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2013年4月17日 (水)
理想だらけの戦時下日本 (ちくま新書)
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井上 寿一 / 筑摩書房 / 2013-03
翼賛体制成立に至る数年間、政府が主導した「国民精神総動員運動」を手がかりに、太平洋戦争に突入する直前の日本社会を描く。
面白かった点をいくつかメモ:
- 銃後の婦人組織である愛国婦人会と国防婦人会は対立していた。これは社会階層を反映していた(愛国婦人会のほうがアッパークラス)。成瀬巳喜男に「まごころ」という映画があって(1939)、上流階層の婦人は愛国婦人会、これに対して「野の百合のように清楚」で「着飾らない」美しさがあるところのヒロインは国防婦人会なのだそうである。へええ。
- 「八紘一宇」といった日本精神の強調や日中戦争の理念が、当時の国民の支持を得ていたとは言いがたいようである。なるほど、そういうものか。
- 「戦前昭和の時代においてすでに家族共同体も地域共同体も失われていた。家族の相互扶助は行政が代替する。隣組は新たに作り出す。精動運動の側はいう。『我が国には古来、隣保相扶ける美風がありました』。どこまでさかのぼればそのような美風にいきつくのか。相互扶助は想像上の精神だった」「[現代に目を移して] 『日本を、取り戻す。』とのキャンペーンを繰り広げた政党が政権の座についた。[...] おそらくは取り戻すべき日本とは想像上の日本のことだろう。想像上の日本を取り戻すよりも新たな日本を作り出すべきである」
モダン・ライフと戦争―スクリーンのなかの女性たち (歴史文化ライブラリー)
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宜野座 菜央見 / 吉川弘文館 / 2013-02
たまたま同じ時代を扱った本が重なったけれど... こちらは日本映画の研究者による、1930年代の映画における女性の表象についての本。これは面白い本であった。
成瀬の「乙女ごころ三人姉妹」という映画、ぜひ観てみたいものだ。。。
日本近現代史 - 読了:「モダン・ライフと戦争」「理想だらけの戦時下日本」