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2012年12月 4日 (火)
アーサー・ミラー〈2〉るつぼ (ハヤカワ演劇文庫 15)
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アーサー・ミラー / 早川書房 / 2008-05-23
アーサー・ミラーの戯曲。
先日ひょんなことから,この戯曲の新訳を使った舞台を観たのだけれど,主人公の妻エリザベスの終盤での非常に重要な台詞のなかに,たしか「この世界にこういう生き方があるなんて知らなかったの」というような言い回しがあって,印象に残った。で,この本を買ってきて探したら,この訳では「あなたは本当に優しい,いい人だった」。原文を探してみたら,"I never knew such goodness in the world"であった。
素直に考えれば,goodnessは夫プロクターの内なる善性を指している。新訳はここの訳語を,作品全体を賭ける勢いで,ものすごく思い切って選んでいるのだと思う(いま探したら,たぶん訳者の先生が,その事情について縷々述べている記事をみつけた。 やっぱりなあ...)。訳の正否は私にはわからないんだけど,いやあ,文学作品の翻訳って大変な仕事だ。ほんの一言で全てが変わってしまう。
フィクション - 読了:「るつぼ」