« 読了:Theil(1987):決定係数を分配する方法(情報量バージョン) | メイン | 読了:Crown (2010) ダミー変数はdummyだ »
2012年10月11日 (木)
Unlu, A., Kiefer, T., Dzhafarov, E.N. (2009) Fechnerian scaling in R: The package fechner. Journal of Statistical Software, 31(6).
客観的にはたいしたことないんだろうけど、主観的には「年に一度」級の、ややこしいデータ解析の課題を抱えていて、どうアプローチすればよいのか思い悩んでいる。たまたま R のfechnerパッケージというのをみつけて、なんだかわかんないけど、これだ!これでブレイクスルーだ!と喜んだが、ちゃんと読んでみたら、もう全くのぬか喜びであった。全然関係ないじゃん。まあ、せっかく目を通したので記録しておく。
ええと、Fechnerというのは、心理学の入門コースに出てくる19世紀の哲学者、フェヒナーさんのこと。Fechnarian scalingというのは耳慣れない言葉だが、Dzhafarovさんという人が提唱している考え方らしい。素人目には非計量的MDSみたいなものなのだけれど、いわく、全く違うアプローチなのだそうであります。
いま n 個の対象があって,すべての2個の間の弁別確率,ないしそれに類するなんらかの非類似性が与えられているとする。この正方行列に基づいて対象に数量を与えようとする手法としては、すでにMDSがあるけれど,Fechnerian scalingはそれより制約が緩い。対角要素が 0 でなかろうが,非対称であろうが,A-B間非類似性とB-C間非類似性の和がA-C間非類似性より小さかろうが、いっこうに構わない。ただ以下の条件さえ満たしていればよいのである。
- 任意の対象 i が,それとの非類似性がほかのすべての対象との非類似性よりも小さい対象 j をひとつだけ持っていること。この j を,i の主観的等価点(PSE)と呼ぶ(うわー,精神物理学だ...)。
- i のPSE が jだったら,jのPSEはiであること。
えーと,要するに,正方行列の各行に最小値がひとつだけあり,その値はその列での最小値でもある,ということですかね。この制約をregular minimalityという由。
で、この条件が満たされているとき,対象間に計量心理学的な距離を与えることができるんだそうだ... このパッケージはその計算をやってくれるのだそうだ...
細かいところを読んでいないせいだろうけど、どういうときにどういう風に便利なのか、全くわからなかった。いきなりRのパッケージの説明を読んでいるのが悪いのだろう。
論文:データ解析(-2014) - 読了:Unlu, A. et al. (2009) 「フェヒナリアン尺度構成」をやりたい人にとっては夢のようなRパッケージ