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2010年6月15日 (火)
忙しい忙しいという奴にロクな奴はいないと思うのだが,いやいや,なんだか忙しい忙しい。。。
生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)
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白波瀬 佐和子 / 岩波書店 / 2010-05-21
教育,若者の雇用,ジェンダー,高齢者の4つの領域での格差と不平等について概観した本。著者云うところの「お互いさまの社会」実現のための提言としては,(1)再分配政策の見直し(富裕層の所属税増税とか),(2)子育て支援や就労支援で,社会保障機能の恩恵を実感させること,(3)柔軟な就労を可能にする参加型社会の形成によって財源を確保すること,の3つが挙げられている。ふうん。
社会史とは何か (洋泉社MC新書)
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阿部 謹也 / 洋泉社 / 2009-11-06
晩年の短めの文章の集成。
グリム童話のようなメルヘンについて語る「メルヘンにみる中世人のこころ」という文章の末尾に,こんなくだりがあった。「メルヘンは全体として中世の小宇宙のなかで生きていた人々の夢を描いた話として浮かび上がってくる」「中世の人々は日々 [病気や貧困などの] 不安のなかで暮らしていたのである。しかし中世にもそれなり隠蔽の手段があった」「不安を根本的に解消するためには,大宇宙の力と折り合いをつけることができなければならなかった。そこで生まれるのがメルヘンである。メルヘンの主人公は孤立し,一人前とはいえない欠陥をもった人間である。このような人間でも大宇宙の力の前に謙虚になったとき,大宇宙は助力の手をさしのべる。その助力によって人間世界のなかで孤立した主人公も,あらゆる人生の困難を乗り切って平和でゆたかな暮らしをすることができるとメルヘンが語っているのである」
改革逆走
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大田 弘子 / 日本経済新聞出版社 / 2010-05-25
俺は経済とか財政とかの知識がからきしないもので,安倍・福田内閣の閣僚が書いたこういう本を読むと,そうですか小泉改革は偉かったですか,なあんてもうすぐに説得されちゃうのである。定見がないとはこういうことだ。
勤務先の同業者が集まる勉強会に行ったら,大学にいたときの末期にお世話になった先生のところの院生が出席していてびっくり。思わず,誰々は知ってる? 誰々は元気? などと質問攻めにしてしまった。勉強会に来ていたのは就職活動の一環らしい。市場調査業界がわざわざ目指すべき職種なのかどうか,俺にはよくわからないんだけど,まあ,いろんな人の話が聞けるのはきっと良いことなのだろう。
それにしても,日常の生活のなかで大学の頃の関係者に前触れなく出くわすと,非常に動揺する。上野を歩いていたらいきなり渋谷に着いた,というような,悪酔いのような感覚がある。これもまた,一貫しないライフコースをふらふらさまよっている代償のひとつであろう。ひとつの道を真っ当に進んで成功していたら,きっとこんな目に遭わなくて済んだのだろう。
ノンフィクション(-2010) - 読了:「生き方の不平等」ほか