛け値なしの傑作。
ノンフィクション(-2010) - 読了:「現代中国女工哀史」