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2011年6月 2日 (木)

Bookcover 日中国交正常化 - 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦 (中公新書) [a]
服部 龍二 / 中央公論新社 / 2011-05-25
本屋でぱらぱらめくっただけでなんだか引き込まれてしまい,他の読みかけの本を中断して一気に読んでしまった。
 この本は日中国交回復の際の田中首相・大平外相のリーダーシップに特に焦点をあてていて,だからあやうく「昔の政治家は偉かったなあ」などというろくでもない感想を持ちそうになってしまうのだが,よく考えてみると,手放しで誉められる話ばかりではない。たとえば,北京との交渉と並行して台湾に特使として派遣された椎名悦三郎に対して,首相も外相もろくな指示をしない。椎名は好き勝手な発言をし,台湾当局を混乱させてしまう。国内事情がどうであれ,結果オーライで誉められるような話ではないと思う。

 ところで,田中訪中団とのハードな交渉のなかで,周恩来が日本の外務省高官(高島益郎条約局長)を「法匪」となじった(そして最後の歓談の場では逆に誉め讃えた)という話がある。俺が知っているくらいだから有名な話だと思うし,実際俺がこの話を読んだのも一度や二度ではないと思うのだが,この本によれば,実は「法匪」という発言は無かったのだそうだ。
 いま試しにwebを検索してみると,この「法匪」発言を引き合いに出しているページが山のようにヒットする。たった40年ほど前の話なのに,怖いものだ。

日本近現代史 - 読了:「日中国交正常化」

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