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2015年5月 7日 (木)

Abalo, J., Varela, J., Manzano, V. (2007) Importance values for importance-performance analysis: A formula for spreading out values derived from preference rankings. Journal of Business Research, 60, 115-121.
 「重要性についての論文をしみじみ読む会」、本年度第4弾。著者らはスペインの人だそうだ。要するに、主観的重要性測定を順位づけ課題でやる、という話であった。

 いわく。マーケティングはじめいろんな分野で、キー属性についての情報を集め、重要性とパフォーマンスを軸にとった散布図を描くことがよくある (importance-performance analysis, IPA)。4象限にわけて、これらの属性のパフォーマンスが足りない、これらはちょっとやりすぎだ、なんてやるわけだ。元祖はMartilla & James (1977 J.Mktg)。
 さて、ここで属性の重要性をどうやって測るか。大きく二通りある。(1)リッカート尺度で重要性を評定してもらったりして、直接的に測る。(2)製品・サービスの全体評価についての回帰分析とかコンジョイント測定とかで間接的に測る。
 Bacon(2003 IJMR)は直接測定を支持している。しかし属性の重要性評定は押しなべて高くなりがちである。Martilla & Jamesの手続きだとそもそも定性調査とかで大事な項目を選ぶところから始めるわけだから、なおさらである。また、回答者の関与が足りなかったり、熟達が足りなかったりして差がつかないこともある。
 間接測定としては標準化偏回帰係数が使われることが多い。これは相対的重要性、すなわち人間の推論と選択についてのより現実的な見方なのだ[と、EdwardsやTversky&Kahneman(1981 Sci.)を挙げている。うぬぬぬ]。重要性などという難しいことを聞かずに済むのも利点。いっぽう問題点としては、(1)多重共線性が怖い。(2)全体評価と属性評価の関係は線形じゃないかも[と、Mittal et al.(1998, J.Mktg), Sethna(1982 Bus.Econ.)というのを引用]。なお、コンジョイント測定という手もあるけど、属性数が多いときは非現実的。
 要するに、IPAにおいて一番頼りにできる重要性指標がなんなのか、事前に知るのは難しい。

 そこで... 重要性の絶対評定じゃなくて、順位づけをしてもらうのはどうでしょうか。相対的指標になるし、答えやすいじゃないですか。
 というわけで、提案手法は以下の通り。
 対象者数を$n$, 属性数を$s$とする。重要な属性を1位から$k$位まで選んでもらう(タイなし)。対象者$j$が属性$i$に与えた順位を$g_{ij}$とする。これをスコア$h_{ij}$に変換する。もし順位が付与されなかったら $h_{ij} =0$、付与されたら$h_{ij} = ( k- g_{ij} + 1) / k$とする。
 これを$j$を通じて平均したのを$m_i$とする。これだと属性間で差が出にくいので[←という、およそ本質的でないことが書いてある]、$m_i^{k/s}$と変換する。これを$P_i$とする。これを使いましょう。

 後半は実例。流し読みした。

 いやはや... 要するに、属性の重要性を順位づけさせ、それを平均し、差が出るように適当に変換して属性の重要性とみなしましょうというお話であった。云っちゃなんだが... いやいや!なにも云うまい!

論文:調査方法論 - 読了:Abalo, Varela, Manzano (2007) 属性の重要性ランキングで重要性を測りましょー

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