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2014年2月27日 (木)
桑島健一 (2002) 新製品開発研究の変遷. 赤門マネジメント・レビュー, 1(6).
なぜなのか全然思い出せないんだけど、PDFを持っていたので、整理の都合と称して目を通した。
えーっと... 新製品開発研究には経済学ベースのやつと組織論ベースのやつがあって、後者をレビューします、という論文。
いわく、研究アプローチからみると3期に整理できます:
- グランド・アプローチ。60年代後半から。成功例・失敗例を分析する。イノベーションの成功要因とはなにか、とか。
- フォーカス・アプローチ。70年代後半から。特性の側面に焦点を絞る。その典型は、開発組織のコミュニケーションに注目した研究である由。技術者集団のなかには内外の情報のハブになるような技術者「ゲートキーパー」がいるんだそうだ。へー。それから von Hippelらの、イノベーションの源泉はどこにあるのか、という研究。
- プロセス・アプローチ。80年代後半から。製品開発のプロセスに焦点を当てる。クラーク&藤本「製品開発力」という本があるけど、あれが超有名な研究なのだそうだ。へー。
で、90年代以降に台頭したアプローチとして、
- 製品・産業特性アプローチ。個別産業に注目して、そこでの効果的な製品開発パターンを示す。
- マルチプロジェクト・アプローチ。複数のプロジェクトの効果的管理を明らかにする。
問題解決アプローチ。開発を問題解決と捉えて、有効な問題解決パターンを探る。 - 組織能力アプローチ。開発パフォーマンスを支える組織能力・資源とその蓄積過程をあきらかにする。もともと経営戦略論の分野で組織の能力についての研究があって、そこから来ている由。
というわけで、各アプローチの代表的な研究が紹介されている。
全くもって知識のない分野の話なので、興味本位でフガフガと楽しく読み終えた。
なんでも、「競争優位の源泉の源泉」という研究があるんだそうだ。たとえば製薬企業では「サイエンス・ドリブン」という呼ばれる手法が競争優位の源泉になるんだそうで、でもその手法の採用がうまくいく企業とそうでない企業がある、その差はどこから生まれてくるのか? というような研究らしい。なにが強みになるのかという話じゃなくて、その強みを生み出すものは何かという話なのであろう。へー、面白いなあ、いろんなことを考える人がいるものだ。Cockburn,et al.(2000)というのが挙げられている。
論文:マーケティング - 読了: 桑島 (2002) 新製品開発研究の変遷