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2015年3月27日 (金)
ten Klooster, P.M., Visser, M., de Jong, M.D.T. (2008) Comparing two image research instruments: The Q-sort method versus the Likert attitude questionnaire. Food Quality and Preference, 19, 511-518.
「重要性についての論文をしみじみ読む会」、本年度第2弾。あんまし重要性とは関係ないけど(なぜリストにこれを入れたのか思い出せない)、まあ主観的重要性測定手法のひとつでもあるし、ということで。
消費者にイメージを聴取するという場面で、Q-sort法とリッカート項目を比較する。Q-sortとはもちろんクイックソート・アルゴリズムのこと...ではなくて、心理学の分野に伝わるいにしえの聴取手法である。カードをたくさん渡し、両極7件~11件尺度上に、分布が山形になるよう決めた枚数づつ並べさせる。
対象者はオランダの学生。牛肉のイメージを聴取する。30項目。
- Q-sort法は51名, 1to1のセッションで聴取。まず30枚のカードを同意, 不同意, 中間の3つの山に分けさせ、次に各山のカードを9件法上に置かせた。所定枚数は端から順に1,2,4,5,6,5,4,2,1。回答を因子分析。項目間相関行列ではなくて個人間相関行列の因子分析である。セントロイド法、バリマクス回転。3因子を得た。
- リッカート法は5件法、項目順序を変えた2バージョンを用意。最後に牛肉における各項目の重要性を5件法評定。1000人に撒いて160票回収。5件法の同意/不同意回答と5件法の重要性回答を掛け、9段階の値を得た(なぜそういうフシギなことを...)。因子分析で3因子抽出、負荷の高い項目を10個, 7個, 4個の計21個選択。
上記の2群は別のサンプルである(あるサンプルを2群に無作為割り当てしているわけではない)。しょぼいなあ。
で、なにやら結果を比較しているんだけど、結構印象論に近い話だし、どうでもいいような気がしてきたのでパス。項目の平均はどちらも似たようなもんだが、人の分類にはQ-sort法のほうが適していて、対象物のイメージの把握にはリッカート法のほうが適している、とかなんとか...聴取方法だけじゃなくて分析方法も変えちゃってんだから、比べてもしょうがないんじゃないすか? なんだかなー、もー。
いくつかメモ。
- 医学・看護領域ではQソート法をよく使うのだそうだ。へー。
- Poiesz(1989, J.Econ.Psych.): イメージの定義(そしてその測定方法)を、high/middle/low elaborationの3段階に分類しているのだそうだ。おおお、これは面白そう。
論文:マーケティング - 読了:ten Klooster, Visser, & de Jong (2008) Qソート法 vs. リッカート法