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2011年5月24日 (火)
「このウジ虫め,何様のつもりだ!いま貴様ができることをやれ!」「サー!イエッサー!」というわけで,華やかな話題を横目に古い論文をコリコリと読む今日この頃である。コリコリ。
Armstrong, J.S., Brodie, R.J. (1999) Forecasting for marketing. in Hooley, G.J. & Hussey, M.K. (eds.) "Quantitative Methods in Marketing," Second Edition, pp.92-119.
予測についての概論。分厚いハンドブックのなかの1章らしい。どっか基礎知識がすっぽり抜けているのではと不安になり、いまさらこういう概説を読んでいる有様である。
最初に予測手法をざっと総ざらえしたのち、市場規模予測、意思決定者の行為の予測、市場シェアの予測、売上予測、利益予測の各領域について簡潔に紹介する内容。
面白かったところをメモ:
- デルファイ法で大事なのはメンバーの専門性の高さではなく、「専門家でない人を入れないこと」。
- 消費者のグループ・インタビューが販売予測の役に立った例はみあたらない。
- 時系列補外の手法はいろいろあるが、そこに凝ってもしかたがない。
- 関連する複数の既存製品について時系列補外で販売予測する際、合計について予測しそれを製品に案分するのと、各製品で予測し積み上げるのでは、後者のほうがうまくいくことが多い。
- 新製品販売予測に際しての購買意向聴取は、まあ概してあてにならないわけだが(同じ本のMorwitzの章をみよとのこと)、もしやるんなら、やはりジャスター法がお勧め。
- 統計的予測モデルのR二乗だの推定標準誤差だののことは忘れろ!クソの役にも立たん!(←おっと,なぜかハートマン軍曹が)
- 統計モデル構築において一番大事なのは理論。データではない。
- 予測の*前*に、予測の*方法*について組織内のコンセンサスを得ることが大事。予測結果そのものについて合意してもらおうとは思わないこと。そのためには、予測の前に「こんなときにはこうしよう」というシナリオをつくることが大事。シナリオは過去形で書くこと。シナリオをつかって予測してはだめ。
論文:マーケティング - 読了:Armstrong & Brodie (1999) マーケティングのための予測