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2015年1月 8日 (木)
Nelson, L.D. & Simmons, J.P. (2009) On southbound ease and northbound fees: Literal consequences of the metaphoric link between vertical position and cardinal direction. Journal of Marketing Research, 46(6), 715-724.
南北は上下とメタファ的に連合しているので、人は北に移動するのは大変だと感じる、よって南のお店に行きたがる。という研究。
原稿の準備で目を通した奴。いちおうはマーケティングの話になっているのだが、別にマーケティングの話にしなくてもよかろうに...
説明の段取りは次の通り。
- BarsalouのPSS理論によれば、知識は知覚の観点から符号化される。北はいつも上に描かれているし、そういう言い回しもあるから(北上・南下っていいますわね)、記憶において北は上だ。
- かくのごとくしてメタファは字義的に扱われる(treat)のだ。Zhong&Liljenquist(2006,Sci.)の手洗い研究を見よ。
- 消費者のメタファについての先行研究: Zaltman&Coulter(1999, J.Ad.Res.), Joy&Sherry(2003, JCR)。
- 本研究の意義: PSSを消費者行動という現実的な判断場面に適用する。
PSSを説明原理としているが、simulationという言葉は出てこない。ここでPSSはあくまで知識表象の構造の話であって、空間課題遂行時に垂直運動の心的シミュレーションが起こるという主張ではないわけだ。うーむ、この分野は理論的説明が錯綜していて難しいぜ。
実験は7つ。
実験1: 説明文を読ませ、二地点間を飛ぶ鳥の飛距離を推定させる。飛ぶ方向を操作: {北, 南}。結果: 北に飛ぶ方が長く評定される。
実験2: 架空の都市間で、荷物運送料が一番高いペアを選ばせる。要因: {都市名をUSの地図上に南北に配置して提示, 都市名を並べて提示}。結果: 北向きペア, 地図なしペア, 南向きペアの順に運送料が高い。
こんな感じの実験が続く。面倒なのでメモ省略。
論文:マーケティング - 読了:Nelson & Simmons (2009) 南下より北上のほうが大変だという気がする