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2011年6月29日 (水)

Bookcover 「神道」の虚像と実像 (講談社現代新書) [a]
井上 寛司 / 講談社 / 2011-06-17
著者は41年生まれの歴史学者。
 著者は柳田国男の神道概念について詳細に批判した後,それらの問題点は柳田のみに属するのでなく,大正デモクラシー期の研究者に特有な歴史的限界に起因しているのだ,と述べている。すなわち,(1)独善的な日本中心主義,(2)天皇制支配との非対決,(3)日本の歴史や宗教についての不正確な理解。
 そのあとで著者は,柳田の流れに属する議論として80年代の梅原猛の著作をとりあげ,こんなもん学問じゃねえ!と斬って捨てているのだが,いっちゃなんだが著者の本より梅原猛の本のほうが多くの読者を得ているだろう。その背景にある歴史的限界ってのはなんなんでしょうね。やっぱり(1)(2)(3)ですかね。だとしたら,それは大正デモクラシー期に特有な限界ではなかった,ということになってしまうけれども。

哲学・思想(2011-) - 読了:「『神道』の虚像と実像」

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