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2014年7月 7日 (月)
Zhang, Z., Hamaker, E.L., Nesselroade, J.R. (2008) Comparisons for four methods for estimating a dynamic factor model. Structural Equation Modeling, 15, 377-402.
いわゆる動的因子分析のうち、測定モデルにはラグがはいらないが因子が自己回帰するモデル(direct autoregressive factor score model; DAFSモデル)の推定方法を比較しました、という論文。えーと、時点 $t$ における観察変数のベクトル $y_t$ について
$y_t = \Lambda f_t + e_t$
$f_t = \sum_s B_s f_{t-s} + v_t$
という感じのモデルである。
比較する推定方法は次の4つ。
- KF: 状態空間表現に書き換え、カルマン・フィルタをつかって最尤推定。延々アルゴリズムが説明されている... やめて、死んじゃいそう...
- BT: ブロック・トープリッツ行列を起こして最尤推定。そもそもブロック・トープリッツ行列とはなにか、というところからはじめて、実はここでの最尤推定は独立性の仮定に反していて、まあ大丈夫だといわれているんだけど適合度指標はあてにならなくて、とかなんとか ... やめて、死んじゃううう...
- BE: Gibbsサンプリングでベイズ推定。なにをどうサンプリングするか云々と、これまた延々と説明されていて... 死ぐぅぅぅぅ...
- LS: Browne & Zhang が唱えた最小二乗推定。いい加減にしねえかこの野郎。
というわけで、中身はよくわかっていないのだが、いいよもう!一生パッケージユーザのまま生きていくから!
で、シミュレーション。2因子6指標ラグ1のモデルで、時系列の長さと測定誤差分散を動かす。細かいところは読み飛ばしたが、KFはDolan(2005)のMKFM2というプログラム、BTはDFAというプログラムで行列を作ってMplusで推定、BEはWinBUGS、LSはBrowne & Zhang のDyFAというプログラムを使った由。探したところ、コードをこちらに公開しておられる。
結果は... いろいろ説明してあるけどパス。要するに、どれでもまあ似たようなもんなので、あなたが使いやすい奴を使いなさい、とのことであった。
論文:データ解析(-2014) - 読了: Zhang, Hamaker, & Nesselroade (2008) 動的因子分析の地上最強の推定方法はどれだ