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2012年7月10日 (火)
Marcoulides, G.A., Saunders, C. (2006) PLS: A silver bullet? MIS Quarterly, 20(2), iii-ix.
MIS Quarterly (MISはmanagement information systemの略) という雑誌にはときどきデータ解析の論文が載っているようで、特にPLSモデリングに関する論文を目にすることが多いような気がする。この文章は、2006年にエディタのMarcoulidesさん(SEMの有名な研究者だと思う)が巻頭コメントとして載せたもので、8頁を費やしつつも主旨は非常にシンプル。いわく... たとえばFalk&Miller(1992)の入門書には、PLSではサンプルサイズがそんなに重要でないなどと書いてあり、こういう意見を真に受けた投稿が最近増えていて困っている。審査で潰しているが追いつかない。「我々がこのエディトリアルを書いているのは、情報科学コミュニテイにおいてみられる、サンプルサイズが小さいときでもPLSなら使えるという誤った信念を打倒するためである。」はっはっは。
PLSだろうがなんだろうがサンプルサイズは大事なんだよ、各自モンテカルロ・シミュレーションで検定力を調べろよ、という仰せなのだが、その模範例として実演しておられるのが、2因子CFAの因子間相関の検定力という例。算出に使っているのはmplusである。思わず「節子、それPLSとちゃう、普通のSEMや」と呟いた。
研究者へのガイドラインとして、著者らは以下の点を挙げている。
- 現時点での理論的知識のすべてと整合するモデルを提案し、その理論を検証するためにデータを集めなさい。(→言うは易いが行うは難い、ですね...)
- ちゃんとデータをスクリーニングしなさい。
- モデルに出てくるすべての変数についてその計量心理的特性を検討しなさい。(→いかにも著者が云いそうなことだが、この分野の人にとっては耳が痛い指摘なのかも)
- モデルのなかで検討しているすべての変数の間で、関係性と効果の強さを調べなさい。(→たとえば因子間相関を調べているとき、因子の測定がプアだったら大きなサンプルが必要になる、というような話)
- ちゃんと信頼区間を求めなさい。
- 検定力を調べて報告しなさい。
論文:データ解析(-2014) - 読了: Marcoulides, & Saunders (2006) PLSは銀の弾丸ではない