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2010年10月 4日 (月)
生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866)
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井上 浩一 / 講談社 / 2008-03-10
ビザンティン帝国の歴代皇帝のなかでもっとも評判が悪いのはコンスタンティノス5世という人で,その悪評の主たる原因は修道士たちを弾圧した点にあった。修道士たちがキリスト像やマリア像に向かって祈っていたのを,偶像崇拝として厳しく禁止したのである。ところがその禁止の論拠も,やはり聖書のことばにあった。
なぜこんな争いが生じたのか。著者いわく,古代の地中海・オリエント世界ではふたつのタイプの神がみられた。ひとつはオリエント型の神。全知全能で近づきがたく,描くこと自体が冒涜である。もうひとつはギリシア型の神で,人間の姿と感情を持つ。前者は古代オリエントの専制国家体制と結びつき,後者はギリシア民主政治と結びついていた。で,ローマ帝国に広がったキリスト教の神は,もともとオリエント起源でありながら,いわば両者の折衷版,全能全知にして人間に近づきうる神であった。偶像崇拝を巡る問題は,神のヘレニズム化に対するオリエント的反動であり,この反動を乗り越えることで2つの文化がついに融合し,ビザンティン帝国繁栄の基礎が築かれたのである。。。とのこと。なるほどー。
ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む (新潮文庫)
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須田 慎一郎 / 新潮社 / 2010-08-28
中世の非人と遊女 (講談社学術文庫)
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網野 善彦 / 講談社 / 2005-02-11
フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書)
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河合 太介,渡部 幹 / 講談社 / 2010-06-17
いくさ物語の世界―中世軍記文学を読む (岩波新書)
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日下 力 / 岩波書店 / 2008-06-20
ノンフィクション(-2010) - 読了:「生き残った帝国ビザンティン」 ほか